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2018年5月29日火曜日

入院時の差額ベッド代

 病院の差額ベッド代についてご質問をいただいた。高齢者ご夫妻のお宅で、夫が呼吸が苦しいというので妻が救急車を呼んで、救急指定病院に運ばれ、肺炎と診断され1週間ほど入院したのだが、差額ベッド代のかかるベッドしか空いていないと言われ、仕方なく同意書に署名した。二人部屋で1日3,000円かかる部屋だったそうだが、家計のやりくりが大変な中での21,000円の差額ベッド代負担は辛かった、というお話だった。そして、病院のベッドは差額ベッド代は必ず払わなければならないものなのか?というのが質問の主旨だった。
 あらためて、差額ベッド代のルールを整理しておきたい。下に、厚労省保険局課長通知の抜粋を資料として載せておく。

【差額ベッド代の原則】
1 ベッド数の5割まで
 保険医療機関の病床数の5割まで、妥当な範囲の差額ベッド代の負担を求めることを認める。
2 特別の負担にふさわしい療養環境
 病室のベッド数4床以下、一人当り床面積6.4㎡以上、プライバシーが保護され、個人用収納庫や小机・椅子等の設備を有する場合に、差額ベッド代の徴収を認める。
3 患者への十分な説明に基づく、患者の自由な選択と同意
 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならない。
4 院内掲示と患者への説明と同意書
 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しなければならない。また、特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させなければならない。なお、この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うこと。
5 差額ベッド代を請求できないケースの例示
① 同意書による同意の確認を行っていない場合
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
③ 感染防止や差額ベッドのいらない病床が満床であるなど実質的に患者の選択によらない場合

 ほかにも細かな取り決めがあるが、患者として知っておかなければならないのはこれで十分。今回の相談のケースでは、満床であることを理由に差額ベッド代の必要な病室に入院を余儀なくされたわけだから、差額ベッド代を請求できないケースの③に該当する。奥さんが署名した同意書には、差額ベッドの要らない病床が満床だからという記載があるわけではなく、差額ベッド代1日3,000円かかる病室への入院することを同意する旨の記載しかなく、説明し、納得し、同意書に署名したと主張されると反論は難しいのだろうなと思われた。

 私が病院とお話しても良いですし、岡山県の医療安全センターに対応してもらうこともでできますよ、とお声掛けしたが、今回は1週間ほどで何とかなる範囲だからそこまでしなくてもいいということだった。奥さんは「次からは、気を付けて無駄な差額ベッド代を払わなくても済むようにしたい。」と言っていた。蛇足ながら、私は、差額ベッド代をもらっていない病院もあるんですよと、古巣の、岡山協立病院を紹介しておいた。全日本民主医療機関連合会(民医連)に加盟する病院は、差額ベッド代をもらっていない、庶民にとっては貴重な存在だ。

 こんな場合の苦情相談窓口として、まちづくり研究所を活用していただければ良いのだが、岡山県でいえば岡山県医療安全支援センターがあり、次のような相談実施方針のもと、県民の苦情・相談に対応している。
(1)中立的な立場から患者・家族と医療関係者・医療機関との信頼関係を構築
(2)医療事故であるか否かや、責任の所在を判断するものではない
  あくまで患者・家族及び医療機関の問題解決に中立的立場から助言する。
(3)ご相談の内容によってはより適した相談窓口を紹介。
(4)相談は匿名可。また、医療機関等へ連絡する際も相談者の了解を得て行う。

【岡山県医療安全センター】
相談受付日:月曜日から金曜日(国民の祝日及び休日、年末年始の休日を除く)
相談時間:8時30分から12時。 13時から17時15分
電話番号:086-226-7322
相 談 員:2名(看護職)
 ※その他にも各保健所に相談窓口を開設している。

