2018年9月30日日曜日

まちづくり研究所です

 初めまして!まちづくり研究所です。
 ちづくり研究所は、岡山市北区津島南に事務所があります。まだできたばかりの団体で、あまり知られていません。そこで、まずは自己紹介から。

【ミッション】
 私たちのミッションは6つの柱からできています。
1.保健、医療、福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
5.環境の保全を図る活動
6.国際協力の活動

 ミッションを達成するために、次の活動に取り組んでいます。
① 介護事業に関する相談活動
 介護事業所の設立・運営・経営相談や、これから介護保険サービスを利用しようとする皆さんの介護保険制度の使い方の相談や、事業所選びのお手伝いをさせていただいています。悩む前にご連絡ください。

② まちづくりに関する講師活動
 私たちは『まちづくり出前学習会』に取り組んでいます。町内会とか気心の知れたお仲間、サークル等のグループで一緒に勉強しませんか。「介護保険の使い方」「認知症の話」「ボランティア活動と組織作り」「地域分析の方法とまちづくり」「地域の支えあいネットワークと仕事おこし」等、様々なテーマでお話させていただきます。

③ 暮らしの困ったなんでも相談活動
 超高齢社会を一人で生き抜くのはとても難しいことです。厚生労働省も『我が事、丸ごと』の地域共生社会を作ろうと言っていますが、言葉でいうのは簡単でも地域で具体化しようとすると、それぞれの地域で異なる問題を抱えていることがほとんどです。一人ぼっちの高齢者を無くすためにも、暮しのちょっとした困りごとを解決す『暮らしの困った何でも相談活動」に取り組んでいます。もちろん高齢者でなくても大丈夫ですので、お気軽にお声かけください。

④ 住まいの問題解決
 不用品が捨てられず住環境を悪化させたり、家主が不在となってそのままになっている家の遺品整理が必要になったり、建て替えでアパートを出なければならなくなったが次の住処が決まらない、高齢を理由に今まで不要だった連帯保証人をつけないとアパートの契約の更新ができない等々、住まいにまつわる諸問題を一緒に解決していきましょう。

⑤ 国際交流の活動
 2017年から新しい外国人技能実習生制度がスタートしています。技能実習生の受け入れを希望される方は、新しい制度のことや監理団体の選び方等アドバイスできますので、お声かけください。
 また、実習生として日本に来られたみなさん、就職先企業とのトラブル等問題を抱えたときには私にご連絡ください。問題解決に向けてご相談に対応すると同時に、企業との交渉等一緒に取組ませていただきます。

⑥環境保全の活動
 地球環境の保全は待ったなしの課題です。環境にやさしい町づくりをテーマに、人と自然の共生できる町をめざします。

 私たちは非営利団体です。私たちの活動は、まちづくり研究所に賛同していただける皆さんの会費とカンパで運営しています。まちづくり研究所の会員になってください。活動を支える資金集めにご協力ください。どうぞ、よろしくお願いします。

◆会費や寄付金の受入口座
 中国労働金庫 岡山支店(店番号693)
 普通預金口座 口座番号:7010548
 名義:まちづくり研究所 代表 狩野 毅

◆連絡先
〒700-0085
住所:岡山市北区津島南二丁目3−31−105
電話:086-289-6583   Fax:086-899-6740
mail:kano1005@gmail.com

【代表の自己紹介】
◇氏名 狩野 毅(かのう たけし)
◇干支 戌年
◇星座 おうし座
◇資格・特技
・社会福祉主事・知的障害者福祉司・精神保健福祉相談員・児童指導員・家庭相談員・身体障碍者福祉司(いずれも任用資格)
・介護福祉士実務者研修、介護福祉士
・医療機器販売業・賃貸業管理者、医療機器修理業責任技術者
・調理師、食の検定3級、日本酒検定中級
・英語検定3級
・アマチュア無線技師4級
◇趣味
 旅:ウォーキング、ワンダーフォーゲル、温泉
 食:日本酒、食べ歩き、有機無農薬栽培
 知:読書、インターネット、資格取得
◇一言
 2018年5月で還暦を迎えましたが、年齢を理由に自分に限界を作りたくありませんし、人から年を考えなさいとかいわれるのが大嫌いです。生涯青春、生涯現役がモットーです。
 「政治は自由である」が信条で、政治家の役割は一人ひとりの国民・市民の自由を守ることだと思っています。私のめざす自由は、社会の中で公平でなければなりません。誰かを抑圧することで自分が自由になるのは間違いです。誰もが等しく自由を享受しなければならず、そのためには価値観が違う人と人の間を調整しなければなりません。その調整役が政治の役割だと考えています。
 世の中の不条理を無くし、一人ひとりが自由を手にすることができるよう、一緒に活動してくれる仲間を求めています。お気軽にお声かけください。

2018年8月4日土曜日

言葉には力がある

 言葉には力がある。思いのたけを言葉にすることで、胸の内に秘めた思いを、初めて誰かに伝えることができる。言葉にしなければ、何も伝わらない。
 以心伝心とは、言葉によらず互いの心から心に伝えることであり、言葉では説明できない深遠・微妙な事柄を相手の心に伝え、分からせることだというが、何が伝わったのかは結局のところ言葉にすることで初めて確認できるといっていい。
 小説を読むときに、「行間を読む」感性がいる、などと言われることがあり、これも以心伝心に似ていて、行と行の間の何も書いていない空間など本当のところ読めはしないのだが、文章の中の言葉の数々の直接的な意味だけではなく、作者がその言葉を選んである順序でその言葉を並べたその意図するところを読み解きなさいというわけだ。つまりこれは、ある作者の文章を読んで、何を感じたかということであって、百人の読み手がいれば、おそらく百通りの解釈が成り立つというような話であり、文章に使われている言葉の本来の意味を逸脱していくことを推奨しているようなもので、言葉からどんどん離れて行ってしまう。当然のことながら、ノンフィクションを読むときには通用しない。
 私は、本来その言葉が持っている意味を大切にするべきだと考えている。そして自分が話をするにしろ、なにがしかの文章を書くにしろ、一つひとつの言葉は大切に選びたい。そして私の言葉を受け取る人には、私が使っている文脈の中でその言葉に与えられた役割をストレートに受け取って欲しい。私の使う言葉を勝手に解釈してほしくない。そうでなければ言葉は、その言葉が本来持っている力を発揮することはできない。

 自分の中に明確に言葉として表現することはできないけれど、何だかわからない、自分の未来にかかわるモノを抱えていたとする。その何かの正体がわからずに、悶々と時を過ごす。それが何か分かるということは、その何かに言葉が与えらるということに他ならない。そして、得体のしれない何かに言葉が与えられたとき、人は未来に向かって、前に進むことができるのだ。人は、言葉によって未来が与えられるといっても過言ではない。

 言葉には力がある。夢は言葉として語られるとき、夢を実現する最初の扉が開かれる。夢を言葉にすること、それが夢を実現する第一歩なのだ。言葉には夢を実現する力がある。自分の未来を切り開く力がある。

 言葉に力があるということは、使い方によっては、言葉は暴力にもなるということを意味する。言葉は、人と人との関係を断ち切り、戦の火種を灯すこともできるのだ。言葉によって暴力が支配する世界をつくるのか、人と人が信頼で結ばれ平和で安心して暮せる未来をつくるのか、選ぶのは私たちなのだ。私たちの意志が未来をつくる。私たちが選ぶ言葉によって未来が作られる。そう考えたら、不用意に言葉を選べないだろう。人を蔑み、罵り、怯えさせ、嘲笑い、心に哀しみが満ちてくるような言葉を平気で使う人がいる。私にはできない。

 いや、正直に言うと、人生を積み重ねてくる中で、そういうことができなくなったと言った方が正確だ。若いころ、私も、刺々しい言葉を吐き出していたことがあった。そうやって自ら関係を断ち切ってしまった人たちがいる。人生を振り返ることなどしてこなかった私だが、最近は時々越し方を振り返ることがある。その時に、思い出す顔が、意外にもそうやって私から関係を断ち切ってしまった人だったりすることに気がつくことがある。私のような失敗をしないで生きていけたら私よりももっと幸せになれるはずだ。若い人たちにそんなメッセージを伝えられた良いなという思いが、こんな文章を書かせているのだ。

 私は、人と人との懸け橋になるような言葉を選びたい。人との対話がずっと続いて、キャッチボールをすることができるような言葉を使いたい。人が嬉しくなったり、楽しかったり、面白かったり、心が豊かになったり、癒されたり、明日への希望が広がったりする、そんな言葉を使いたい。そうしているうちに、私自身も幸せになれると思うから・・・。

2018年7月14日土曜日

許せない社会

 ツイッター久しぶりに復活して、しばらく呟きながら色んな意見交換(?)を読んでいて、あまりにも辛くなって、今、ツイッターはほったらかしになっています。
 そこで交換される批判は、もはや批判ではなく、悪罵や恐喝、何かといえば「おまえは反日運動をやっている中国人・韓国人だ。」と決めつけ、「反日」だ、「パヨク」だ等といった根拠のないレッテルはりです。だいたい中国や韓国の方に失礼ですよ、反日運動家などという決めつけは。そもそも中国人だから、韓国人だから反日運動をやっているなどということはあり得ないです。私には中国の友人がいますし、韓国人の知り合いもいますが、どちらも親日家でとてもフレンドリーな人たちです。なかには日本に対する批判をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。それは日本と韓国・中国との歴史的な問題に由来しており、過去をきちんと清算することなしには乗り越えていくことができない問題でしょう。
 具体的には「従軍慰安婦は存在しない」や、「南京大虐殺はなかった」、「朝鮮人が喜んで働きに来たのであって、強制連行ではない」といった、歴史の事実を歪める歴史修正主義の立場にたつ国会議員が自民党・公明党の政権の中枢に座っていることが大きな問題で、その意味で、日本は本当に侵略という過去を反省し、平和的な関係を構築するつもりがあるのかが問われてもいるのです。

 それにしてもツイッターを見ていると、不寛容な人ばかりで驚きます。私と基本的には同じ考え方を持っているのだろうと思う人まで、自分に対して批判する人が現れると「ネトウヨ」というレッテルをはって、ネトウヨがいかに愚かであるかをこれまたかなりどぎつい表現で書きまくっているのを見ることができます。「ネトウヨ」も「サヨク」も「ハンニチ」もお互いをけなしあって留飲を下げる・・・全く建設的ではありません。
 そもそも「ネトウヨ」と呼ばれる人が、必ずしも右翼ではなかったり、「サヨク・パヨク」と呼ばれる人もむしろ右寄りの人がいたり、「ハンニチ」は中国人・韓国人のみならず日本人も含まれています。なぜ人はレッテルをはりたがるのか。

 一時期、日本人は人を類型化するのが好きな人種なのだと考えた時期がありました。例えば血液型による性格判断なんてのがある。A型だから几帳面で曲がったことが嫌い、O型だから大らかでめったに怒らない、B型だから大雑把で目立ちたがり、AB型だからのんびりしているがテンションの起伏が激しい・・・。昔から十人十色といわれているのに、たった4つの血液型に基づき、性格を決めようとする。テレビでも子供たちを使って、血液型別に行動パターンに違いがあるかのような番組構成の番組を放送する。確かに、日本人は、類型化するのが好きかもしれません。しかし、それではネトウヨやパヨクといったグループ分けをしたがる気持ちは同じようなものだと結論付けることができるかもしれないが、自分と違うグループの人たちに対する暴力的な言葉の投げ付けまでは説明できない。そこにはある種の相手を蔑む感情が隠れていると思われるわけですが、それはどこから来るのでしょう。

 そのこたえの一つとして家父長制はどうでしょう。昔の家父長制の時代から、ウチとソトの区別が存在していて、ウチは運命共同体であり護る対象でした。ソトは時にウチに害をなすものとして立ち現れることもある存在として認識され、ウチとソトの関係はある意味で緊張関係にあります。その緊張関係に由来してウチとソトの対立が生まれ、それが相手に対する攻撃的な言葉として表に出てきているのではないか、というわけです。
 ウチは単にそれぞれの家庭にとどまらず、隣組を意味したり、更にもっと広く村内だったり、あるいは志や価値観を同じくするグループだったり、会社だったり、会社の中の自分の部や課だったりするのです。ソトもその都度変化しますが、いずれにしても緊張関係・対立関係にあるウチ以外の全てということになります。
 冒頭で見たネットの世界でいえば、安倍内閣支持勢力と安倍内閣を支持しない勢力間のそれぞれの側から見た、かつての家父長制の時代から存在したウチとソトの区別に由来する相手への攻撃性の表れではないかというわけです。

 この説明ではまだしっくりこない感じですね。引き続き考えてみたいと思いますが、今日のところはここまで。

2018年6月13日水曜日

災害に強いまちづくり

 先日、土木学会が南海トラフ地震が発生した場合の経済被害を1,240兆円とする推計を発表していました。資産被害と合わせると1,410兆円というとんでもない数字になります。
 東日本大震災同様、地震そのものによる地域の破壊、津波による二次被害、工場などの生産施設や交通網の破壊などによる経済活動の低迷、震災復興には長い時間が必要なことは、7年たった東日本大震災後の復旧の状況を見れば明らかです。

 武田信玄さんが考案した霞提は、連続する堤ではなく、あらかじめ間に切れ目をいれた不連続の堤防になっています。不連続点では、上流側の堤防が下流側堤防の堤外(河川側)に入り込んでいます。不連続部周辺の堤内(生活・営農区域)側は、予め浸水を予想されている遊水地で、それにより洪水時の増水による堤への一方的負荷を軽減し、決壊の危険性を少なくさせました。この霞提の優れた点として、洪水で運ばれる土砂は、もともと上流の山林で形成された肥沃な土壌であり、それをそのまま下流に流すことなく、営農区域に蓄積する機能を有したことがあげられます。近代化された視点からは、治水を単なる土木工事の対象としか見ないことが多いわけですが、農業さらに広くはエコロジーの視点を持った治水法として再評価されているのです。

 私のイメージする災害に強い町は、例えば、この霞提のような発想でまちづくりに取り組むことです。南海トラフ地震は必ず起こりますし、地震がおこれば津波も発生します。津波の圧力を高い防波堤を作って防ぐという発想ではなく、津波の威力を分散したり、海岸線に緩衝地帯を設けたり、津波の力に対して力だけで対抗するのではなくて、それをうまくかわすような対策が求められている気がするんですよね。それが東日本大震災の被災地を回ってみての私の感想です。

