2018年5月29日火曜日

入院時の差額ベッド代

 病院の差額ベッド代についてご質問をいただいた。高齢者ご夫妻のお宅で、夫が呼吸が苦しいというので妻が救急車を呼んで、救急指定病院に運ばれ、肺炎と診断され1週間ほど入院したのだが、差額ベッド代のかかるベッドしか空いていないと言われ、仕方なく同意書に署名した。二人部屋で1日3,000円かかる部屋だったそうだが、家計のやりくりが大変な中での21,000円の差額ベッド代負担は辛かった、というお話だった。そして、病院のベッドは差額ベッド代は必ず払わなければならないものなのか?というのが質問の主旨だった。
 あらためて、差額ベッド代のルールを整理しておきたい。下に、厚労省保険局課長通知の抜粋を資料として載せておく。

【差額ベッド代の原則】
1 ベッド数の5割まで
 保険医療機関の病床数の5割まで、妥当な範囲の差額ベッド代の負担を求めることを認める。
2 特別の負担にふさわしい療養環境
 病室のベッド数4床以下、一人当り床面積6.4㎡以上、プライバシーが保護され、個人用収納庫や小机・椅子等の設備を有する場合に、差額ベッド代の徴収を認める。
3 患者への十分な説明に基づく、患者の自由な選択と同意
 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならない。
4 院内掲示と患者への説明と同意書
 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しなければならない。また、特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させなければならない。なお、この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うこと。
5 差額ベッド代を請求できないケースの例示
① 同意書による同意の確認を行っていない場合
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
③ 感染防止や差額ベッドのいらない病床が満床であるなど実質的に患者の選択によらない場合

 ほかにも細かな取り決めがあるが、患者として知っておかなければならないのはこれで十分。今回の相談のケースでは、満床であることを理由に差額ベッド代の必要な病室に入院を余儀なくされたわけだから、差額ベッド代を請求できないケースの③に該当する。奥さんが署名した同意書には、差額ベッドの要らない病床が満床だからという記載があるわけではなく、差額ベッド代1日3,000円かかる病室への入院することを同意する旨の記載しかなく、説明し、納得し、同意書に署名したと主張されると反論は難しいのだろうなと思われた。

 私が病院とお話しても良いですし、岡山県の医療安全センターに対応してもらうこともでできますよ、とお声掛けしたが、今回は1週間ほどで何とかなる範囲だからそこまでしなくてもいいということだった。奥さんは「次からは、気を付けて無駄な差額ベッド代を払わなくても済むようにしたい。」と言っていた。蛇足ながら、私は、差額ベッド代をもらっていない病院もあるんですよと、古巣の、岡山協立病院を紹介しておいた。全日本民主医療機関連合会(民医連)に加盟する病院は、差額ベッド代をもらっていない、庶民にとっては貴重な存在だ。

 こんな場合の苦情相談窓口として、まちづくり研究所を活用していただければ良いのだが、岡山県でいえば岡山県医療安全支援センターがあり、次のような相談実施方針のもと、県民の苦情・相談に対応している。
(1)中立的な立場から患者・家族と医療関係者・医療機関との信頼関係を構築
(2)医療事故であるか否かや、責任の所在を判断するものではない
  あくまで患者・家族及び医療機関の問題解決に中立的立場から助言する。
(3)ご相談の内容によってはより適した相談窓口を紹介。
(4)相談は匿名可。また、医療機関等へ連絡する際も相談者の了解を得て行う。

【岡山県医療安全センター】
相談受付日:月曜日から金曜日(国民の祝日及び休日、年末年始の休日を除く)
相談時間:8時30分から12時。 13時から17時15分
電話番号:086-226-7322
相 談 員:2名(看護職)
 ※その他にも各保健所に相談窓口を開設している。

 また、岡山市、倉敷市はそれぞれ保健所の中に、医療相談窓口をもうけている。
【岡山市・倉敷市の医療相談窓口】
◆岡山市保健所 保健課  
  岡山市北区鹿田町1-1-1 
  電話:086-803-1254
◆倉敷市保健所 保健課   
  倉敷市笹沖170 
  電話:086-434-9812