 また、岡山市、倉敷市はそれぞれ保健所の中に、医療相談窓口をもうけている。
【岡山市・倉敷市の医療相談窓口】
◆岡山市保健所 保健課  
  岡山市北区鹿田町1-1-1 
  電話:086-803-1254
◆倉敷市保健所 保健課   
  倉敷市笹沖170 
  電話:086-434-9812

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【資料】保医発0305第6号平成30年3月5日(抜粋)

12 特別の療養環境の提供に係る基準に関する事項
i)入院医療に係る特別の療養環境の提供
(1) 療養環境の向上に対するニーズが高まりつつあることに対応して、患者の選択の機会を広げるために、(2)の要件を満たす病床について保険医療機関の病床(健康保険法(大正11年法律第70号)第63条第3項第1号の指定に係る病床(健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法(平成9年法律第123号)第48条第1項第3号に規定する指定介護療養施設サービスを行う同法第8条第26項に規定する療養病床等を除く。)に限る。以下第3において同じ。)の数の5割まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。

(2) 療養環境については、患者が特別の負担をする上でふさわしい療養環境である必要があり、次の①から④までの要件を充足するものでなければならないこと。
① 特別の療養環境に係る一の病室の病床数は4床以下であること。
② 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること。
③ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。
④ 特別の療養環境として適切な設備を有すること。

(3) (1)にかかわらず、厚生労働大臣が次に掲げる要件を満たすものとして承認した保険医療機関にあっては、当該承認に係る病床割合まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
① 当該保険医療機関の所在地を含む区域(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第2項第10号に規定する区域をいう。)における療養病床(同法第7条第2項第4号に規定する療養病床をいう。)及び一般病床(同法第7条第2項第5号に規定する一般病床をい
う。)の数が、同法第30条の4第1項に規定する医療計画において定める当該区域の療養病床及び一般病床に係る基準病床数に既に達しており、かつ、特別の療養環境に係る病床数の当該保険医療機関の病床数に対する割合を増加しても患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないこと。
 この場合においては、当該保険医療機関におけるこれまでの特別の病室の稼働の状況、特別の病室の申し込みの状況等を勘案し、当該保険医療機関の特別の病室を増加しても、患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないかどうか判断するものとすること。
② 経験を有する常勤の相談員により、特別の療養環境の提供に係る病室への入退室及び特別の料金等に関する相談体制が常時とられていること。
③ 必要に応じ、患者を適切かつ迅速に他の保険医療機関に紹介することができる等の他の保険医療機関との連携体制が整えられていること。
④ 当該保険医療機関における特別の療養環境の提供に係る病室のすべてについて、一の病室の病床数が2床以下であり、かつ、病室の面積及び設備については(2)の②から④までの要件を充足するものであること。
⑤ 算定告示別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)第1章第2部第1節又は別表第二歯科診療報酬点数表(以下「歯科点数表」という。)第1章第2部第1節に規定する7対1入院基本料及び10対1入院基本料、療養病棟入院基本料(特別入院基本料等を除く。)並びに有床診療所入院基本料1及び有床診療所入院基本料4を算定する保険医療機関であること。
⑥ 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第19条第1項第1号及び第2号に定める医師及び歯科医師の員数を満たしていること。
⑦ 厚生労働大臣から当該承認を受ける前6月間において掲示事項等告示第3の基準に違反したことがなく、かつ現に違反していないこと。

(4) (3)の承認に係る病床割合については、次の事項を基準として設定すること。
① 医科点数表又は歯科点数表に掲げる療養環境加算、重症者等療養環境特別加算等を算定する病室として当該保険医療機関が届出を行っている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
② 特定集中治療室、小児特定集中治療室、新生児特定集中治療室、母体・胎児集中治療室、一類感染症患者入院医療管理治療室等患者の治療上の必要があるために入院するものとして設けられている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
③ 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院をいう。)、救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院等、「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された保険医療機関等において救急患者のために設けられた専用病床等は、承認に係る病床から除外すること。
④ ①から③までのほか、当該保険医療機関におけるこれまでの特別療養環境室以外の病床への入院状況、特別療養環境室への入院希望の状況、救急患者の割合等を総合的に勘案し、特別療養環境室に係る病床以外の病床を一定割合確保すること。