 安価な土地を求めて海際ギリギリまで宅地開発が行われたり、安易に山を切り開いて宅地造成したり、そういうことの結果が、土砂災害に巻き込まれたり、津波で流されたりといった災害の発生につながっています。
 災害に強い町づくりのカギを握るのは自然との共生です。台風や大雨や地震や津波は必ずやってくるものです。こうした自然現象を人間の科学技術でねじ伏せようとしたのでは、東日本大震災の時によく流行った「想定外」の規模の自然現象が起こった時に被害が出てしまうのです。私は、自然環境をよく観察し、自然環境をうまく活用した計画的なまちづくりが必要だと思っています。
 津波が予想される海岸線には小高い丘の公園を整備し、津波が来た時に海水を受けるための海水池を配したり、海岸線から一定の距離を保って宅地を整備したり、地域の自然環境を踏まえたまちづくり計画を作っていくことが求められています。
 土砂災害が発生する可能性のある山の周りでは、土石流が発生したときにその被害にあわないように宅地を再整備したり、洪水の発生しやすい河川では河川敷に遊歩道や運動場を作って実質的に川幅を広げて増水に対応するとか、そういう自然をうまく生かした治水対策が必要です。

 こうしたことを具体化していくためには、自治体に要求するだけではなくて、地域住民自身が自ら考え、計画づくりに参加していくことが求められます。そうでなければ実効性のあるまちづくりはできないと思うからです。

2018年6月2日土曜日

高齢者の住まいの問題と私たちの取り組み

◆アパートの賃貸契約に伴う保証人
 国土交通省が2015年12月に実施した調査で、民間賃貸住宅の家主さんの70.2%が高齢者の入居に抵抗感があると回答しています。さらに単身高齢者の入居を拒否していると答えた家主が8.7%、高齢者のみ世帯の入居を拒否していると回答した家主が4.7%いることがわかりました。

 その理由は、家賃の支払いに対する不安が61.5%と6割を超え、居室内の死亡事故に対する不安をあげたか家主が56.9%にのぼります。単身高齢者の場合の保証人の確保、死後の遺品整理などで手間がかかると感じている家主が多いことがわかりました。

 実際に、70歳をこえた方から、「今まで保証人なしで契約できたのに、今年の更新で保証人をつけるように言われた。幸い、近くに住む従妹に頼むことができたが、他の親族との交流はほとんどなく、従妹に何かあったらどうしようかと不安になる・・・。」そんな声をお聞きしたばかりです。

 私は、「もし、保証人が見つからない場合には、まちづくり研究所にご連絡ください。場合によっては、私が保証人になりますから。」とお返事させていただきました。

 こうした保証人・連帯保証人を見つけることができない人に対して、インターネットから簡単に申し込める保証人代行サービスがあります。しかし、法的な規制がないため、簡単に始められることから、色々な会社が保証人代行サービス業界に参入しており、トラブルも急増しているようです。国民生活センターが注意を呼び掛けていますが、そこには「インターネットを通じて保証人紹介業者(以下「紹介業者」という)に申し込みをしたところ、「保証人を紹介されなかった」「キャンセルを申し出たら拒否された」といったトラブルが増加傾向にある。また、保証人として紹介業者に名義登録をすれば報酬を得られるということで名義を登録したところ、多額の債務を負わされてしまったというトラブルもある。」と書かれており、安易な利用は避けたいところです。

 私は15年ほど前、大学の後輩が社長をしている会社の連帯保証人を引き受け、その会社が倒産したため、大きな負債をかかえ大変な思いをしてそれを返済したことがあり、保証人を引き受けることの意味やリスクは嫌という味わってきました。だから、お金の貸し借りにともなう連帯保証人は引き受けたくはないと思っていたら、60歳を過ぎると保証能力が問われ連帯保証人と認められないことが多いようです(法律的には年齢制限はないと思います。)。ちょっと横道にそれましたが、借金の連帯保証人を私が引き受けるのは無理(認められない可能性が高い)かもしれませんが、借金問題を解決する方法については経験してきたことも含めて、ご相談しながら克服できると思いますし、借金以外のアパートの賃貸契約等についてはお受けいたしますので、ご相談いただきたいと思います。

 もちろん一定のリスクを引き受けますし、保証人をしている期間中ずっと関係が継続していくので、まちづくり研究所の会員・賛助会員になっていただくこと、家賃の代位弁済の可能性があるので、2か月分くらいの家賃相当額をまちづくり研究所に供託していただくことを条件にさせていただきたいとは思います。ここには、家賃の支払いが滞らざるをえないような事態が生じた場合、ご一緒に2か月以内に解決しようという意味も含んでいます。

◆部屋の清掃・遺品整理
 もう一つ高齢者の住まいの問題で良くお聞きするのが、家の片づけのことです。長い人生を生きてきて、思い出の品々が家のあらゆるところに満ち溢れ、いつの間にか生活そのものが圧迫されているケースを見てきました。

 「貰いものを捨てられない」ことで家の中にものがあふれ床が見えない部屋、だんだん体を動かすのがおっくうになって捨てられなくなった粗大ごみや資源ごみが溢れる部屋、まちづくり研究所はこうした部屋の片付け・掃除をお手伝いします。

 また、最近では生前贈与を希望される方も増えています。大事なコレクションや自身の創作品など、生きているうちに貰って欲しいと思う人に手渡したい、そういう人が多くなったといわれます。終活という言葉が生まれ、自分の人生をどう終えるかということを生きているうちに考えておきましょうという考え方が提起されました。そんな中で、自分の生きてきた歴史や価値を次の世代に引き継いでから人生を終えたいと考える人が増えたのでしょう。

 まちづくり研究所は、遺品整理は文化や価値を次の世代に引き継ぐ作業だと考えています。また、一つひとつの物にはそれぞれの思い出がつまっており、ないがしろにすることはできません。そんな姿勢で、遺品整理のお手伝いをさせていただきます。

◆空き家の活用
 総務省発表の2013年の住宅・土地統計調査によると、総住宅数は 6,063 万戸と5年前に比べ305 万戸(5.3%)増加、空き家数は 820 万戸と5年前に比べ63 万戸(8.3%)増加。空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%と 0.4 ポイント上昇し、過去最高となりました。別荘等の二次的住宅数は 41 万戸。二次的住宅を除く空き家率は12.8%です。共同住宅数は2,209 万戸で5年前に比べ141 万戸(6.8%)増加、住宅全体に占める割合は,42.4%と5年前に比べ,0.7 ポイント上昇しました。

 空家数は今後も増加していくとみられていますが、その空き家を有効活用し、高齢者向けの住宅等の整備につなげたいと考えています。売買のお手伝いから、例えば、シェアハウスへのリユースや地域のたまり場としての整備、不足する地域資源を解消するための仕事おこしへの活用など、様々な実践が全国各地で取り組まれています。

 まちづくり研究所でも、地域の状況に応じた空き家の活用方法を皆さんと一緒に考え、具体的な形にしてくことを大事にして、空き家の有効活用に取り組んでいきます。

 住宅問題で困ったら、一人で思い悩まずに、まずはまちづくり研究所にご連絡ください。ご一緒に解決していきましょう。

2018年5月29日火曜日

入院時の差額ベッド代

 病院の差額ベッド代についてご質問をいただいた。高齢者ご夫妻のお宅で、夫が呼吸が苦しいというので妻が救急車を呼んで、救急指定病院に運ばれ、肺炎と診断され1週間ほど入院したのだが、差額ベッド代のかかるベッドしか空いていないと言われ、仕方なく同意書に署名した。二人部屋で1日3,000円かかる部屋だったそうだが、家計のやりくりが大変な中での21,000円の差額ベッド代負担は辛かった、というお話だった。そして、病院のベッドは差額ベッド代は必ず払わなければならないものなのか?というのが質問の主旨だった。
 あらためて、差額ベッド代のルールを整理しておきたい。下に、厚労省保険局課長通知の抜粋を資料として載せておく。

【差額ベッド代の原則】
1 ベッド数の5割まで
 保険医療機関の病床数の5割まで、妥当な範囲の差額ベッド代の負担を求めることを認める。
2 特別の負担にふさわしい療養環境
 病室のベッド数4床以下、一人当り床面積6.4㎡以上、プライバシーが保護され、個人用収納庫や小机・椅子等の設備を有する場合に、差額ベッド代の徴収を認める。
3 患者への十分な説明に基づく、患者の自由な選択と同意
 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならない。
4 院内掲示と患者への説明と同意書
 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しなければならない。また、特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させなければならない。なお、この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うこと。
5 差額ベッド代を請求できないケースの例示
① 同意書による同意の確認を行っていない場合
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
③ 感染防止や差額ベッドのいらない病床が満床であるなど実質的に患者の選択によらない場合

 ほかにも細かな取り決めがあるが、患者として知っておかなければならないのはこれで十分。今回の相談のケースでは、満床であることを理由に差額ベッド代の必要な病室に入院を余儀なくされたわけだから、差額ベッド代を請求できないケースの③に該当する。奥さんが署名した同意書には、差額ベッドの要らない病床が満床だからという記載があるわけではなく、差額ベッド代1日3,000円かかる病室への入院することを同意する旨の記載しかなく、説明し、納得し、同意書に署名したと主張されると反論は難しいのだろうなと思われた。

 私が病院とお話しても良いですし、岡山県の医療安全センターに対応してもらうこともでできますよ、とお声掛けしたが、今回は1週間ほどで何とかなる範囲だからそこまでしなくてもいいということだった。奥さんは「次からは、気を付けて無駄な差額ベッド代を払わなくても済むようにしたい。」と言っていた。蛇足ながら、私は、差額ベッド代をもらっていない病院もあるんですよと、古巣の、岡山協立病院を紹介しておいた。全日本民主医療機関連合会(民医連)に加盟する病院は、差額ベッド代をもらっていない、庶民にとっては貴重な存在だ。

 こんな場合の苦情相談窓口として、まちづくり研究所を活用していただければ良いのだが、岡山県でいえば岡山県医療安全支援センターがあり、次のような相談実施方針のもと、県民の苦情・相談に対応している。
(1)中立的な立場から患者・家族と医療関係者・医療機関との信頼関係を構築
(2)医療事故であるか否かや、責任の所在を判断するものではない
  あくまで患者・家族及び医療機関の問題解決に中立的立場から助言する。
(3)ご相談の内容によってはより適した相談窓口を紹介。
(4)相談は匿名可。また、医療機関等へ連絡する際も相談者の了解を得て行う。

【岡山県医療安全センター】
相談受付日:月曜日から金曜日(国民の祝日及び休日、年末年始の休日を除く)
相談時間:8時30分から12時。 13時から17時15分
電話番号:086-226-7322
相 談 員:2名(看護職)
 ※その他にも各保健所に相談窓口を開設している。

 また、岡山市、倉敷市はそれぞれ保健所の中に、医療相談窓口をもうけている。
【岡山市・倉敷市の医療相談窓口】
◆岡山市保健所 保健課  
  岡山市北区鹿田町1-1-1 
  電話:086-803-1254
◆倉敷市保健所 保健課   
  倉敷市笹沖170 
  電話:086-434-9812

--------------------------------------------------------
【資料】保医発0305第6号平成30年3月5日(抜粋)

12 特別の療養環境の提供に係る基準に関する事項
i)入院医療に係る特別の療養環境の提供
(1) 療養環境の向上に対するニーズが高まりつつあることに対応して、患者の選択の機会を広げるために、(2)の要件を満たす病床について保険医療機関の病床(健康保険法(大正11年法律第70号)第63条第3項第1号の指定に係る病床(健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法(平成9年法律第123号)第48条第1項第3号に規定する指定介護療養施設サービスを行う同法第8条第26項に規定する療養病床等を除く。)に限る。以下第3において同じ。)の数の5割まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。

(2) 療養環境については、患者が特別の負担をする上でふさわしい療養環境である必要があり、次の①から④までの要件を充足するものでなければならないこと。
① 特別の療養環境に係る一の病室の病床数は4床以下であること。
② 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること。
③ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。
④ 特別の療養環境として適切な設備を有すること。

(3) (1)にかかわらず、厚生労働大臣が次に掲げる要件を満たすものとして承認した保険医療機関にあっては、当該承認に係る病床割合まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
① 当該保険医療機関の所在地を含む区域(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第2項第10号に規定する区域をいう。)における療養病床(同法第7条第2項第4号に規定する療養病床をいう。)及び一般病床(同法第7条第2項第5号に規定する一般病床をい
う。)の数が、同法第30条の4第1項に規定する医療計画において定める当該区域の療養病床及び一般病床に係る基準病床数に既に達しており、かつ、特別の療養環境に係る病床数の当該保険医療機関の病床数に対する割合を増加しても患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないこと。
 この場合においては、当該保険医療機関におけるこれまでの特別の病室の稼働の状況、特別の病室の申し込みの状況等を勘案し、当該保険医療機関の特別の病室を増加しても、患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないかどうか判断するものとすること。
② 経験を有する常勤の相談員により、特別の療養環境の提供に係る病室への入退室及び特別の料金等に関する相談体制が常時とられていること。
③ 必要に応じ、患者を適切かつ迅速に他の保険医療機関に紹介することができる等の他の保険医療機関との連携体制が整えられていること。
④ 当該保険医療機関における特別の療養環境の提供に係る病室のすべてについて、一の病室の病床数が2床以下であり、かつ、病室の面積及び設備については(2)の②から④までの要件を充足するものであること。
⑤ 算定告示別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)第1章第2部第1節又は別表第二歯科診療報酬点数表(以下「歯科点数表」という。)第1章第2部第1節に規定する7対1入院基本料及び10対1入院基本料、療養病棟入院基本料(特別入院基本料等を除く。)並びに有床診療所入院基本料1及び有床診療所入院基本料4を算定する保険医療機関であること。
⑥ 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第19条第1項第1号及び第2号に定める医師及び歯科医師の員数を満たしていること。
⑦ 厚生労働大臣から当該承認を受ける前6月間において掲示事項等告示第3の基準に違反したことがなく、かつ現に違反していないこと。

(4) (3)の承認に係る病床割合については、次の事項を基準として設定すること。
① 医科点数表又は歯科点数表に掲げる療養環境加算、重症者等療養環境特別加算等を算定する病室として当該保険医療機関が届出を行っている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
② 特定集中治療室、小児特定集中治療室、新生児特定集中治療室、母体・胎児集中治療室、一類感染症患者入院医療管理治療室等患者の治療上の必要があるために入院するものとして設けられている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
③ 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院をいう。)、救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院等、「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された保険医療機関等において救急患者のために設けられた専用病床等は、承認に係る病床から除外すること。
④ ①から③までのほか、当該保険医療機関におけるこれまでの特別療養環境室以外の病床への入院状況、特別療養環境室への入院希望の状況、救急患者の割合等を総合的に勘案し、特別療養環境室に係る病床以外の病床を一定割合確保すること。