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【資料】保医発0305第6号平成30年3月5日(抜粋)

12 特別の療養環境の提供に係る基準に関する事項
i)入院医療に係る特別の療養環境の提供
(1) 療養環境の向上に対するニーズが高まりつつあることに対応して、患者の選択の機会を広げるために、(2)の要件を満たす病床について保険医療機関の病床(健康保険法(大正11年法律第70号)第63条第3項第1号の指定に係る病床(健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法(平成9年法律第123号)第48条第1項第3号に規定する指定介護療養施設サービスを行う同法第8条第26項に規定する療養病床等を除く。)に限る。以下第3において同じ。)の数の5割まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。

(2) 療養環境については、患者が特別の負担をする上でふさわしい療養環境である必要があり、次の①から④までの要件を充足するものでなければならないこと。
① 特別の療養環境に係る一の病室の病床数は4床以下であること。
② 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること。
③ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。
④ 特別の療養環境として適切な設備を有すること。

(3) (1)にかかわらず、厚生労働大臣が次に掲げる要件を満たすものとして承認した保険医療機関にあっては、当該承認に係る病床割合まで患者に妥当な範囲の負担を求めることを認めることとしたものであること。
① 当該保険医療機関の所在地を含む区域(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第2項第10号に規定する区域をいう。)における療養病床(同法第7条第2項第4号に規定する療養病床をいう。)及び一般病床(同法第7条第2項第5号に規定する一般病床をい
う。)の数が、同法第30条の4第1項に規定する医療計画において定める当該区域の療養病床及び一般病床に係る基準病床数に既に達しており、かつ、特別の療養環境に係る病床数の当該保険医療機関の病床数に対する割合を増加しても患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないこと。
 この場合においては、当該保険医療機関におけるこれまでの特別の病室の稼働の状況、特別の病室の申し込みの状況等を勘案し、当該保険医療機関の特別の病室を増加しても、患者が療養の給付を受けることに支障を来すおそれがないかどうか判断するものとすること。
② 経験を有する常勤の相談員により、特別の療養環境の提供に係る病室への入退室及び特別の料金等に関する相談体制が常時とられていること。
③ 必要に応じ、患者を適切かつ迅速に他の保険医療機関に紹介することができる等の他の保険医療機関との連携体制が整えられていること。
④ 当該保険医療機関における特別の療養環境の提供に係る病室のすべてについて、一の病室の病床数が2床以下であり、かつ、病室の面積及び設備については(2)の②から④までの要件を充足するものであること。
⑤ 算定告示別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)第1章第2部第1節又は別表第二歯科診療報酬点数表(以下「歯科点数表」という。)第1章第2部第1節に規定する7対1入院基本料及び10対1入院基本料、療養病棟入院基本料(特別入院基本料等を除く。)並びに有床診療所入院基本料1及び有床診療所入院基本料4を算定する保険医療機関であること。
⑥ 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第19条第1項第1号及び第2号に定める医師及び歯科医師の員数を満たしていること。
⑦ 厚生労働大臣から当該承認を受ける前6月間において掲示事項等告示第3の基準に違反したことがなく、かつ現に違反していないこと。

(4) (3)の承認に係る病床割合については、次の事項を基準として設定すること。
① 医科点数表又は歯科点数表に掲げる療養環境加算、重症者等療養環境特別加算等を算定する病室として当該保険医療機関が届出を行っている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
② 特定集中治療室、小児特定集中治療室、新生児特定集中治療室、母体・胎児集中治療室、一類感染症患者入院医療管理治療室等患者の治療上の必要があるために入院するものとして設けられている病室における病床は、承認に係る病床から除外すること。
③ 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院をいう。)、救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院等、「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された保険医療機関等において救急患者のために設けられた専用病床等は、承認に係る病床から除外すること。
④ ①から③までのほか、当該保険医療機関におけるこれまでの特別療養環境室以外の病床への入院状況、特別療養環境室への入院希望の状況、救急患者の割合等を総合的に勘案し、特別療養環境室に係る病床以外の病床を一定割合確保すること。