(5) (1)及び(3)にかかわらず、特定機能病院以外の保険医療機関であって、国又は地方公共団体が開設するものにあっては、その公的性格等にかんがみ、国が開設するものにあっては病床数の2割以下、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の3割以下としたこと。

(6) 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。

(7) 特別療養環境室へ入院させた場合においては、次の事項を履行するものであること。
① 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。
② 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。
③ この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるようにしておくこと。

(8) 患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられること。なお、③に掲げる「実質的に患者の選択によらない場合」に該当するか否かは、患者又は保険医療機関から事情を聴取した上で、適宜判断すること。
① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
(例)
・救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
・免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
・集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
・後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
・クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
(例)
・MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者の場合。
・特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合。
 なお、「治療上の必要」に該当しなくなった場合等上記②又は③に該当しなくなったときは、(6)及び(7)に示した趣旨に従い、患者の意に反して特別療養環境室への入院が続けられることがないよう改めて同意書により患者の意思を確認する等、その取扱いに十分に配慮すること。

(9) 患者が事実上特別の負担なしでは入院できないような運営を行う保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられるおそれがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は更新による再指定に当たっては、十分改善がなされた上で、これを行う等の措置も考慮すること。(3)に掲げる保険医療機関については、特に留意すること。

(10) 平成6年3月31日現在、従来の特別の病室として特別の料金を徴収している病室が(2)の②に掲げる要件を満たしていない場合は、当該病床を含む病棟の改築又は建替までは経過的に当該要件を課さないこととするが、早急に改善されるべきものであること。

(11) 保険医療機関は、特別の療養環境の提供に係る病床数、特別の料金等を定期的に地方厚生(支)局長に報告するとともに、当該事項を定め又は変更しようとする場合には、別紙様式1により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。

2018年4月28日土曜日

相談ファイル4 特養に入れたい

 ご近所のYさんから、98歳の母を特養に入れたいのだけれど・・という相談があった。Yさんのお母さんKさんは、半年前に左足が痛くて歩けなくなり入院し、現在も入院中なのだが、足の痛みがほぼなくなって、リハビリの成果もあり、今は部屋の中を歩けるまでに回復している。退院の話が出ているが、家で面倒見る自身が無いので、できれば特養に入れたいということだった。

【特別養護老人ホームの入所基準】
 特養(特別養護老人ホーム)の入所基準は意外に厳しくて、2015年の介護保険法改定前は介護認定されれば入所できたが、2015年以降は「居宅での生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図る」との理由から、要介護3以上に限定されることになった。しかし、要介護高齢者の状態は個別性が強く、一律に要介護3で線引きすることはできないという意見も根強くあって、やむを得ない事情により指定介護老人福祉施設以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与の
下、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に指定介護老人福祉施設への入所を認めるという「特例入所」というルールが作られている。

 特例入所を認めるかどうかは各施設の判断によるとされているため、各市町村やそれぞれの施設によって判断基準に大きな差が出ないよう、入所を判断する勘案事項を明確にしておく必要があり、厚労省がその内容を明示している。

【特例入所の判断に当たっての具体的要件】
◇考え方
○ 特例入所の判断主体は、現行の入所判定の取扱同様、各施設であること等を踏まえ、入所判定の公正性を確保するため、各市町村や各施設で判断基準に大きな差異が出ないよう、厚生労働省において特例入所の判断に当たっての要件に係る勘案事項を明確に示すこととする。
◇要件
○ 認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態であるか否か。
○ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態であるか否か。