(5) (1)及び(3)にかかわらず、特定機能病院以外の保険医療機関であって、国又は地方公共団体が開設するものにあっては、その公的性格等にかんがみ、国が開設するものにあっては病床数の2割以下、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の3割以下としたこと。

(6) 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。

(7) 特別療養環境室へ入院させた場合においては、次の事項を履行するものであること。
① 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。
② 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。
③ この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるようにしておくこと。

(8) 患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられること。なお、③に掲げる「実質的に患者の選択によらない場合」に該当するか否かは、患者又は保険医療機関から事情を聴取した上で、適宜判断すること。
① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
(例)
・救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
・免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
・集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
・後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
・クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
(例)
・MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者の場合。
・特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合。
 なお、「治療上の必要」に該当しなくなった場合等上記②又は③に該当しなくなったときは、(6)及び(7)に示した趣旨に従い、患者の意に反して特別療養環境室への入院が続けられることがないよう改めて同意書により患者の意思を確認する等、その取扱いに十分に配慮すること。

(9) 患者が事実上特別の負担なしでは入院できないような運営を行う保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられるおそれがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は更新による再指定に当たっては、十分改善がなされた上で、これを行う等の措置も考慮すること。(3)に掲げる保険医療機関については、特に留意すること。

(10) 平成6年3月31日現在、従来の特別の病室として特別の料金を徴収している病室が(2)の②に掲げる要件を満たしていない場合は、当該病床を含む病棟の改築又は建替までは経過的に当該要件を課さないこととするが、早急に改善されるべきものであること。

(11) 保険医療機関は、特別の療養環境の提供に係る病床数、特別の料金等を定期的に地方厚生(支)局長に報告するとともに、当該事項を定め又は変更しようとする場合には、別紙様式1により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。

2018年5月21日月曜日

酒税法改正

 私が、御前酒クラブ(御前酒のサポーター団体)の会長をしているので、お酒のことも聴かれることが多いのですが、先日、酒税法の改正でお酒の値段はあがるのか?という質問をされました。私、ビールの定義が変更になるということくらいしかチェックしてなくて、即答できなかったのです。これではいかんということで、あらためてどんな改正なのかを整理しておきたいと思います。

 昨年改正された酒税法では、種類の品目等の定義が変更されました。そして、段階を負って施行されています。

◇2017年4月施行
 (旧)連続式蒸留しょうちゅう ⇒ (新)連続式蒸留焼酎
 (旧)単式蒸留しょうちゅう ⇒ (新)単式蒸留焼酎
 ※平仮名標記を常用漢字化しました。

◇2018年4月施行
① ビールの麦芽比率(ホップ及び水を除いた原料の重量中、麦芽が占める割合をいい
ます。)の下限が 100 分の 50 まで引き下げられるとともに、使用する麦芽の重量の 100分の5の範囲内で使用できる副原料として、果実(果実を乾燥させたもの、煮つめた
もの又は濃縮させた果汁を含みます。)及び香味料(コリアンダーなど一定の香味料)
が追加されました。
出典:国税庁ホームページ
要するに、ビールの幅が広がりました。これにより従来発泡酒と標記されれることのあるベルギービールの一部がビールの仲間入りをします。
② 果実酒の範囲に「果実酒にオークチップを浸してその成分を浸出させたもの」が加
えられます。
③ ②の改正に伴い、ブランデーの定義が改正されます。

 酒類の品目が変更になる酒類を整理すると下表のようになります。
出典:国税庁
肝心の酒税はどうなるかと言えば、下表のように段階的に整理されていきます。これをみると、現在、ビール、発泡酒、第三のビール、その他の発泡性酒類と細かく酒税が設定されていましたが、段階的に整理されて、2026年には一本化されます。この表では解りにくいので、350mlの缶ビール・発泡酒を例にとって説明すると、221円(消費税込み、コンビニエンスストアの標準価格)のビールに今までかかっていた酒税は77円。そして8%の消費税として16円がかかっていました。ビールの小売価格に占める税負担率は、約42.2%です。同じく164円の発泡酒の場合、酒税は47円。消費税は12円で税率負担は約36.1%。そして、143円の第3のビールは酒税が28円、消費税が11円で、税率負担は約27%です。酒税が一本化されると、発泡酒類の酒税55円程度に統一されます。すると、ビールは24円安くなり、発泡酒は8円高くなり、第三のビールは28円高くなるということになります。
出典:国税庁
◇2023年10月1日から改正されるもの
 発泡酒の範囲に「ホップ又は一定の苦味料を原料の一部とした酒類」及び「香味、色沢その他の性状がビールに類似するもので苦味価及び色度の値が一定以上のもの」で発泡性を有するものが加えられます。この改正でいわゆる「新ジャンル」が発泡酒に分類されることになります。
出典:国税庁
◇2026年10月1日から改正されるもの
 その他の発泡性酒類の範囲が「アルコール分が 11 度未満」(改正前は 10 度未満)に改正されます。
 また、発泡性を有しない低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の税率の特例についても改正され、2026年10月1日から、以下のとおり変更されます。
出典:国税庁

 ということで、今回の改正で、ビールの酒税が下がり、ちょっと安くなりそうですが、庶民にとってありがたい存在だった、第三のビールの値段が大幅値上げとなります。少々辛い酒税の改定だといえそうです。

2018年5月16日水曜日

何でも相談

 まちづくり研究所の重要な活動の一つに、暮しの困った何でも相談があります。高齢や国籍などを理由に銀行口座が開設できないとか、アパートの更新時期が来るのだけれど、高齢を理由に連帯保証人を用意しろと言われているが、一人暮らしで親族とも疎遠になっていて頼める人がいないとか、小さな畑があるのだけれど、足腰が弱って畑の面倒がみられなくなったとか、暮らしていくということはそういう困りごとに突然巻き込まれることでもあります。

 そんな時に、一人で抱え込んであれこれ悩むのはやめませんか。まちづくり研究所の何でも相談は、そんな突然目の前に表れた困りごとに対して一緒に解決策を考えていこうという活動です。まちづくり研究所は、そういう一つひとつの問題を集めて、同じような問題で困る人を無くすためにどうしたらいいかを考え、まちづくりの政策課題として行政に働きかけ、きめの細かいセーフティーネットをつくろうと考えています。

 無料相談ですので、お気軽に活用してください。ただし、解決策を具体化していく中で、何かを買うとか、人の力を借りるとかということになった場合には、お金が必要となる場合がありますので、ご理解いただきたいと思います。

 まちづくり研究所の活動は、会員・賛助会員の会費と、寄付金で運営しています。興味のある方は、是非ともまちづくり研究所の会員になってください。そして、寄付金はいつでも大歓迎です。

2018年5月14日月曜日

原発ゼロ法案



先週土曜日、原発ゼロ法案の勉強会に参加してきました。講師は、衆議院議員の高井たかしさんです。3月9日に立憲民主、共産、自由、社民の4党と無所属の会の2名が3月9日、衆院に共同提出した法案の内容とその意義についてお話をお聞きしました。

1.パリ協定 ~ 世界は自然エネルギー100%が目標!
 パリ協定では、次のような世界共通の長期目標を掲げています。
◇ 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
◇ そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

 パリ協定は、この目標達成のために、各国に対しては「自主的な削減目標を国連に出すこと」と「達成のため、削減に向けた国内の対策を取ること」を義務づけています。平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を求められていますが、この目標を達成するためには、ほとんどの化石燃料を燃やすことはできないと言われるほど厳しい内容を含んでいます。
 にも関わらず日本政府は原発再稼働にこだわり、政府主導で原発輸出めざすなど、世界の潮流に逆行する動きを見せています。

 実際に世界では再生可能エネルギーへの転換がかなりの速度で進んでいる状況が報告されました。

 2016年は自然エネルギー発電設備の新規導入量で新たな記録が生まれました。新規導入量は161GW(1億6100万kW)に達し、世界全体の自然エネルギーの累積の発電設備容量は2015年末から約9%増加し、2,017GW(20億1700万kW)近くに達しています。太陽光発電は約47%も設備容量が増加し、風力発電は34%、水力発電は15.5%設備容量が増加して後に続きました。

2.自然エネルギーは発電コストも安い
 自然エネルギーは最も発電コストが安い選択肢となってきています。デンマーク、エジプト、メキシコ、ペルー、アラブ首長国連邦での最近の買電契約では、自然エネルギーによる電気はキロワット時あたり5セント米ドル(約5.6円)以下で調達されています。これは各国での化石燃料や原子力の発電コストより充分に安くなっています。ドイツでの最近の2つの洋上風力プロジェクトが入札で落札されましたが、発電事業者は政府支援(訳注:補助金)を必要としない電気の卸売価格のみで応札しており、自然エネルギーが最も発電コストの安い選択肢となりえることを示しています。

 日本でも、事故コストを入れた原子力発電の発電コストが13.3円なのに対し、火力発電のコストは9.9円、水力発電のコストは3.9円となっています。

3.原子力発電は大きな出力を得られるというメリットがありますが、事故対応の社会的コストや使用済み核燃料の処分のめどが立たないなど、そもそも原発を動かし続けることに無理があります。

 CO2の排出がないクリーンなエネルギーだというけれど、東京電力福一原発事故で私たちは放射性物質による環境破壊を目の当たりにして、放射能汚染により汚染地域で人は暮せないし、避難生活を支える社会的コストなどを含めればはるかに大きなデメリットがあることを学びました。
 使用済み核燃料などの最終処分のめどが立たず、危険な核のゴミが原子力発電所に蓄積されています。地層処分を提起していますが、住民説明会に電力会社がバイト代を払って参加者を動員するなどの不正も発覚しています。

4.原発ゼロしか選択肢はない。
 原発ゼロ法案で提起されていることを整理すると次のようなことになります。
◇省エネの徹底でそもそも電力の使用量を抑える。
◇再生可能エネルギーの最大限の導入
◇原発については
 ・新増設・リプレースは認めない
 ・40年の稼働で廃炉
 ・核燃料サイクルは中止
 ・原発・関連施設立地地域への支援
 ・廃炉への支援・電力会社への損失補填

 早期に原発ゼロ基本法案が成立することを期待すると同時に、私も法案成立を応援したいと思います。

 私は、電力の地産地消を提起したいと思います。日本はどこに行っても川が流れる豊かな水の国です。各地にある水の流れをうまく活用した、小規模水力発電の普及に取り組みたいと思っています。何といっても町内の川の流れを活用するわけですから、送電ロスは限りなく小さく抑えられるし、水の流れでタービンを回すだけですから、一度設置すればそう簡単に壊れるものではありません。台風や大雨での増水を気にする必要がありますが、小規模水力発電所ですから被害をおさえる仕組みはそう難しくないように思います。もちろん、その他にも屋根は全部太陽光パネルにして、すべの住宅が太陽光発電所になるなどというのも良いアイデアだと思います。

 各町内会といったレベルで協同組合を作り、その協同組合が太陽光発電や水力発電所を所有して発電するわけです。そして、町内会でつくった電気を町内みんなで使うというようなことができれば、もう原発に頼らなくたって良いってことになるわけです。そんなことを思い描きながら学習会に参加してきました。

資料:原発ゼロ基本法案

 立憲民主、共産、自由、社民の4党と無所属の会の2名が3月9日、衆院に共同提出した「原発ゼロ基本法案(原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案)」の全文を起こしました。
======================================
原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案

目 次
前 文
第一章 総則( 第1条 第7条)
第二章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の目標(第8条)
第三章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の基本方針( 第9条 第12条)
第四章 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画(第13条)
第五章 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部(第14条 第23)
第六章 雑則(第24条・第25条)
附 則


 我が国は、今次の大戦において、原子爆弾の投下により未曽有の惨禍を被ったが、昭和30年の原子力基本法の制定以来、原子力の平和的利用の名の下に原子力発電を推進してきた。原子力発電には、安全性の問題のみならず、使用済燃料及び放射性廃棄物の処分方法、労働者の被ばくの危険性等の問題がある。それにもかかわらず、発電に要する経費が安価である、二酸化炭素を排出しない、核燃料サイクルによりエネルギーを無限に得られる等の主張は、原子力発電に関する諸問題から国民の目をそらし、殊更に強調された原子力発電の安全性は、日本の原子力発電所で事故は発生しないとの安全神話を生み出した。

 しかし、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故は、原子力発電に依存する経済社会の構造に抜本的な改革を迫るものとなった。当該事故による原子力災害により多数の住民が避難を余儀なくされ、放射性物質による汚染に起因して住民の健康上の不安も生じている。今や安全神話は崩壊し、原子力発電は計り知れないほど重大な危険を伴うものであるとの認識が広がっている。

 こうした現実に直面した今日、我々には、これまでの国の原子力政策が誤りであったことを認め、これに協力して日本の経済社会を支えてきた地域の経済の発展を促進しつつ、全ての実用発電用原子炉等を速やかに停止し、及び計画的かつ効率的に廃止するとともに、電気の需要量の削減及び再生可能エネルギー電気の供給量の増加によりエネルギーの需給構造を転換し、持続可能な社会を実現する責務がある。

 原発廃止・エネルギー転換の実現は、未来への希望である。原発廃止・エネルギー転換を実現することにより、環境と調和のとれた新しい経済社会を創造するとともに、そのために創出される新 技術を通じて原子力発電所のない世界の実現に貢献することができる。さらに、原発廃止・エネルギー転換の実現による脱炭素化の促進は、地球規模の緊要な課題である気候変動の問題の解決に資するものとなる。

 ここに、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。

 第 1 章 総 則
(目 的)
第1条
 この法律は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関し、基本的な理念及び方針を定め、国等の責務を明らかにし、並びに原発廃止・エネルギー転換改革推進計画の策定等について定めるとともに、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部を設置することにより、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定 義)
第2条
 この法律において「原発廃止・エネルギー転換」とは、全ての実用発電用原子炉等が廃止されるとともに、電気の需要量の削減及び再生可能エネルギー電気の供給量の増加によりエネルギーの需給構造が転換されることをいう。