(5) (1)及び(3)にかかわらず、特定機能病院以外の保険医療機関であって、国又は地方公共団体が開設するものにあっては、その公的性格等にかんがみ、国が開設するものにあっては病床数の2割以下、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の3割以下としたこと。

(6) 特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。

(7) 特別療養環境室へ入院させた場合においては、次の事項を履行するものであること。
① 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数、特別療養環境室の場所及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。
② 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切丁寧に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。
③ この同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。なお、この文書は、当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるようにしておくこと。

(8) 患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例が挙げられること。なお、③に掲げる「実質的に患者の選択によらない場合」に該当するか否かは、患者又は保険医療機関から事情を聴取した上で、適宜判断すること。
① 同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
(例)
・救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
・免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
・集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
・後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
・クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
(例)
・MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者の場合。
・特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合。
 なお、「治療上の必要」に該当しなくなった場合等上記②又は③に該当しなくなったときは、(6)及び(7)に示した趣旨に従い、患者の意に反して特別療養環境室への入院が続けられることがないよう改めて同意書により患者の意思を確認する等、その取扱いに十分に配慮すること。

(9) 患者が事実上特別の負担なしでは入院できないような運営を行う保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられるおそれがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は更新による再指定に当たっては、十分改善がなされた上で、これを行う等の措置も考慮すること。(3)に掲げる保険医療機関については、特に留意すること。

(10) 平成6年3月31日現在、従来の特別の病室として特別の料金を徴収している病室が(2)の②に掲げる要件を満たしていない場合は、当該病床を含む病棟の改築又は建替までは経過的に当該要件を課さないこととするが、早急に改善されるべきものであること。

(11) 保険医療機関は、特別の療養環境の提供に係る病床数、特別の料金等を定期的に地方厚生(支)局長に報告するとともに、当該事項を定め又は変更しようとする場合には、別紙様式1により地方厚生(支)局長にその都度報告するものとすること。

2018年5月21日月曜日

酒税法改正

 私が、御前酒クラブ(御前酒のサポーター団体)の会長をしているので、お酒のことも聴かれることが多いのですが、先日、酒税法の改正でお酒の値段はあがるのか?という質問をされました。私、ビールの定義が変更になるということくらいしかチェックしてなくて、即答できなかったのです。これではいかんということで、あらためてどんな改正なのかを整理しておきたいと思います。

 昨年改正された酒税法では、種類の品目等の定義が変更されました。そして、段階を負って施行されています。

◇2017年4月施行
 (旧)連続式蒸留しょうちゅう ⇒ (新)連続式蒸留焼酎
 (旧)単式蒸留しょうちゅう ⇒ (新)単式蒸留焼酎
 ※平仮名標記を常用漢字化しました。

◇2018年4月施行
① ビールの麦芽比率(ホップ及び水を除いた原料の重量中、麦芽が占める割合をいい
ます。)の下限が 100 分の 50 まで引き下げられるとともに、使用する麦芽の重量の 100分の5の範囲内で使用できる副原料として、果実(果実を乾燥させたもの、煮つめた
もの又は濃縮させた果汁を含みます。)及び香味料(コリアンダーなど一定の香味料)
が追加されました。
出典:国税庁ホームページ
要するに、ビールの幅が広がりました。これにより従来発泡酒と標記されれることのあるベルギービールの一部がビールの仲間入りをします。
② 果実酒の範囲に「果実酒にオークチップを浸してその成分を浸出させたもの」が加
えられます。
③ ②の改正に伴い、ブランデーの定義が改正されます。