 この厚労省の通達に基づき、岡山県も次の通り岡山県介護老人福祉施設等入所指針を2015年4月1日付で次のように変更している。
◇入所の対象者◇
① 要介護3から5までの認定を受けている者であって常時介護を必要とし、居宅において介護を受けることが困難なもの
② 要介護1又は2の認定を受けている者であって、やむを得ない事由により居宅において日常生活を営むことが困難であるとして特例入所が必要な次の要件に該当するもの
ア 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られるもの
イ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られるもの
ウ 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であるもの
エ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービス又は生活支援の供給が不十分であるもの

◇特例入所に係る申込等◇
① 特例入所に係る申込者は、特例入所が必要である状況等を申込書に記載する。
② 施設は、その状況を申込者に確認するとともに、市町村へ報告し、必要に応じ、当該市町村に対し、特例入所の対象者に該当するかどうかの判断に当たっての意見を求めることができる。
③ 市町村は、施設から意見を求められた場合又は必要と認める場合、地域の居宅サービス、生活支援等の提供体制に係る状況及び担当の介護支援専門員からの居宅等における生活の困難度について聴取した結果等も踏まえ、施設に対して意見を表明する。
④ 施設は、入所検討委員会を開催し、特例入所の対象となる者について要件該当の有無の検討を行った上で、要介護3以上の者と合わせて、要介護度、介護者の状況、介護サービスの利用状況等を勘案し、入所順位の決定を行う。
 なお、平成27年3月31日以前に入所順位を決定した要介護1又は2の者については、入所を決定する際に、入所検討委員会で要件該当の有無を確認する。

 一般的に、特養への入所は要介護3以上と認識されており、この特例入所についてはあまり知られていない。しかし、「やむを得ない事由により居宅において日常生活を営むことが困難であるとして特例入所が必要な次の要件に該当するもの」については、法人・事業所の入所検討委員会で、要件該当の有無を確認して入所を認めてよいことになっている。

 つまり、認知症や知的障害・精神障害で在宅生活が困難であったり、家族等による深刻な虐待で心身の安全・安心の確保が困難であったり、単身高齢者や高齢者世帯で家族等の支援が受けられない等に該当すれば、特養の入所を申し込むことができ、施設は、入所検討委員会で要介護度、介護者の状況、介護サービスの利用状況等を勘案し、入所順位の決定を行うことになる。

【Kさんの特養入所】
 特養入所に係るルールを説明し、入所の可能性について一緒に検討させていただいた。まず、要介護度は入院前に要介護3と認定されていたが、入院して症状が改善しており、室内では自立歩行ができるまでに回復したため、要介護度の更新で要介護2又は1になりそうだというのが関係者の一致した認識だった。

 そこで、特例入所の条件があるかを検討した。

 まず、98歳のKさんは岡山市内で独り暮らしをしている。Kさんはご主人と長男夫婦と暮らしていたが、長男夫婦は離婚して長男の妻は家を出てしまっており、その後、長男は病で死亡。ご主人もすでに他界していた。
 二人兄弟の次男Yさんは実家を出て、結婚後家を購入し、自宅の一部を店舗として夫婦で床屋をやっている。小さな家でKさんの部屋を用意できないこと、仮に同居しても床屋の仕事をしておりKさんの支援に割ける時間は多くないこと、Kさんは自分で歩き身の回りのことができるように見えるが、認知症が少しずつ進んできており、誰かの見守りが必要な状態であることなどを確認し、特例入所に該当するのではないかという感触を得た。
 そこでケアマネにつないで、特養への入所という方向で進めるという意思統一をして、私の任務終了ということにさせていただいた。

 先日、その後の様子をお伺いしたら、入院している病院の関連する社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームに入所申し込みを行い、入所判定会議で受け付けてもらうことができて、入所の順番待ちだとのこと。ゴールデンウィーク明けには入所できる見通しだということで、良かったなぁと喜び合いました。