 この法律において「実用発電用原子炉等」とは、実用発電用原子炉(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第43条の4第一項に規定する実用発電用原子炉をいう。第4条第二項及び第9条第二項第二号において同じ。)及び高速増殖炉(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構法(平成16年法律第155号)第2条第五項に規定する高速増殖炉をいう。)をいう。

 この法律において「再生可能エネルギー電気」とは、再生可能エネルギー源(太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものをいう。以下同じ。)を変換して得られる電気をいう。

(基本理念)
第3条
 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。
一 電気の安定供給の確保を図りつつ、全ての実用発電用原子炉等の運転を速やかに停止し、及び全ての実用発電用原子炉等を計画的かつ効率的に廃止すること。
二 エネルギーの使用の合理化等により、電気の需要量を削減すること。
三 自然環境及び生活環境の保全に配慮しつつ、再生可能エネルギー電気の供給量を増加させること。

(国の責務)
第4条
 国は、前条の基本理念(次条において単に「基本理念」という。)にのっとり、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえ、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を推進する責務を有する。

2 国は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に当たって生じ得る実用発電用原子炉を設置している電気事業者(電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第一項第十七号に規定する電気事業者をいう。以下同じ。)等の損失に適切に対処する責務を有する。

3 国は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を推進するに当たっては、原子力発電所等の周辺の地域の経済に及ぼす影響に十分に配慮しなければならない。

(地方共団体及び電気事業者等の責務)
第5条
 地方公共団体及び電気事業者等は、基本理念にのっとり、国による原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進に協力する責務を有する。

(法制上の措置等)
第6条
 政府は、第3章に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上、財政上、税制上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。この場合において、第9条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後2年以内を目途として講ずるものとする。

(年次報告)
第7条
 政府は、毎年、国会に、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関する施策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。


   第 2 章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の目標
第8条
 政府は、この法律の施行後五年以内に、全ての実用発電用原子炉等の運転が廃止されることを目標とするものとする。

2 政府は、一年間における電気の需要量について、平成42年までに平成22年の一年間における電気の需要量からその百分の三十に相当する量以上を減少させることを目標とするものとする。

3 政府は、一年間における電気の供給量に占める再生可能エネルギー電気の供給量の割合について、平成42年までに百分の四十以上とすることを目標とするものとする。

   第 3 章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の基本方針
(全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止)
第9条
 政府は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえ、実用発電用原子炉等の廃止並びに使用済燃料及び放射性廃棄物の管理及び処分に関する国の関与の在り方その他の全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止のための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない。

2 政府は、全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止を推進するため、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 原子力災害対策(原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第6条の二第一項に規定する原子力災害対策をいう。)を重点的に実施すべき区域の住民の安全を確保するものとすること。
二 実用発電用原子炉を運転することができる期間の延長を認めないものとすること。
三 実用発電用原子炉等の設置の許可及び増設を伴う変更の許可を新たに与えないものとすること。
四 使用済燃料及び放射性廃棄物の管理及び処分は適正な方法によるものとし、使用済燃料の再処理は行わないものとすること。
五 実用発電用原子炉等を廃止し、又は使用済燃料の再処理の事業を廃止しようとする者に対し、必要な支援を行うものとすること。
六 電気のエネルギー源について、再生可能エネルギー源、可燃性天然ガス等の原子力以外のエネルギー源の利用への転換を図るものとすること。
七 新たな産業の創出、電気事業者の事業の継続等により、原子力発電所等の周辺の地域の経済の振興及び雇用の確保を図るものとすること。

(電気の需要量の削減)
第10条
 政府は、電気の需要量を削減するため、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 国等によるその設置する施設におけるエネルギーの使用の合理化を推進するものとすること。
二 事業者によるエネルギーの使用の合理化の円滑な実施を促進するものとすること。
三 建築物のエネルギー消費性能の更なる向上を図るものとすること。
四 熱についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源及び廃熱の利用を促進するものとすること。
五 国内の地域に存するエネルギー源から得られ、又は製造されたエネルギーのその地域における利用を促進するものとすること。

(再生可能エネルギー電気の供給量の増加)
第11条
 政府は、再生可能エネルギー電気の供給量を増加させるため、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 国等によるその設置する施設における再生可能エネルギー電気の利用を推進するものとすること。
二 電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用を促進するものとすること。
三 送電に係る事業と配電に係る事業の分離、電力系統の適正化等により再生可能エネルギー電気の供給を促進するものとすること。
四 地域の住民又は小規模の事業者の再生可能エネルギー電気の利用又は供給に係る自発的な協同組織の発達を図るものとすること。

(研究開発の推進等)
第12条
 政府は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を推進するため、実用発電用原子炉等の廃止及び再生可能エネルギー源の利用に関する研究開発その他の先端的な研究開発の推進並びにその成果の普及、研究者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。

   第 4 章 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画
第13条
 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部は、この法律の施行後一年を目途として、前章に定める基本方針に基づき、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進に関する計画(以下この条及び第十五条第一号において「原発廃止・エネルギー転換改革推進計画」という。)を定めなければならない。

2 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止に関する事項
二 電気の需要量の削減に関する事項
三 再生可能エネルギー電気の供給量の増加に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進のために講ずべき措置その他の必要な事項

3 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部は、原発廃止・エネルギー転換改革推進計画を定めたときは、これを内閣総理大臣に報告しなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による報告があったときは、原発廃止・エネルギー転換改革推進計画を国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、原発廃止・エネルギー転換改革推進計画の変更について準用する。

   第 5 章 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部
(設置)
第14条
 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部(以下「本部」という。)を置く。

(所掌事務)
第15条
 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画を策定し、及びその実施を推進すること。
二 前号に掲げるもののほか、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関する施策であって基本的かつ総合的なものの企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。

(組織)
第16条
 本部は、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部長、原発廃止・エネルギー転換改革推進副本部長及び原発廃止・エネルギー転換改革推進本部員をもって組織する。

(原発廃止・エネルギー転換改革推進本部長)
第17条
 本部の長は、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

(原発廃止・エネルギー転換改革推進副本部長)
第18条
 本部に、原発廃止・エネルギー転換改革推進副本部長(次項及び次条第二項において「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。

2 副本部長は、本部長の職務を助ける。

(原発廃止・エネルギー転換改革推進本部員)
第19条
 本部に、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。

(資料の提出その他の協力)
第20条
 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体及び独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第一項に規定する独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第一項第九号の規定の適用を受けるものをいう。)、認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人をいう。)及び電気事業者の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他の必要な協力を求めることができる。

2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

(事務局)
第21条
 本部に、その事務を処理させるため、事務局を置く。

2 事務局に、事務局長その他の職員を置く。

3 事務局長は、本部長の命を受け、局務を掌理する。

(主任の大臣)
第22条
 本部に係る事項については、内閣法(昭和22年法律第5号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

(政令への委任)
第23条
 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

   第 6 章 雑 則
(原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進を担う組織の在り方に関する検討)
第24条
 政府は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進を担う組織(本部を除く。)の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする。

(国民の理解を深める等のための措置)
第25条
 政府は、教育活動、広報活動等を通じて、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関し、国民の理解を深めるとともに、国民の協力を求めるよう努めなければならない。

 附則
 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四章及び第五章の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 理由
 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関し、基本的な理念及び方針を定め、国等の責務を明らかにし、並びに原発廃止・エネルギー転換改革推進計画の策定等について定めるとともに、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部を設置することにより、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

出前学習

 まちづくり研究所では、出前学習会と称して暮らしに役立つ情報や、これからの地域社会づくりについて等をテーマに、地域に出かけて行って学習会の講師を引き受けさせていただいています。何も整理したものがなかったのですが、下の画像のように、出前学習会メニューに整理してみました。ここに書かれていないことでも、ご相談いただければ対応させていただきますので、お気軽にお声掛けください。

 私の学習会のスタイルは、一方的に講義をするのではなくて、与えられたテーマについて一緒に深めていくということを大事にしています。わかりやすく、実用的な知識も得られ、まちづくりについて考えるヒントとなるような学習会を心がけていいます。町内会、サークル、ボランティアの集まりなど、色んな集まりの中に、学びの時間を取り入れてみませんか?

 資料代、交通費で数千円をご負担いただきますが、講師料はいただいておりませんので、気軽にお声掛けください。

 ただし、まちづくり研究所は、会員・賛助会員の年会費と地域の皆さんの寄付やカンパなどで運営していますので、学習会の際のカンパは大歓迎です。


岡山市の国民健康保険制度

 続いて、具体的に岡山市を例にとって国保料等について見ておく。

【保険料率決定の仕組み】
 国民健康保険料は、国民健康保険分、後期高齢者支援金分、介護保険分から成り立っており、それぞれの保険料率は、以下のように決定する。

(1)国民健康保険分
 「国民健康保険分」の保険料は、その年に予測される医療費から、国・県・市等からの歳入と、病院などで支払う一部負担金を除いた額を、応能割、応益割に按分し、これを加入者全体の所得、人数、世帯数で除して保険料率を決定する。
 ○ 応能割(=所得割50%)
 ○ 応益割(=世帯別15%、均等割35%)

(2)後期高齢者支援金分
 平成20年4月の後期高齢者医療制度創設に伴い、これまで「国民健康保険分」から負担していた老人保健制度への拠出金を、「後期高齢者支援金分」として明確にし、「国民健康保険分」と区分することになった。「後期高齢者支援金分」の保険料は、後期高齢者医療制度の現役世代からの支援金としてその年に国(社会保険診療報酬支払基金)に納付すべき額から、国・県からの歳入を除いた額を、応能割、応益割に按分し、これを加入者全体の所得、人数、世帯数で除して保険料率を決定する。
 ○ 応能割(=所得割50%)
 ○ 応益割(=世帯別15%、均等割35%)

(3)介護保険分
 40歳以上65歳未満の人は、「国民健康保険分」、「後期高齢者支援金分」の保険料とは別に「介護保険分」の保険料が別途必要となる。 「介護保険分」の保険料は、その年に国に納付すべき介護納付金から、国・県からの歳入を除いた額を、応能割、応益割に按分し、40歳以上65歳未満の加入者全体の所得、人数、世帯数で除して保険料率を決定する。
○ 応能割(=所得割50%)
 ○ 応益割(=世帯別15%、均等割35%)


【国保料の計算方法】
 岡山市の国民健康保険料は、被保険者の前年中の基礎控除後の総所得金額等(※1)と、人数、世帯を基礎に計算する。また、40歳以上65歳未満の人のいる世帯は介護保険分が上乗せされることになる。
 平成29年度保険料の計算は以下のとおり。

(1)国民健康保険分(0歳から74歳の人)
 ① 所得割額   (前年中の基礎控除後の総所得金額等)×0.0720
 ② 均等割額   被保険者1人あたり 26,400円
 ③ 平等割額   1世帯あたり 21,120円

(2)後期高齢者支援金分(0歳から74歳の人)
 ④ 所得割額   (前年中の基礎控除後の総所得金額等)×0.0260
 ⑤ 均等割額   被保険者1人あたり 8,880円
 ⑥ 平等割額   1世帯あたり 6,960円

(3)介護保険分(40歳から64歳の人)(※2)
 ⑦ 所得割額   (前年中の基礎控除後の総所得金額等)×0.0220
 ⑧ 均等割額   介護保険第2号被保険者1人あたり 9,360円
 ⑨ 平等割額   1世帯あたり 5,280円

 ○ 1年間の保険料=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦+⑧+⑨

 ただし、算出料額が賦課限度額を超える場合は賦課限度額となる。
《賦課限度額》
 国民健康保険分  540,000円
 後期高齢者支援金分190,000円
 介護保険分    160,000円

(※1)基礎控除後の総所得金額等
・・総所得金額+山林所得+特別控除後の分離課税所得-基礎控除(上限33万円)
(確定申告不要制度の対象となる株式等の譲渡所得等や配当所得等のある人は、確定申告をすることで所得税の還付や住民税の減額を受けられることがある。その場合、これらの所得が所得金額に加算されるため、保険料や医療費の自己負担割合、限度額が増えたり、所得制限のある制度が適用できなくなったりする場合があるので注意が必要。 なお、住民税で申告不要制度を選択した場合は所得金額に加算されない。住民税で申告不要制度を選択するには、所得税の申告書とは別に、住民税の申告書を各区市税事務所に住民税の決定通知書が届くまでに提出する必要がある。 )

(※2)65歳以上の方の介護保険料は、国民健康保険料とは別に納めることになる。

2018年5月12日土曜日

国民健康保険制度が変わった

 今年の4月から国民健康保険制度が変わった。早速、「どこが、どう変わったのか?」というご相談をいただいたので、少し整理しておくことにした。

 まず、今回の改正について国は、増大する医療費をあげている。下のグラフのように1985年16兆円、1995年27兆円、2005年33.1兆円、2015年42.3兆円と高齢化の進行とともに着実に医療費は増加している。そして団塊の世代全員が後期高齢者となる2025年には61兆円を超えると試算されている。
 また、二つ目には少子高齢化による現役世代の負担増をあげる。高齢者の有病率は当然のことだが高い。後期高齢者の給付費が、若人の約5倍、年86万円にのぼることを指摘しているが、それは、国民健康保険制度が会社勤めをしているいわゆる社会保険加入者以外を対象としているため、もともと国保の被保険者は高齢者が多いのだから当然のことなのだ。



出典:厚生労働省作成資料

 国は、国民健康保険制度が日本の国民皆保険の基盤となる仕組だが同時に構造的な課題を抱えていると指摘する。その課題が、「年齢構成が高く医療費水準が高い」、「所得水準が低く保険料の負担が重い」、「財政運営が不安定になるリスクの高い小規模保険者が多く、財政赤字の保険者も多く存在する」の三つだ。
◆年齢構成が高く医療費水準が高い
・ 65~74歳の割合:市町村国保(38.9%)、健保組合(3.0%)
・ 一人あたり医療費:市町村国保(35.0万円)、健保組合(14.9万円)
◆所得水準が低く保険料負担が重い
・ 加入者一人当たり平均所得:市町村国保(84.4万円)、健保組合(207万円(推計)
・ 無所得世帯割合:28.4%
・加入者一人当たり保険料/加入者一人当たり所得
  市町村国保(9.8%)、健保組合(5.7%) ※健保は本人負担分のみの推計値
◆財政運営が不安定になるリスクの高い小規模保険者が多く、財政赤字の保険者も多く存在する
・収納率:平成11年度 91.38% → 平成27年度 91.45%
・最高収納率:95.49%(島根県) ・最低収納率:87.44%(東京都)
・市町村による法定外繰入額:約3,900億円 うち決算補てん等の目的 :約3,000億円、繰上充用額:約960億円(平成27年度)
・1716保険者中3,000人未満の小規模保険者 471 (全体の1/4)
・ 一人あたり医療費の都道府県内格差 最大:2.6倍(北海道) 最小:1.1倍(富山県)
・ 一人あたり所得の都道府県内格差 最大:22.4倍(北海道) 最小:1.2倍(福井県)
・ 一人当たり保険料の都道府県内格差 最大:3.6倍(長野県)※ 最小:1.3倍(長崎県)
  ※東日本大震災による保険料(税)減免の影響が大きい福島県を除く。