 酒類の品目が変更になる酒類を整理すると下表のようになります。
出典:国税庁
肝心の酒税はどうなるかと言えば、下表のように段階的に整理されていきます。これをみると、現在、ビール、発泡酒、第三のビール、その他の発泡性酒類と細かく酒税が設定されていましたが、段階的に整理されて、2026年には一本化されます。この表では解りにくいので、350mlの缶ビール・発泡酒を例にとって説明すると、221円(消費税込み、コンビニエンスストアの標準価格)のビールに今までかかっていた酒税は77円。そして8%の消費税として16円がかかっていました。ビールの小売価格に占める税負担率は、約42.2%です。同じく164円の発泡酒の場合、酒税は47円。消費税は12円で税率負担は約36.1%。そして、143円の第3のビールは酒税が28円、消費税が11円で、税率負担は約27%です。酒税が一本化されると、発泡酒類の酒税55円程度に統一されます。すると、ビールは24円安くなり、発泡酒は8円高くなり、第三のビールは28円高くなるということになります。
出典:国税庁
◇2023年10月1日から改正されるもの
 発泡酒の範囲に「ホップ又は一定の苦味料を原料の一部とした酒類」及び「香味、色沢その他の性状がビールに類似するもので苦味価及び色度の値が一定以上のもの」で発泡性を有するものが加えられます。この改正でいわゆる「新ジャンル」が発泡酒に分類されることになります。
出典:国税庁
◇2026年10月1日から改正されるもの
 その他の発泡性酒類の範囲が「アルコール分が 11 度未満」(改正前は 10 度未満)に改正されます。
 また、発泡性を有しない低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の税率の特例についても改正され、2026年10月1日から、以下のとおり変更されます。
出典:国税庁

 ということで、今回の改正で、ビールの酒税が下がり、ちょっと安くなりそうですが、庶民にとってありがたい存在だった、第三のビールの値段が大幅値上げとなります。少々辛い酒税の改定だといえそうです。

2018年5月16日水曜日

何でも相談

 まちづくり研究所の重要な活動の一つに、暮しの困った何でも相談があります。高齢や国籍などを理由に銀行口座が開設できないとか、アパートの更新時期が来るのだけれど、高齢を理由に連帯保証人を用意しろと言われているが、一人暮らしで親族とも疎遠になっていて頼める人がいないとか、小さな畑があるのだけれど、足腰が弱って畑の面倒がみられなくなったとか、暮らしていくということはそういう困りごとに突然巻き込まれることでもあります。

 そんな時に、一人で抱え込んであれこれ悩むのはやめませんか。まちづくり研究所の何でも相談は、そんな突然目の前に表れた困りごとに対して一緒に解決策を考えていこうという活動です。まちづくり研究所は、そういう一つひとつの問題を集めて、同じような問題で困る人を無くすためにどうしたらいいかを考え、まちづくりの政策課題として行政に働きかけ、きめの細かいセーフティーネットをつくろうと考えています。

 無料相談ですので、お気軽に活用してください。ただし、解決策を具体化していく中で、何かを買うとか、人の力を借りるとかということになった場合には、お金が必要となる場合がありますので、ご理解いただきたいと思います。

 まちづくり研究所の活動は、会員・賛助会員の会費と、寄付金で運営しています。興味のある方は、是非ともまちづくり研究所の会員になってください。そして、寄付金はいつでも大歓迎です。

2018年5月14日月曜日

原発ゼロ法案



先週土曜日、原発ゼロ法案の勉強会に参加してきました。講師は、衆議院議員の高井たかしさんです。3月9日に立憲民主、共産、自由、社民の4党と無所属の会の2名が3月9日、衆院に共同提出した法案の内容とその意義についてお話をお聞きしました。

1.パリ協定 ~ 世界は自然エネルギー100%が目標!
 パリ協定では、次のような世界共通の長期目標を掲げています。
◇ 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
◇ そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

 パリ協定は、この目標達成のために、各国に対しては「自主的な削減目標を国連に出すこと」と「達成のため、削減に向けた国内の対策を取ること」を義務づけています。平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を求められていますが、この目標を達成するためには、ほとんどの化石燃料を燃やすことはできないと言われるほど厳しい内容を含んでいます。
 にも関わらず日本政府は原発再稼働にこだわり、政府主導で原発輸出めざすなど、世界の潮流に逆行する動きを見せています。

 実際に世界では再生可能エネルギーへの転換がかなりの速度で進んでいる状況が報告されました。

 2016年は自然エネルギー発電設備の新規導入量で新たな記録が生まれました。新規導入量は161GW(1億6100万kW)に達し、世界全体の自然エネルギーの累積の発電設備容量は2015年末から約9%増加し、2,017GW(20億1700万kW)近くに達しています。太陽光発電は約47%も設備容量が増加し、風力発電は34%、水力発電は15.5%設備容量が増加して後に続きました。