2018年4月20日金曜日

相談ファイル3 年金受給者の確定申告

 年金を受給しているMさんから、「収入が年金だけだから、去年は確定申告をしなかったのだけれど、昔の同僚は、確定申告をしていると言う。私も、確定申告をした方が良いのか?」という相談を受けた。
 年金受給者には、確定申告不要制度が用意されているが、年金受給額によって対象となるかどうかがわかれることになるので、具体的な数字がうろ覚えだったため、調べてからお返事させていただくことにして、いったん持ち帰らせてもらった。

 さてそこで、年金受給者の確定申告不要制度がどのようなものか、ここで整理しておこうと思う。

1.確定申告
 所得税及び復興特別所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得(※)とそれに対する所得税及び復興特別所得税の金額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収(給与や年金などの支払者が、あらかじめ所得税及び復興特別所得税を差し引いて国に納付する制度)された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続である。

2.年金は雑所得
 公的年金等については、「雑所得」として課税の対象となっており、一定金額以上を受給するときには、所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されているので、確定申告を行って税金の過不足を精算する必要がある(ただし、障害年金や遺族年金は非課税です。)。
 ただし、年金受給者の皆さんの確定申告手続に伴う負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられており、これによって多くの方が確定申告を行う必要がなくなっている。
※所得の金額とは総収入金額から必要経費などを差し引いた金額です。

3.確定申告不要制度
 年金受給者の皆さんの申告手続の負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられている。この制度は、公的年金等による収入が400万円以下で一定の要件を満たす場合には、所得税及び復興特別所得税の確定申告を行う必要がないというもの。

 確定申告不要制度の対象者は下記の(1)、(2)のいずれにも該当する方
(1)公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
(2)公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
出典:政府公報オンライン

 したがって、源泉徴収の対象となる公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であっても、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超える場合には、確定申告を行う必要がある。また、外国において支払われる公的年金等は、源泉徴収の対象とならないため、この支給を受けている方は、確定申告を行う必要がある。

※1 公的年金等とは
 国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など

※2 公的年金等に係る雑所得以外の所得とは
 生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など

4.確定申告不要制度の対象者でも確定申告が必要な場合
(1)所得税の還付を受ける方
 公的年金等から所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されている方で、以下にあてはまる場合などは、所得税の還付が受けられる可能性がある。このような場合に、還付を受けるためには、確定申告書を提出しなければならない。
・マイホームを住宅ローンなどで取得した場合
・一定額以上の医療費を支払った場合
・災害や盗難にあった場合

(2)住民税の申告が必要な場合
 所得税及び復興特別所得税の確定申告が不要な場合であっても、以下に該当する方は住民税の申告が必要な場合がある。
・公的年金などに係る雑所得のみがある方で、「公的年金などの源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等)以外の各種控除(※3)の適用を受ける場合
・公的年金などに係る雑所得以外の所得がある場合(※2参照)

※3 生命保険料控除や損害保険料控除、医療費控除など

 なお、所得税及び復興特別所得税の確定申告をした方は、税務署から地方公共団体に確定申告書等がデータで送信されるので、改めて住民税の申告書を提出する必要はない。

◆Mさんの場合
 Mさんの年金はいわゆる厚生年金で、年額204万円程。これだけ見ると確定申告不要制度に該当しそうですが、Mさん家の水回り等のちょっと大きな規模の改修(約500万円)を定年直前にやっており、そのときのローンが残っていたんですね。そこで、確定申告すれば所得税の還付が受けられそうだということで、確定申告をした方が良いですよとお返事させていただきました。

 Mさんの場合、省エネリフォーム、ローン型減税が該当しました。台所の電化、お風呂・トイレの交換とバリアフリー化、床・壁・天井の断熱構造化、窓の二重サッシ化などを行っており、このうち床等の断熱構造化と窓の二重サッシへの変更が省エネリフォームの対象でローン残高の2%の控除率の適用を受けることができました。

 無事に、3月15日までに確定申告書を提出、所得税の還付が受けられたようですよ。