そこで、これらの課題を解決していくために、三つの改革の方向性が提起された。①医療保険制度の安定化、②世代間・世代内の負担の公平化、③医療費の適正化、の三点について検討された結果、社会保障制度改革プログラム法における対応の方向性が次の通り確認された。
① 国保に対する財政支援の拡充
② 国保の運営について、財政支援の拡充等により、国保の財政上の構造的な問題を解決することとした上で、
・ 財政運営を始めとして都道府県が担うことを基本としつつ、
・ 保険料の賦課徴収、保健事業の実施等に関する市町村の役割が積極的に果たされるよう、都道府県と市町村との適切な役割分担について検討
③ 低所得者に対する保険料軽減措置の拡充

 そして、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が2015年5月に成立した。この改正の主旨は、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、持続可能な医療保険制度を構築するため、国保をはじめとする医療保険制度の財政基盤の安定化、負担の公平化、医療費適正化の推進、患者申出療養の創設等の措置を講ずる。」もの。具体的にその内容を見ていく。

1.国民健康保険の安定化
○国保への財政支援の拡充により、財政基盤を強化 (27年度から約1700億円、29年度以降は毎年約3400億円)
○平成30年度から、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化

2.後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入
○被用者保険者の後期高齢者支援金について、段階的に全面総報酬割を実施
(26年度:1/3総報酬割→27年度:1/2総報酬割→28年度:2/3総報酬割→29年度:全面総報酬割)

3.負担の公平化等
①入院時の食事代について、在宅療養との公平等の観点から、調理費が含まれるよう段階的に引上げ(27年度:1食260円→28年度:1食360円→30年度:1食460円。低所得者、難病・小児慢性特定疾病患者の負担は引き上げない)
②特定機能病院等は、医療機関の機能分担のため、必要に応じて患者に病状に応じた適切な医療機関を紹介する等の措置を講ずることとする(紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入)
③健康保険の保険料の算定の基礎となる標準報酬月額の上限額を引き上げ (121万円から139万円に)

4.その他
①協会けんぽの国庫補助率を「当分の間16.4%」と定めるとともに、法定準備金を超える準備金に係る国庫補助額の特例的な減額措置を講ずる
②被保険者の所得水準の高い国保組合の国庫補助について、所得水準に応じた補助率に見直し(被保険者の所得水準の低い組合に影響が生じないよう、調整補助金を増額)
③医療費適正化計画の見直し、予防・健康づくりの促進
・都道府県が地域医療構想と整合的な目標(医療費の水準、医療の効率的な提供の推進)を計画の中に設定
・保険者が行う保健事業に、予防・健康づくりに関する被保険者の自助努力への支援を追加
④患者申出療養を創設 (患者からの申出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組み) 

 この改正に基づき、2018年4月1日に「都道府県と市町村がともに国民健康保険の保険者
となり、それぞれの役割を担う」仕組みが動き始めた。

出典:厚生労働省作成資料


出典:厚生労働省作成資料

 厚生労働省は、今回の見直しで次のような効果が期待できるとしている。
◆効果1:都道府県内での保険料負担の公平な支え合い
【新しい財政運営の仕組み】
・都道府県内で保険料負担を公平に支え合うため、都道府県が市町村ごとの医療費水準や所得水準に応じた国保事業費納付金 ( 保険料負担 ) の額を決定し、保険給付に必要な費用を全額、保険給付費等交付金として市町村に対して支払います。これにより、市町村の財政は従来と比べて大きく安定する。
・都道府県は、市町村ごとの標準保険料率を提示 ( 標準的な住民負担の見える化 ) し、市町村間で比較できるようになる。
【保険料の賦課・徴収】
・市町村はこれまで個別に給付費を推計し、保険料負担額を決定してきたが、今後は都道
府県に納付金を納めるため、都道府県の示す標準保険料率等を参考に、それぞれの保険料算定方式や予定収納率に基づき、それぞれの保険料率を定め、保険料を賦課・徴収。
◆効果2:サービスの拡充と保険者機能の強化
・都道府県は、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保のため、市町村との協議に基づき、都道府県内の統一的な運営方針としての国民健康保険運営方針を定め、市町村が担う事務の効率化、標準化、広域化を推進する。
・広域化により、2018年度から、同一都道府県内で他の市町村に引っ越した場合でも、引っ越し前と同じ世帯であることが認められるときは、高額療養費の上限額支払い回数のカウントが通算され、経済的な負担が軽減される。
・今後、市町村は、より積極的に被保険者の予防・健康づくりを進めるために様々な働きかけを行い、地域づくり・まちづくりの担い手として、関係者と連携・協力した取組を進める。

 こう見てくると今回の改定は国民にとって良いことのように見える。国は制度改正の内容を国民に知らせる場合、個人レベルでどのような影響があるのかを明示しないので、その問題点に気づかないまま、制度の改正を許してしまうことが多いわけだが、国民健康保険の都道府県化は国民の生活に何をもたらすかをしっかり見ておく必要がある。

 国民健康保険の加入者の8割は年金生活者と非正規雇用の低所得者であるにもかかわらず、所得に占める保険料負担率は国保の方が4%以上高い。所得水準が低いにもかかわらず、相対的には高い保険料負担を強いられていることをまずおさえておかなければならない。一貫して国保料引き下げの運動が闘われているが、当然のことなのである。
 高齢者が多いことから有病率も高く、したがって国保からの給付費は被用者保険と比して高額にならざるを得ない。国保財政は国保料だけでは運営できず、国からの国庫補助と市町村の一般会計からの繰入金によって補っているわけだが、この繰入金を国は赤字と認定している。しかし、果たしてそうか?
 国保は憲法25条に基づき、国民の健康権を保障するためにつくられた制度であり、国が定率国庫負担として国保財政の40%を負担してきた。それが40%⇒36%⇒34%⇒32%と引き下げられてきた経過があり、当然のようにその分は市町村の負担が増えることにつながった。
 にもかかわらず国は、一般財源からの繰り入れを『赤字』だとして計画的に削減・廃止するよう求めている。そして、国保の財政運営の責任を都道府県に担わせるようにするのがこの4月から始まった国保の都道府県化である。
 都道府県は市町村に対し、市町村ごとに医療費水準などを反映した納付金の完納を義務付けるとともに、「標準保険料率」などを示すことになった。標準保険料率は参考にすぎないが、これより保険料率が低い市町村を法定外繰入金の削減・解消、つまり国保料の値上げへと誘導するものだ。
 国は、法定外繰入金の解消に向けて「保険者努力支援制度」を作った。これは、自治体間で繰入金の削減や国保料の徴収強化、医療費削減などを競わせる仕組みで、住民にとって、それは今でも高い国保の保険料が段階的に値上げされていくことを意味している。住民負担に配慮と言いながら、国保料の値上げを迫るという矛盾をはらんでいることを忘れてはならない。国が住民負担に配慮するというならば、削減してきた定率国庫補助をもとの40%に戻し必要に応じて更に引き上げることこそ、やるべきことではないだろうか。

2018年5月9日水曜日

相談ファイル5 EPAに基づく介護福祉士の受け入れ

 先日、介護事業を手広く展開している某社の関係者の方から、経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補生を受け入れたいのだが、どうしたら良いのかという問い合わせをいただいた。私は、制度については知っていたが、具体的な手続きについては理解していなかったので、この際調べておこうという気になった。

1.経済連携協定とは
 「経済連携協定」(EPA:Economic Partnership Agreement)は、WTO(世界貿易機関)と中心とした多国間の貿易自由化を補完するため、国や地域を限定して、関税等の貿易障壁を撤廃することにより、モノ・ヒト・カネ・サービスの移動を促進させようとするもの。一般的には、「自由貿易協定」(FTA:Free Trade Agreement) の呼称が使用されているが、日本においては、いわゆる自由貿易協定(物品やサービスの貿易障壁の削減・撤廃を目的とする)の要素に加え、投資、人の移動、知的財産保護、協力等の広範な分野を対象としていることから、協定の名称は「経済連携協定」(EPA)を用いている。
 テーマの介護福祉士候補者の受け入れについては、2008年にインドネシア、2009年にフィリピン、2014年にベトナムとの間でそれぞれ協定が結ばれている。

2.制度の概要
(1)目的
 候補者の受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化の観点から、EPAに基づき、公的な枠組で特例的に行うものである。

(2)受け入れ国と介護福祉士候補者の資格要件及び受け入れ実績
①インドネシア共和国
 「高等教育機関(3年以上)卒業+インドネシア政府による介護士認定」又は「インドネシアの看護学校(3年以上)卒業」
出典:厚生労働省



















②フィリピン共和国
 「4年制大学卒業+フィリピン政府による介護士認定」又は「フィリピンの看護学校(学士)(4年)卒業」
出典:厚生労働省



















③ベトナム社会主義共和国
 3年制又は4年制の看護課程修了
出典:厚生労働省










 2017年度の実績を見ると三国で約750人の介護福祉士候補者が日本に入国している。

(3)在留期間及び在留資格
・資格取得前は最大4年間で年1回更新。
 なお、フィリピン就学コースの場合には養成校卒業までに必要な期間まで更新が可能(資格取得後は在留資格の更新回数の制限なし。)。
 ・協定上定められた在留期間中に介護福祉士国家資格を取得できなかった者は帰国する。
 ・滞在中の在留資格は「特定活動」。

(4)受け入れ施設・施設の要件
 介護福祉士候補者の受入れにあたっては、以下のa~gの要件を満たしていなければならない。
a.受入れ機関・施設の要件
 介護福祉士候補者の受入れ施設は、下記「介護福祉士候補者受入れ機関の施設要件」に掲げる介護施設であり、次の①から⑥の要件を満たしていなければならない。また、この際、「介護福祉士候補者受入れ機関の施設要件」の 1~5 の施設については定員が 30 名以上(指定介護療養型医療施設は介護保険の指定を受けた病床数が 30 床以上)、6~9 の施設については、当該介護施設の本体施設の定員が 30 名以上、10~15 の施設については、1~9 の介護施設と同一の敷地内において一体的に運営されているものであることが必要。
①受入れ施設において介護福祉士養成施設の実習施設と同等の体制が整備されていること。
②受入れ施設において介護職員の員数が、法令に基づく職員等の配置の基準(以下「配置基準」という。)を満たすこと。(※1)
③受入れ施設において常勤介護職員の 4 割以上が介護福祉士の資格を有する職員であること。
④受入れ機関において、過去 3 年間に、経済連携協定等の枠組み等による看護師・介護福祉士候補者、EPA看護師又は EPA 介護福祉士の受入れについて、虚偽の求人申請、二重契約その他の不正の行為をしたことがないこと。また、過去 3 年間に、外国人の就労に係る不正行為を行ったことがないこと。
⑤受入れ機関において、過去 3 年間に、経済連携協定等の枠組みによる看護師・介護福祉士候補者、EPA 看護師又は EPA 介護福祉士の受入れについて、受入れ機関に義務付けられた報告を拒否し、又は不当に遅延したことがないこと。
⑥受入れ機関において、過去 3 年間に、経済連携協定等の枠組みによる看護師・介護福祉士候補者、EPA 看護師又は EPA 介護福祉士の受入れについて、巡回訪問の際に求められた必要な協力を拒んだことがないこと。

b.研修の要件
 介護施設における研修は、以下の①~④の条件を満たしていなければならない。
①研修内容は、介護福祉士国家試験の受験に配慮した適切なものとし、これを実施するための介護研修計画(※2)が作成されていること。
②介護研修計画の立案、研修の統括、さらには外部機関との連絡・調整等、研修を統括する研修責任者、並びに専門的な知識及び技能に関する学習の支援、日本語学習の支援、生活支援等を行う研修支援者が配置され、介護研修計画を実施するために必要な体制が整備されていること。(※3)
③研修責任者は、原則として、5 年以上介護業務に従事した経験があって介護福祉士の資格を有する者とすること。なお、研修責任者には、5 年以上介護業務に従事した経験がなくとも、介護福祉士実習指導者講習会を修了し、かつ、介護福祉士の資格を有する者を配置することもできる。
④日本語の継続的な学習、職場への適応促進及び日本の生活習慣習得の機会を設けること。

c.雇用契約の要件
 a の介護施設を設立している受入れ機関と介護福祉士候補者との雇用契約は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容としなければならない。(※4)

d.宿泊施設の確保等
 介護福祉士候補者用の宿泊施設を確保し(※5)、かつ、介護福祉士候補者の帰国費用の確保等帰国担保措置を講じていなければならない。

e.報告
 JICWELS を通じて、地方入国管理局や厚生労働省に対して、所要の定期報告と随時報告を行うこと。

f.巡回訪問への協力
 JICWELS による巡回訪問について必要な協力を行うこと。

g.JICWELS からの助言を踏まえた改善措置の実施
 eの報告の内容やfの巡回訪問の結果を踏まえた、JICWELS による助言に従って必要な改善を行うこと。
-------------------------------------------------------------------------------------
【介護福祉士候補者受入れ機関の施設要件】
1:児童福祉法に規定する障害児入所施設
2:生活保護法に規定する救護施設又は更生施設
3:老人福祉法に規定する養護老人ホーム又は特別養護老人ホーム
4:介護保険法に規定する指定居宅サービスに該当する同法に規定する特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護を除く。)若しくは同法に規定する指定介護予防サービスに該当する同法に規定する介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)を行う施設(老人福祉法に規定する養護老人ホームを除く。)又は介護保険法に規定する介護老人保健施設、介護医療院(※6)、指定介護療養型医療施設5:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援施設又は福祉ホーム
-------------------------------------------------------------------------------------
6:養護老人ホームの設備及び運営に関する基準に規定するサテライト型養護老人ホーム
7:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準に規定するサテライト型居住施設
8:介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準に規定するサテライト型小規模介護老人保健施設
9:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準に規定するサテライト型特定施設又はサテライト型居住施設
-------------------------------------------------------------------------------------
10:児童福祉法に規定する児童発達支援を行う施設又は障害児入所施設
11:生活保護法に規定する救護施設又は更生施設
12:老人福祉法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム又は特別養護老人ホーム
13:介護保険法に規定する指定居宅サービスに該当する同法に規定する通所介護、短期入所生活介護、通所リハビリテーション、短期入所療養介護若しくは特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護を除く。)、同法に規定する指定介護予防サービスに該当する同法に規定する介護予防短期入所生活介護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所療養介護若しくは介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)、同法に規定する基準該当
居宅サービスに該当する通所介護若しくは短期入所生活介護、同法に規定する基準該当介護予防サービスに該当する介護予防短期入所生活介護、同法に規定する指定地域密着型サービスに該当する同法に規定する地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護若しくは地域密着型特定施設入居者生活介護、同法に規定する指定地域密着型介護予防サービスに該当する同法に規定する介護予防認知症対応型通所介護若しくは介護予防認知症対応型共同生活介護若しくは同法に規定する第一号通所事業を行う施設(老人福祉法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設及び養護老人ホームを除く。)又は介護保険法に規定する介護老人保健施設若しくは指定介護療養型医療施設
14:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス事業のうち短期入所、生活介護、自立訓練、就労移行支援若しくは就労継続支援若しくは同法第七十七条第一項第九号の事業に相当する事業を行う施設又は同法に規定する障害者支援施設、地域活動支援センター若しくは福祉ホーム
15:その他 10~14 までに類する通所サービスを提供する施設
 ただし、1~5 の施設については定員が 30 名以上(指定介護療養型医療施設の場合は、介護保険の指定を受けた病床数が 30 床以上)であること、6~9 の施設については、当該介護施設の本体施設の定員が 30 名以上のものであること、10~15 の施設については、1~9 の介護施設と同一の敷地内において一体的に運営されているものに限る。