2.自然エネルギーは発電コストも安い
 自然エネルギーは最も発電コストが安い選択肢となってきています。デンマーク、エジプト、メキシコ、ペルー、アラブ首長国連邦での最近の買電契約では、自然エネルギーによる電気はキロワット時あたり5セント米ドル(約5.6円)以下で調達されています。これは各国での化石燃料や原子力の発電コストより充分に安くなっています。ドイツでの最近の2つの洋上風力プロジェクトが入札で落札されましたが、発電事業者は政府支援(訳注:補助金)を必要としない電気の卸売価格のみで応札しており、自然エネルギーが最も発電コストの安い選択肢となりえることを示しています。

 日本でも、事故コストを入れた原子力発電の発電コストが13.3円なのに対し、火力発電のコストは9.9円、水力発電のコストは3.9円となっています。

3.原子力発電は大きな出力を得られるというメリットがありますが、事故対応の社会的コストや使用済み核燃料の処分のめどが立たないなど、そもそも原発を動かし続けることに無理があります。

 CO2の排出がないクリーンなエネルギーだというけれど、東京電力福一原発事故で私たちは放射性物質による環境破壊を目の当たりにして、放射能汚染により汚染地域で人は暮せないし、避難生活を支える社会的コストなどを含めればはるかに大きなデメリットがあることを学びました。
 使用済み核燃料などの最終処分のめどが立たず、危険な核のゴミが原子力発電所に蓄積されています。地層処分を提起していますが、住民説明会に電力会社がバイト代を払って参加者を動員するなどの不正も発覚しています。

4.原発ゼロしか選択肢はない。
 原発ゼロ法案で提起されていることを整理すると次のようなことになります。
◇省エネの徹底でそもそも電力の使用量を抑える。
◇再生可能エネルギーの最大限の導入
◇原発については
 ・新増設・リプレースは認めない
 ・40年の稼働で廃炉
 ・核燃料サイクルは中止
 ・原発・関連施設立地地域への支援
 ・廃炉への支援・電力会社への損失補填

 早期に原発ゼロ基本法案が成立することを期待すると同時に、私も法案成立を応援したいと思います。

 私は、電力の地産地消を提起したいと思います。日本はどこに行っても川が流れる豊かな水の国です。各地にある水の流れをうまく活用した、小規模水力発電の普及に取り組みたいと思っています。何といっても町内の川の流れを活用するわけですから、送電ロスは限りなく小さく抑えられるし、水の流れでタービンを回すだけですから、一度設置すればそう簡単に壊れるものではありません。台風や大雨での増水を気にする必要がありますが、小規模水力発電所ですから被害をおさえる仕組みはそう難しくないように思います。もちろん、その他にも屋根は全部太陽光パネルにして、すべの住宅が太陽光発電所になるなどというのも良いアイデアだと思います。

 各町内会といったレベルで協同組合を作り、その協同組合が太陽光発電や水力発電所を所有して発電するわけです。そして、町内会でつくった電気を町内みんなで使うというようなことができれば、もう原発に頼らなくたって良いってことになるわけです。そんなことを思い描きながら学習会に参加してきました。

資料:原発ゼロ基本法案

 立憲民主、共産、自由、社民の4党と無所属の会の2名が3月9日、衆院に共同提出した「原発ゼロ基本法案(原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案)」の全文を起こしました。
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原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案

目 次
前 文
第一章 総則( 第1条 第7条)
第二章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の目標(第8条)
第三章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の基本方針( 第9条 第12条)
第四章 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画(第13条)
第五章 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部(第14条 第23)
第六章 雑則(第24条・第25条)
附 則


 我が国は、今次の大戦において、原子爆弾の投下により未曽有の惨禍を被ったが、昭和30年の原子力基本法の制定以来、原子力の平和的利用の名の下に原子力発電を推進してきた。原子力発電には、安全性の問題のみならず、使用済燃料及び放射性廃棄物の処分方法、労働者の被ばくの危険性等の問題がある。それにもかかわらず、発電に要する経費が安価である、二酸化炭素を排出しない、核燃料サイクルによりエネルギーを無限に得られる等の主張は、原子力発電に関する諸問題から国民の目をそらし、殊更に強調された原子力発電の安全性は、日本の原子力発電所で事故は発生しないとの安全神話を生み出した。