※1 (イ)受入れ施設において就労を開始した日から 6 か月を経過した介護福祉者候補者、又は(ロ)日本語能力試験においてN1 又はN2(2010 年 3 月 31 日までに実施された審査の場合は 1 級又は 2 級)に合格した介護福祉士候補者については、配置基準上、職員等として算定する取扱いとする。また、上記(イ)、(ロ)を満たす介護福祉士候補者は、夜勤の最低基準においても職員等として算定する取扱いが認められるが、受入れ施設において、介護福祉士候補者を夜勤に配置するにあたっては、「介護福祉士候補者以外の介護職員を配置すること」又は「緊急時のために介護福祉士候補者以外の介護職員等との連絡体制を整備すること、また、候補者の学習時間への影響を考慮し、適切な範囲で夜勤を実施するよう配慮すること」とされている。
※2 介護研修計画は、研修が効率的に行えるよう、介護施設の実情等に応じて、自己学習環境の整備、研修時間の確保、通信教育の利用、介護福祉士養成施設や福祉系大学での就学、地域の研修機会の活用等に配慮し策定するとともに、介護福祉士国家試験の受験に配慮した適切な研修内容とすること。
※3 「研修責任者」は介護研修計画の立案、研修の統括、さらには外部機関との連絡・調整等に当たる者を、また「研修支援者」は介護福祉士候補者に対する専門的な知識及び技能に関する学習の支援、日本語学習の支援、生活支援等に当たる者をいう。「研修支援者」は、上記の支援の分野ごとで複数名配置すること、あるいは支援の分野を兼ねて配置する必要がある。また、「研修責任者」がこれを兼ねることもできる。
※4 介護福祉士候補者が「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける」かどうかは、介護福祉士候補者を受け入れる介護施設において、当該介護福祉士候補者と同様の職務に従事する日本人介護職員と比較する。
※5 候補者の宿泊施設の確保の仕方としては、職員寮のほか、賃貸住宅を手配してもよい。また、家賃は、実費の範囲内で候補者に負担させることができますが、求人票(受入れ施設説明書)の敷金や礼金等の支払いも含めた本人の負担額記載欄に、その旨を記入すること。
※6 介護医療院は平成 30 年 4 月 1 日より施行される。

3.制度の運営
 公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)は、日本国内の医療法人、社会福祉法人等を対象に候補者のあっせん等の業務を行う日本の唯一の受入れ調整機関として、円滑かつ適正な受入れ業務や支援を厚生労働省等と連携しながら進めている。
(1)申請から受け入れまでの流れ
1)求人登録申請
 EPA 介護福祉士候補者の受入れを希望する機関は、JICWELS に求人登録申請を行う。
※2019 年度求人申請専用ウェブサイト(https://jicwels.net/fac/Account/Login/)からアカウントの取得が必要。
提出書類
 ①求人登録申請書【JICWELS 様式 1-1】
 ②求人票【JICWELS 様式 2-2】
 ③受入れ施設説明書【JICWELS 様式 3-2】
 ④介護研修計画書【JICWELS 様式 4-2】
 ⑤研修実施体制説明書【JICWELS 様式 5】
 ⑥研修責任者職歴証明書※【JICWELS 様式 6-2】
  又は介護福祉士実習指導者講習会の修了証の写し
  ※本書類は研修責任者の実務経験が 5 年以上であることを証明する書類とする
 ⑦研修責任者の介護福祉士資格証明の写し
 ⑧同等報酬を確認できる書類(就業規則(賃金規定)及び賃金台帳)
 ⑨最新の指定通知書 (同一敷地内において一体的に運営されている施設及びサテライト型施設の場合は本体施設も提出必要)
 ⑩(サテライト型施設の場合) 本体施設の概要、本体施設との間の移動経路、移動方法及び移動時間、従業者の 連携状況のわかる資料

2)受け入れ希望機関の要件確認
 JICWELS が求人登録申請を行った受入れ希望機関の要件確認を行う。

3)求人登録・職業紹介契約締結・受入れ支援契約の締結
 求人登録された受入れ希望機関は JICWELS と職業紹介契約及び受入れ支援契約を締結する。
提出書類
 ①職業紹介に関する契約書【JICWELS 様式 8】
 ②受入れ支援に関する契約書【JICWELS 様式 11】

4)求人情報の提供
 JICWELS が求人登録された受入れ希望機関の求人情報を送り出し調整機関に提供する。

5)就労希望者の募集・審査・選考
 送り出し調整機関が就労希望者の募集・審査・選考を行う。

6)JICWELS による現地面接・適性検査等 受入れ希望機関による現地合同説明会
 JICWELS が送り出し国において送り出し調整機関が選考した就労希望者の面接等を行う。 この際、希望する受入れ希望機関については、就労希望者に直接、仕事内容や労働条件の 説明を行う現地合同説明会に参加できる。

7)マッチング
 JICWELS は受入れ希望機関及び就労希望者の希望をとりまとめ、マッチングを実施。
提出書類:受入れ意向表

8)雇用契約の締結
 マッチングが成立した受入れ希望機関及び就労希望者は、同意の後、雇用契約を締結する。
提出書類:
 ①マッチング結果同意書
 ②雇用契約書【JICWELS 様式 10-2】

9)日本語研修・介護導入研修等
 日本語研修機関が訪日前および訪日後に候補者に対して日本語研修を実施する。 JICWELS が訪日後研修期間中に介護導入研修を実施する。

 こうした手続きを経て、受入れ施設における就労・研修がスタートする。ただし、注意が必要なのは求人登録する期間が限られているということ。ちなみに、2019年度の求人登録申請は2018年3月28日から5月10日までとなっており、約1年前に申し込まなければならない。これを書いているのが5月9日だから、今からでは今年は勿論のこと、来年度のEPAに基づく介護福祉士候補者の受け入れにも間に合わないということだ。

 その旨伝えさせていただき、この相談は修了となった。

2018年4月28日土曜日

相談ファイル4 特養に入れたい

 ご近所のYさんから、98歳の母を特養に入れたいのだけれど・・という相談があった。Yさんのお母さんKさんは、半年前に左足が痛くて歩けなくなり入院し、現在も入院中なのだが、足の痛みがほぼなくなって、リハビリの成果もあり、今は部屋の中を歩けるまでに回復している。退院の話が出ているが、家で面倒見る自身が無いので、できれば特養に入れたいということだった。

【特別養護老人ホームの入所基準】
 特養(特別養護老人ホーム)の入所基準は意外に厳しくて、2015年の介護保険法改定前は介護認定されれば入所できたが、2015年以降は「居宅での生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図る」との理由から、要介護3以上に限定されることになった。しかし、要介護高齢者の状態は個別性が強く、一律に要介護3で線引きすることはできないという意見も根強くあって、やむを得ない事情により指定介護老人福祉施設以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与の
下、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に指定介護老人福祉施設への入所を認めるという「特例入所」というルールが作られている。

 特例入所を認めるかどうかは各施設の判断によるとされているため、各市町村やそれぞれの施設によって判断基準に大きな差が出ないよう、入所を判断する勘案事項を明確にしておく必要があり、厚労省がその内容を明示している。

【特例入所の判断に当たっての具体的要件】
◇考え方
○ 特例入所の判断主体は、現行の入所判定の取扱同様、各施設であること等を踏まえ、入所判定の公正性を確保するため、各市町村や各施設で判断基準に大きな差異が出ないよう、厚生労働省において特例入所の判断に当たっての要件に係る勘案事項を明確に示すこととする。
◇要件
○ 認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態であるか否か。
○ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態であるか否か。

 この厚労省の通達に基づき、岡山県も次の通り岡山県介護老人福祉施設等入所指針を2015年4月1日付で次のように変更している。
◇入所の対象者◇
① 要介護3から5までの認定を受けている者であって常時介護を必要とし、居宅において介護を受けることが困難なもの
② 要介護1又は2の認定を受けている者であって、やむを得ない事由により居宅において日常生活を営むことが困難であるとして特例入所が必要な次の要件に該当するもの
ア 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られるもの
イ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られるもの
ウ 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であるもの
エ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービス又は生活支援の供給が不十分であるもの

◇特例入所に係る申込等◇
① 特例入所に係る申込者は、特例入所が必要である状況等を申込書に記載する。
② 施設は、その状況を申込者に確認するとともに、市町村へ報告し、必要に応じ、当該市町村に対し、特例入所の対象者に該当するかどうかの判断に当たっての意見を求めることができる。
③ 市町村は、施設から意見を求められた場合又は必要と認める場合、地域の居宅サービス、生活支援等の提供体制に係る状況及び担当の介護支援専門員からの居宅等における生活の困難度について聴取した結果等も踏まえ、施設に対して意見を表明する。
④ 施設は、入所検討委員会を開催し、特例入所の対象となる者について要件該当の有無の検討を行った上で、要介護3以上の者と合わせて、要介護度、介護者の状況、介護サービスの利用状況等を勘案し、入所順位の決定を行う。
 なお、平成27年3月31日以前に入所順位を決定した要介護1又は2の者については、入所を決定する際に、入所検討委員会で要件該当の有無を確認する。

 一般的に、特養への入所は要介護3以上と認識されており、この特例入所についてはあまり知られていない。しかし、「やむを得ない事由により居宅において日常生活を営むことが困難であるとして特例入所が必要な次の要件に該当するもの」については、法人・事業所の入所検討委員会で、要件該当の有無を確認して入所を認めてよいことになっている。

 つまり、認知症や知的障害・精神障害で在宅生活が困難であったり、家族等による深刻な虐待で心身の安全・安心の確保が困難であったり、単身高齢者や高齢者世帯で家族等の支援が受けられない等に該当すれば、特養の入所を申し込むことができ、施設は、入所検討委員会で要介護度、介護者の状況、介護サービスの利用状況等を勘案し、入所順位の決定を行うことになる。

【Kさんの特養入所】
 特養入所に係るルールを説明し、入所の可能性について一緒に検討させていただいた。まず、要介護度は入院前に要介護3と認定されていたが、入院して症状が改善しており、室内では自立歩行ができるまでに回復したため、要介護度の更新で要介護2又は1になりそうだというのが関係者の一致した認識だった。

 そこで、特例入所の条件があるかを検討した。

 まず、98歳のKさんは岡山市内で独り暮らしをしている。Kさんはご主人と長男夫婦と暮らしていたが、長男夫婦は離婚して長男の妻は家を出てしまっており、その後、長男は病で死亡。ご主人もすでに他界していた。
 二人兄弟の次男Yさんは実家を出て、結婚後家を購入し、自宅の一部を店舗として夫婦で床屋をやっている。小さな家でKさんの部屋を用意できないこと、仮に同居しても床屋の仕事をしておりKさんの支援に割ける時間は多くないこと、Kさんは自分で歩き身の回りのことができるように見えるが、認知症が少しずつ進んできており、誰かの見守りが必要な状態であることなどを確認し、特例入所に該当するのではないかという感触を得た。
 そこでケアマネにつないで、特養への入所という方向で進めるという意思統一をして、私の任務終了ということにさせていただいた。

 先日、その後の様子をお伺いしたら、入院している病院の関連する社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームに入所申し込みを行い、入所判定会議で受け付けてもらうことができて、入所の順番待ちだとのこと。ゴールデンウィーク明けには入所できる見通しだということで、良かったなぁと喜び合いました。

2018年4月20日金曜日

相談ファイル3 年金受給者の確定申告

 年金を受給しているMさんから、「収入が年金だけだから、去年は確定申告をしなかったのだけれど、昔の同僚は、確定申告をしていると言う。私も、確定申告をした方が良いのか?」という相談を受けた。
 年金受給者には、確定申告不要制度が用意されているが、年金受給額によって対象となるかどうかがわかれることになるので、具体的な数字がうろ覚えだったため、調べてからお返事させていただくことにして、いったん持ち帰らせてもらった。

 さてそこで、年金受給者の確定申告不要制度がどのようなものか、ここで整理しておこうと思う。

1.確定申告
 所得税及び復興特別所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得(※)とそれに対する所得税及び復興特別所得税の金額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収(給与や年金などの支払者が、あらかじめ所得税及び復興特別所得税を差し引いて国に納付する制度)された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続である。

2.年金は雑所得
 公的年金等については、「雑所得」として課税の対象となっており、一定金額以上を受給するときには、所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されているので、確定申告を行って税金の過不足を精算する必要がある(ただし、障害年金や遺族年金は非課税です。)。
 ただし、年金受給者の皆さんの確定申告手続に伴う負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられており、これによって多くの方が確定申告を行う必要がなくなっている。
※所得の金額とは総収入金額から必要経費などを差し引いた金額です。

3.確定申告不要制度
 年金受給者の皆さんの申告手続の負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられている。この制度は、公的年金等による収入が400万円以下で一定の要件を満たす場合には、所得税及び復興特別所得税の確定申告を行う必要がないというもの。

 確定申告不要制度の対象者は下記の(1)、(2)のいずれにも該当する方
(1)公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
(2)公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
出典:政府公報オンライン

 したがって、源泉徴収の対象となる公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であっても、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超える場合には、確定申告を行う必要がある。また、外国において支払われる公的年金等は、源泉徴収の対象とならないため、この支給を受けている方は、確定申告を行う必要がある。

※1 公的年金等とは
 国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など

※2 公的年金等に係る雑所得以外の所得とは
 生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など

4.確定申告不要制度の対象者でも確定申告が必要な場合
(1)所得税の還付を受ける方
 公的年金等から所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されている方で、以下にあてはまる場合などは、所得税の還付が受けられる可能性がある。このような場合に、還付を受けるためには、確定申告書を提出しなければならない。
・マイホームを住宅ローンなどで取得した場合
・一定額以上の医療費を支払った場合
・災害や盗難にあった場合

(2)住民税の申告が必要な場合
 所得税及び復興特別所得税の確定申告が不要な場合であっても、以下に該当する方は住民税の申告が必要な場合がある。
・公的年金などに係る雑所得のみがある方で、「公的年金などの源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等)以外の各種控除(※3)の適用を受ける場合
・公的年金などに係る雑所得以外の所得がある場合(※2参照)

※3 生命保険料控除や損害保険料控除、医療費控除など

 なお、所得税及び復興特別所得税の確定申告をした方は、税務署から地方公共団体に確定申告書等がデータで送信されるので、改めて住民税の申告書を提出する必要はない。

◆Mさんの場合
 Mさんの年金はいわゆる厚生年金で、年額204万円程。これだけ見ると確定申告不要制度に該当しそうですが、Mさん家の水回り等のちょっと大きな規模の改修(約500万円)を定年直前にやっており、そのときのローンが残っていたんですね。そこで、確定申告すれば所得税の還付が受けられそうだということで、確定申告をした方が良いですよとお返事させていただきました。

 Mさんの場合、省エネリフォーム、ローン型減税が該当しました。台所の電化、お風呂・トイレの交換とバリアフリー化、床・壁・天井の断熱構造化、窓の二重サッシ化などを行っており、このうち床等の断熱構造化と窓の二重サッシへの変更が省エネリフォームの対象でローン残高の2%の控除率の適用を受けることができました。

 無事に、3月15日までに確定申告書を提出、所得税の還付が受けられたようですよ。

2018年4月14日土曜日

介護福祉士資格取得

 私は、1月28日に実施された第30回介護福祉士国家試験を受験しました。受験してみて思ったのは、基本的な知識をしっかり身に付けておけば解けない問題はないということ。第29回国試から追加となった医療的ケアが、過去問から傾向を知るということが難しいということがありましたが、医療職との連携の下で医療的ケアを安全・適切に実施できるよう必要な知識・技術を習得することが求められているわけで、介護福祉士が行える「医療的ケアの範囲」の理解と「喀痰吸引」、「経管栄養」の基礎知識と併せて実施手順をイメージしておけば解けないことはことは無いと思いました。


 合格発表は3月28日、無事に合格証書が届きました。今年の合格ラインは、125点満点(125問)中77点だったようです。私の得点は99点、26問も間違えていました。満点をめざしていたわけでもありませんが、ちょっと悔しかったです。


 今年の介護福祉士国家試験は、全国34試験地で実施され、中国四国地方では、山口県と徳島県を除く7県で行われました。受験者数は92,654人に対し、合格者数は65,574人で合格率は70.8%でした。

 この5年間の受験者数の推移をみると、第26回154,390人、第27回153,808人、第28回152,573人、第29回76,323人、第30回92,654人となっており、第29回から受験者数が半減しています。その理由は、受験資格の変更があったためで、第29回国家試験から実務経験ルートの受験資格に実務者研修終了が義務付けられたことによります。

 合格者の男女別は、男19,906人(30.4%)、女45,668人(69.6%)で、約3割が男性となっています。また、年齢階層別では20歳以下5,481人(8.4%)、21~30歳16,753人(25.4%)、31~40歳13,679人(20.9%)、41~50歳18,217人(27.8%)、51~60歳9,693人(14.8%)、61歳以上1,751人(2.7%)で40代が一番多くなっています。合格者の地域別では、大阪府が最も多く5,070人、次いで東京都の5,026人、神奈川県の4,388人、愛知県3,370人、北海道3,341人、埼玉県3,278人、兵庫県3,167人と続き、わが岡山県は1,256人で13番目です。

 介護福祉士資格は、国試合格で自動的に付与されるものではなく、介護福祉士名簿に登録されて初めて介護福祉士資格が付与されます。登録料を振り込み、申請書に9千円分の収入印紙を貼って、本籍地が記載された住民票等を添えて、登録手続きを行うと、厚生労働大臣指定の登録機関で名簿登載の手続きが行われ、晴れて、厚生労働大臣名で介護福祉士の登録証が送られてきます。手続きには1か月余りかかるとのこと。現在の厚生労働大臣は岡山県選出の加藤勝信さんなので、加藤厚労大臣名の介護福祉士登録証をもらうことになります。

 岡山県人の私が、同じ岡山選出の厚労大臣名の介護福祉士登録証をいただく。何だか良いですよね。

 そして、4月28日に手にした登録証がこれです。

2018年3月28日水曜日

揚げ物機器 Dr.Fry(ドクターフライ)

 まちづくり研究所はまちづくりに資するために立ち上げたが、主なフィールドは、介護を中心とした地域での暮らしの支え合い組織づくりと、食の問題なんですね。
 昔から衣食住というように、人の暮らしに不可欠なものの一つです。最近の日本の食料自給率は酷いもんで、2016年にはカロリーベースで38%となっています。先進国と比べると、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています。


 日本は世界最大の食糧輸入国であり、2008年財務省貿易統計によると、食糧輸入額は約5兆6000億円で世界全体の10%を占めています。そして、もう一つの大きな問題は、食糧品の廃棄率の高さです。世界から年間 5500万トンの食糧を輸入しておきながら、そのうち1800万トンも捨てています。食糧の廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回り、廃棄量は世界の食料援助総量470万トン(WFP)をはるかに上回り、3000万人分(途上国の5000万人分)の年間食料に匹敵すると言われています。
 日本の食料自給率の低さ、これは何とかしなければならない事態です。というようなことで、食の問題にも積極的にアプローチしていこうと考えているわけです。

 そんな中で、先日、揚げ物機器『Dr.Fry』をストロークホールディングスのテストキッチンに見に行く機会がありました。機器の構成は下の写真の様なものです。これをその下の写真のように業務用のフライヤーに取り付けるだけでOKです。
手前側が電源ユニットで、奥の金属に
張り付けてある黒いプレートが本体。

普通の業務用フライヤーの両側に黒いプレート状の
Dr.Fryを装着(磁石で貼り付ける)したら準備完了

 技術的には、『食用油/生理食塩水界面における電気毛細管現象』というもので、産業技術総合研究所と東海大学との共同研究の成果として発表され、三重大学生物資源学部の亀岡孝治教授が長期的な実証検査を継続しているようです。

 微弱電流を使った電波を流すと水滴の界面活性が60%減少し水滴が小さくなります。普通は、一定の量の水が過熱した油の中に入ると水蒸気爆発が起こり、大きく油と水が飛び散りますが、Dr.Fryをセットした場合、水滴が小さくなり大きな水蒸気爆発は発生しません。
 だから、豆腐を切ってそのまま投入してあげ豆腐を作るということが可能になります。
絹ごし豆腐を切ってそのままフライヤーに
投入していますが、水蒸気爆発は起こりません。
 豆腐のように水分が多いものを、しかも水から出してそのままフライヤーに投入しているのですが、全く、撥ねることはありませんでした。下の写真は、すべてこのDr.Fryで調理したものです。いずれも中に含まれる水の状態が変化し、瑞々しく調理されており、中でも、カツオのたたきは、冷凍のままDr.Fryに投入したのですが、取り出してからドリップが皆無です。藁で焼いたたたきよりもむしろこちらの方が美味いと思いました。

 なかなか優れた技術なんですね。感心しました。「岡山でぜひ普及してくれ!」と会長に頼まれ、どうやって売りだそうかと考えているところです。

※ Dr.Fryについての詳細は、こちらのホームページで確認してください。

茄子を乱切りにしてそのまま揚げて
タレを絡めただけの揚げナスです。

玉葱と人参のかき揚げ

茄子を洗ってそのままフライヤーに投入
数分で焼きナスが出来上がります!
(本当は、焼いてないですけど・・・)

カツオのたたき!これが絶品でした。

僅かに10秒で出来上がった回鍋肉

ニラとモヤシの塩炒めはさらに短く5秒で完成

2018年3月21日水曜日

相談ファイル2 新電力

 ご近所の、ご高齢の方から、電気の契約について相談を受けた。「中国電力は原発を止めないどころか、新しく作ろうとしているそうじゃない。山口の親せきから聞いたのよ。それでね、電話会社とか、何だかいろんなところが電気売ってるじゃない。良く分からないんだけど、どこが良いのよ?」とのことだった。

資源エネルギー庁のホームページより

 まずは電力供給の仕組みについて、資源エネルギー庁のホームページを見ながら説明した。
 電力は、上図の通り、発電所 → 送電線 → 変電所 → 配電線 の経路をたどり、各ご家庭まで供給されている。また、電力の供給システムは、(1)発電部門 、(2)送配電部門 、(3)小売部門 の大まかに3つの部門に分類される。

(1)発電部門
 水力、火力、原子力、太陽光、風力、地熱等の発電所を運営し、電気を作る部門。

(2)送配電部門
 発電所から消費者(各ご家庭を含む)までつながる送電線・配電線などの送配電ネットワークを管理する。物理的に電気を家庭に届けるのは、この部門の役割。また、ネットワーク全体で電力のバランス(周波数等)を調整し、停電を防ぎ、電気の安定供給を守る要となるのも、この部門。

(3)小売部門
 消費者(各ご家庭を含む)と直接やりとりをし、料金メニューの設定や、契約手続などのサービスを行う。また、消費者が必要とするだけの電力を発電部門から調達するのも、この部門の役割。

 私からは、「電力小売全面自由化により、小売部門 において、新たに事業者が自由に参入できるようになったんですよ。」とご説明した。2016年4月1日から、電気の小売業への参入が全面自由化され、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになった。これにより、ライフスタイルや価値観に合わせ、電気の売り手やサービスを自由に選べるようになったというわけだ。

 発電部門はすでに1995年から原則参入自由となっているが、送配電部門は、安定供給を担う要のため、電力小売全面自由化後も引き続き、政府が許可した企業(各地域の電力会社(東京電力、関西電力等))が担当している。
 そのため、どの小売事業者から電気を買っても、これまでと同じ送配電ネットワークを使って電気は届けられるため、電気の品質や信頼性(停電の可能性など)は変わらない。
 なお、電気の特性上、電気の需要(消費)と供給(発電)は、送配電ネットワーク全体で一致させないと、ネットワーク全体の電力供給が不安定になってしまう。 そのため、もし小売部門の事業者が、契約している消費者が必要とするだけの電力を調達できなかった場合には、送配電部門の事業者がそれを補い、消費者にきちんと電力が届くように調整することになっている。

【電力の小売り全面自由化で何が変わる?】
 「電力の小売全面自由化」により、様々な事業者が電気の小売市場に参入してくることで、新規参入の会社を含めた電力会社の選択が可能になる。電気の小売事業への参入者が増えることで競争が活性化し、様々な料金メニュー・サービスが登場することが期待される。
 例えば、電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引や、ポイントサービス、さらには家庭の省エネ診断サービスなどが登場している。また、再生可能エネルギーを中心に電気を供給する事業者から電気を買うことも可能となる。さらに、現在お住まいのエリア外で発電された電気の購入も可能で、例えば、都会に住んでいても、ふるさとで発電した電気を選べる可能性が生まれている。 また、近くの自治体が運営する事業者から電気を買うなど、電気の地産地消も可能となる。

 ただし、電気の小売りをやっている事業者が必ずしも全て発電しているわけではなく、電気卸(一般社団法人 日本卸電力取引所:JEPX)から仕入れて小売りだけするという事業者も多いので、原子力発電所で発電された電機は買いたくないということであれば、発電所を持っている電力小売事業者を選ぶことが必要だ。しかし、それぞれの発電所が同じ送電線を使って電力を供給しているので、実際に家に届く電力が原発で発電されたものになるわけではない。

 こんな説明をさせていただいて、「要するにどこが良いのよ!」というので、一つの回答として、イーレックスを紹介した。イーレックスがどんな会社かは、下にURLを書いておいたので詳しくはホームページで確認していただくということで、一言だけ、この会社の発電は、バイオマス発電(火力発電)がメインで、その他再生可能エネルギーの開発も行っているので、最初の原発で発電した電力を使いたくないという要望に答えることができる。ちなみに、電気料金も中国電力よりは安価で、私も、中国電力からイーレックスに切り替えたのだけれど、我が家の電気料は中電の1か月分近い額が節約できた。

イーレックス URL https://www.erex.co.jp/

2018年3月20日火曜日

相談ファイル1 外国人の日本での起業

 先日、在留資格を有する中国人の方の会社設立に伴う銀行口座開設の相談を受けました。外国人の方の日本での会社設立について、法的な扱いがどうなっているのかを調べるところから始めました。

 2015年3月16日付で「法務省民商第29号通知」が発出されました。これは、「内国株式会社の代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記の申請の取扱いについて」本日をもって変更しますよという通知でした。本文には、「代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立登記の申請及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記の申請については、昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答により、受理すべきでないとしているところですが、本日以降、これらの申請を受理して差し支えありませんので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。」と書かれています。
 要するに、内国会社の代表取締役のうち、最低1人は日本に住所を有していなければならないとされていた従前の規定が廃止され、代表取締役の全員が海外に居住していても、日本において会社の設立登記を申請することができるようになったということです。

 株式会社の設立登記において、出資の履行としての払い込みがあった証明を書面で提出しなければならないことになっていますが、「払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面(設立時代表取締役又は設立時代表執行役が作成)」、「払込取扱機関における口座の預金通帳の写し又は取引明細表その他払込取扱機関が作成した書面」の二つが必要となります。そして預金口座の名義人と認められるのは、発起人または設立時の取締役とされ、設立時の取締役を口座名義人とする場合は、「発起人が設立時取締役に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面(委任状)」を併せて添付する必要があります。
 発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合の特例があり、発起人及び設立時取締役以外の者(自然人に限られず、法人も含みます。以下「第三者」といいます。)であっても、預金通帳の口座名義人として認められます(平成29年3月17日民商第41号通達)。この際に,払込みがあったことを証する書面として,第三者が口座名義人である預金通帳の写しを添付する場合には,「発起人が第三者に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面(委任状)」を併せて添付する必要があります。

 払込取扱機関、要するに口座を開設する銀行は、内国銀行の日本国内本支店だけでなく、外国銀行の日本国内支店(内閣総理大臣の認可を受けて設置された銀行)も含まれます。また、内国銀行の海外支店も「払込取扱機関」に含まれます(平成28年12月20日民商第179号通達 )。このような支店かどうかは、銀行の登記事項証明書等により確認可能です。

 商業・法人登記の申請書に添付する外国人の署名証明書(署名が本人のものであることについて本国官憲が作成した証明書。日本人の場合の印鑑証明ですね。)については、当該外国人が居住する国等に所在する当該外国人の本国官憲が作成したものでも差し支えないこととされました(平成28年6月28日民商第100号通達。平成29年2月10日民商第15号通達により一部改正。)。また、本国官憲の署名証明書を取得できないやむを得ない事情がある場合には、居住国官憲が作成した署名証明書、居住国の公証人が作成した署名証明書、日本の公証人が作成した署名証明書でも許容される場合があるとされています。

  会社法の規定に基づく外国会社としての登記をしていない外国会社や、印鑑を押印することのできない外国人が、登記の申請書、定款、添付書面の原本還付を求める場合の添付書面の写し等に契印する場合には、契印の代わりに以下のいずれかの方法で署名をすることができます。
 1 各ページごとのつづり目に署名(いわゆる割サイン)をする
 2 各ページの余白部分に署名をする
 3 各ページの余白部分にイニシャルを自書する
 4 袋とじの部分(表紙と裏表紙の両方)に署名をする

 商業登記の申請書に、外国語で作成された書面を添付する場合には、原則としてその全てについて日本語の訳文も併せて添付する必要があります。

 こんなことを頭に入れておいて、相談にのぞみましたが、一番手間取ったのは銀行口座の開設でした。ご本人が、都市銀行を希望しておりましたので、某都銀と話をしましたが、口座を開設するにあたって日本企業と取引を開始する契約書を求められました。しかし、これは法人を開設し、設立登記して、そして契約となる話で、先に契約書を求められても難しい話でした。
 友人の元銀行マンに話を聞くと、都銀だと自分のところの口座がマネーロンダリングに使われると金融庁に叱られるので、それを避けるために商いの実績がある会社かどうかを確認するのだということがわかりました。要するに、新しく法人を立ち上るのに都銀は使いにくい(使えない)ということですね。そこで、地銀にターゲットを絞って、私の友人の出身銀行に口座開設をしてもらうことにしました。在留カード、納税証明書、パスポート(身分証明書)、銀行印等を用意して、事前に元銀行マンを経由で状況を説明してもらっておいて、窓口の担当者を訪ね無事に口座開設をしてもらうことができました。

 今回の相談に対応することで、日本で会社を設立するのに、代表取締役に日本人が入っていなくてもよいということを初めて知りました。また、都銀と地銀でマネーロンダリング等への対応で口座開設のハードルの高さが違うことも経験しました。地銀の対応が比較的弾力的な対応が可能なので、まずは地銀で口座開設し、取引実績を積んでおいて、ご本人の母国にも支店のある都銀に口座を開くという方法がよさそうです。

 いや~、いい勉強させてもらいました。

2018年3月16日金曜日

浅田訴訟全面勝訴

 3月14日、浅田訴訟の判決を聴きに行ってきました。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第7条の介護保険優先原則によって、65歳になった浅田さんが64歳まで受けることができた介護サービスが受けられなくなったことに対して、年齢による差別だとして提訴に踏み切ったものです。
 浅田さんの請求は次の3点でした。
1.岡山市長の「介護給付費等不支給決定」を取り消す
2.岡山市長は、月249時間の障害者総合支援法の介護給付費を支給せよ
3.岡山市は、損害場賞金209万4,037円を支払え

 65歳で裁判が始まりましたが、浅田さんもすでに70歳。裁判を始めてから、5年もの長い時間が経ってしまいました。
 判決は、浅田さんの主張がほぼ全面的に認められた勝訴となりましたが、岡山市が控訴するだろうと言われており、まだ、裁判は続きます。しかしこの判決の意義は非常に大きいものがあります。ここで、その意義をまとめておきたいと思っています。

 65歳からの介護保険優先原則は、障害者総合支援法第7条に「自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による介護給付、健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付又は事業であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受け、又は利用することができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付又は事業以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。」と規定されていることに由来します。
 わかりにくい文章ですが、介護保険との関連に焦点を当てて書き直すと、「自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法の規定による介護給付のうち自立支援給付に相当するものを受けるときは、政令で定める限度において、行わない。」となります。もっとシンプルに書くと、「介護保険による介護給付の限度において、自立支援給付を行わない。」ということです。

 この第7条の適用関係については、厚労省の通知が出されており(「障害者総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について(平成19年通知)」)、それを読むと、優先される介護保険サービスは、「自立支援給付に優先する介護保険法の規定による保険給付は、介護給付、予防給付及び市町村特別給付」とされており、「サービス内容や機能から、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、基本的には、この介護保険サービスに係る保険給付を優先して受けること」になるが、「障害者が同様のサービスを希望する場合でも、その心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することは困難」なので、「市町村において、申請に係る障害福祉サービスの利用に関する具体的な内容(利用意向)を聴き取りにより把握した上で、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能か否かを適切に判断」することを求めています。
 要するに浅田さんの事例にように、障がい者本人の心身の状況やサービスを必要とする理由が多様なので、一律に介護保険サービスを優先させることによって必要な支援が受けられるかどうかを判断することは困難なので、利用者の意向を聞き取りにより把握して、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受け取ることが可能か否かを適切に判断しなさいと言っているわけです。岡山市は、これをしなかった、というわけです。
 さらに「サービス内容や機能から、介護保険サービスには相当するものがない障害福
祉サービス固有のものと認められるもの(同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)については、当該障害福祉サービスに係る介護給付費等を支給する。」としていますが、まさに浅田さんが削られた移動介護は、介護保険サービスにはないものだったわけで、岡山市が不支給とする根拠がないものです。

 具体的な運用についても、「申請に係る障害福祉サービスに相当する介護保険サービスにより必要な支援を受けることが可能と判断される場合には、基本的には介護給付費等を支給することはできないが、以下のとおり、当該サービスの利用について介護保険法の規定による保険給付が受けられない場合には、その限りにおいて、介護給付費等を支給することが可能である。」と運用ルールを定めています。
ア 在宅の障害者で、申請に係る障害福祉サービスについて当該市町村において適当と認める支給量が、当該障害福祉サービスに相当する介護保険サービスに係る保険給付の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができないものと認められる場合。
イ 利用可能な介護保険サービスに係る事業所又は施設が身近にない、あっても利用定員に空きがないなど、当該障害者が実際に申請に係る障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用することが困難と市町村が認める場合(当該事情が解消するまでの間に限る。)
ウ  介護保険サービスによる支援が可能な障害者が、介護保険法に基づく要介護認定等を受けた結果、非該当と判定された場合など、当該介護保険サービスを利用できない場合であって、なお申請に係る障害福祉サービスによる支援が必要と市町村が認める場合(介護給付費に係るサービスについては、必要な障害程度区分が認定された場合に限る。)

 浅田さんの主張は、まさに正当な要求ですが、何故、岡山市はあえて不支給決定を出したのでしょう。

 岡山市の担当者が厚労省通知を知らなかったはずはありません。知っていてなお介護保険制度を使わない浅田さんを見せしめにしたのだと私は考えています。そこに、障害福祉サービスよりも介護保険サービスのほうが安上がりだという計算が働いていることはもちろんです。障がいを持ち弱い立場にある浅田さんを見くびっていたのかもしれません。

 しかし、判決当日に配布された資料を見ると、多くの支援団体・支援者に支えられて浅田さんは裁判等に踏み切ったわけです。そして4年余りの審理を経て、岡山地方裁判所の横溝邦彦裁判長は、「浅田さんの生活実態を見れば、介助なしでは日常生活が送れないことは明らかで、介護保険の適用に伴って月額1万5千円を自己負担するのが難しい状況にあり、原告が自立支援法の給付継続を希望したことには理由があった。市は自立支援法の給付決定をした上で、納得を得ながら介護保険に関係する申請を勧めるべきだった。」とし、市の決定を「支援法の解釈・適用を誤った違法なもの」と断罪しました。

 今回の裁判で浅田さんの生活実態にふみこんで、自立支援法の給付決定をしたうえで、納得をえながら介護保険に関係する申請を進めるべきだったと、市の対応について「こうすべき」という義務付けにまで踏み込んだ判断をしていること、そして、障害福祉サービスを切ったら生活が成り立たないと知りながら不支給とするのは法律判断間違っているとの判断を示したこと、この2点が、浅田訴訟判決の大きな成果でした。

 浅田訴訟判決は、同じような困難を抱えている全国の65歳になる障がい者に希望と勇気を与える判決となることは間違いないでしょう。

2018年3月13日火曜日

重税反対全国統一行動

 昨日、『3・13重税反対全国統一行動岡山集会』に参加してきました。岡山県民主商工会、地域人権みんなの会、新日本婦人の会、岡山県労働組合会議、岡山医療生協労働組合、林精神医学研究所労働組合等地域の自営業者や重税反対で運動している諸団体が岡山市民ホールで集会の後、東・西税務署にデモ行進しました。
 私は、確定申告書は先に郵送で提出してしまいましたが、デモ行進参加の自営業者さんは、デモ行進の後一斉に確定申告書を提出しました。
 集会では、消費税増税中止、不当な税務行政の是正、納税者の権利擁護等の実現と、すべての国民の生活と営業を守る運動の前進を誓い合って、下の集会決議を採択しました。

2018年3月12日 岡山市民文化ホール
集会が終わって、岡山東税務署に向かってデモ行進



集会決議『消費税増税中止、改憲阻止、戦争法とマイナンバー制度の廃止、民主的な税制と税務行政の実現へ全国民が声を上げ、共同を広げよう』

 集会参加の皆さん
 3・13重税反対全国統一行動は、重い税負担と過酷な徴収に反対し、納めるべき税額は自分で計算し、申告するという申告納税制度の養護・発展をめざす一大行動です。1970年から開催し、税制・税務行政の民主化や納税者の権利擁護を求めて各省庁・自治体交渉や集会・デモなどを実施してきました。
 安倍政権が狙う憲法9条に自衛隊の存在が明記されれば、平和の象徴である憲法9条が死文化し、「戦争できる国」づくりがさらに進むことになります。第2次安倍政権以降、軍事費は5年連続で増え続け、米国言いなりに武器の購入を約束するなど、際限のない軍備拡大が進められています。
 それに対して「安倍9条改憲No!全国市民アクション」実行委員会は、5月までに全国で3,000万署名を集めて9条改憲をストップさせようと訴えています。正念場はこれからです。この署名のうねりが全国に広がっていけば必ず9条改憲を止めることができます。あらゆる地域・分野で一人ひとりに声をかけて対話の輪を広げていきましょう。
 倉敷民商の禰屋裁判では、先日、広島高裁岡山支部で第一審の岡山地裁判決を破棄して、再度地裁に差し戻す判決がありました。この間、裁判闘争を闘ってきた禰屋さんと弁護団、そして全国の支援する仲間の奮闘が実ったものであります。判決を受けて広島高検は最高裁へ上告しないことを表明しました。闘いはまだまだ続きますが、引き続き「公平で公正な裁判」を要求する署名と無罪判決を求める運動を強めていきます。
 大企業を優遇する税制が続けられる一方で、国民には社会保障の改悪と生活費にまで税金が課せられています。憲法が要請している生活費非課税の原則に立ち、基礎控除は最低生活を保障する水準へ引き上げるべきです。給与所得控除など諸控除の改定が狙われていますが、所得税の最高税率を引き上げ、総合累進課税を強化するなど、応能負担原則を税制に貫くことこそ優先すべきです。
 2919年10月には、消費税率10%への引き上げや軽減税率とインボイス(適格請求書)制度の導入が狙われています。軽減税率とは名ばかりで、一部の品目を8%に据え置くだけで、国民の税負担が軽くなるわけではありません。インボイス制度が実施されれば、約500万の免税業者の多くが商取引から排除されます。
 税務行政では、適正手続きを無視した強権的な税務調査が相次ぎ、国税だけでなく、地方税や社会保険料なども強引な徴収が横行しています。社会保障費を抑制し、課税と徴収を強化するためのマイナンバー(共通番号)はプライバシーを侵害する憲法違反の制度であり、運用を中止し、廃止すべきです。「共通番号がなくても申告書を受け取る」という国税庁の公式回答に反する対応は許されません。

 集会さんの皆さん
 いま、民意も国会のルールも無視し、「森友学園・加計学園疑惑」の解明に背を向けながら、平和憲法を壊そうとする安倍自公政権の退陣を求める市民と野党の共闘が広がっています。格差と貧困が広がる中で、タックス・ヘイブンを利用した経済逃れや大企業・富裕層を優遇するすべての税制に批判の声が上がっています。大企業がため込んだ400兆円を超える内部留保を社会に還元させ、すべての労働者の賃金を大幅に引き上げ、消費税率を5%に戻すことこそ、国民の懐を温め、景気を回復する最良の道です。
 憲法が要請する「生活費非課税」や「応能負担」を税制に貫き、「所得再配分」機能の回復・強化など、あるべき税制の確立が急務です。不公平な税制を正し、税金の集め方、使い方を正せば、消費税に頼らなくても社会保障を拡充する財源を確保することができます。
 第49回3・13重税反対全国統一行動は、消費税増税中止、改憲阻止、戦争法とマイナンバー廃止、不当な税務行政の是正、納税者の権利の擁護・発展をめざす2018年春の一大結節点として開催しています。今後、一致する要求で共同を大きく広げ、確定申告を行い、納税緩和制度の申請も集団で行うなど、生活と営業を守る運動の前進に力をあわせましょう。