 しかし、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故は、原子力発電に依存する経済社会の構造に抜本的な改革を迫るものとなった。当該事故による原子力災害により多数の住民が避難を余儀なくされ、放射性物質による汚染に起因して住民の健康上の不安も生じている。今や安全神話は崩壊し、原子力発電は計り知れないほど重大な危険を伴うものであるとの認識が広がっている。

 こうした現実に直面した今日、我々には、これまでの国の原子力政策が誤りであったことを認め、これに協力して日本の経済社会を支えてきた地域の経済の発展を促進しつつ、全ての実用発電用原子炉等を速やかに停止し、及び計画的かつ効率的に廃止するとともに、電気の需要量の削減及び再生可能エネルギー電気の供給量の増加によりエネルギーの需給構造を転換し、持続可能な社会を実現する責務がある。

 原発廃止・エネルギー転換の実現は、未来への希望である。原発廃止・エネルギー転換を実現することにより、環境と調和のとれた新しい経済社会を創造するとともに、そのために創出される新 技術を通じて原子力発電所のない世界の実現に貢献することができる。さらに、原発廃止・エネルギー転換の実現による脱炭素化の促進は、地球規模の緊要な課題である気候変動の問題の解決に資するものとなる。

 ここに、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。

 第 1 章 総 則
(目 的)
第1条
 この法律は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関し、基本的な理念及び方針を定め、国等の責務を明らかにし、並びに原発廃止・エネルギー転換改革推進計画の策定等について定めるとともに、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部を設置することにより、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定 義)
第2条
 この法律において「原発廃止・エネルギー転換」とは、全ての実用発電用原子炉等が廃止されるとともに、電気の需要量の削減及び再生可能エネルギー電気の供給量の増加によりエネルギーの需給構造が転換されることをいう。

 この法律において「実用発電用原子炉等」とは、実用発電用原子炉(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第43条の4第一項に規定する実用発電用原子炉をいう。第4条第二項及び第9条第二項第二号において同じ。)及び高速増殖炉(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構法(平成16年法律第155号)第2条第五項に規定する高速増殖炉をいう。)をいう。

 この法律において「再生可能エネルギー電気」とは、再生可能エネルギー源(太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものをいう。以下同じ。)を変換して得られる電気をいう。

(基本理念)
第3条
 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。
一 電気の安定供給の確保を図りつつ、全ての実用発電用原子炉等の運転を速やかに停止し、及び全ての実用発電用原子炉等を計画的かつ効率的に廃止すること。
二 エネルギーの使用の合理化等により、電気の需要量を削減すること。
三 自然環境及び生活環境の保全に配慮しつつ、再生可能エネルギー電気の供給量を増加させること。

(国の責務)
第4条
 国は、前条の基本理念(次条において単に「基本理念」という。)にのっとり、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえ、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を推進する責務を有する。

2 国は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に当たって生じ得る実用発電用原子炉を設置している電気事業者(電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第一項第十七号に規定する電気事業者をいう。以下同じ。)等の損失に適切に対処する責務を有する。

3 国は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を推進するに当たっては、原子力発電所等の周辺の地域の経済に及ぼす影響に十分に配慮しなければならない。

(地方共団体及び電気事業者等の責務)
第5条
 地方公共団体及び電気事業者等は、基本理念にのっとり、国による原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進に協力する責務を有する。

(法制上の措置等)
第6条
 政府は、第3章に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上、財政上、税制上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。この場合において、第9条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置については、この法律の施行後2年以内を目途として講ずるものとする。

(年次報告)
第7条
 政府は、毎年、国会に、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関する施策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。


   第 2 章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の目標
第8条
 政府は、この法律の施行後五年以内に、全ての実用発電用原子炉等の運転が廃止されることを目標とするものとする。

2 政府は、一年間における電気の需要量について、平成42年までに平成22年の一年間における電気の需要量からその百分の三十に相当する量以上を減少させることを目標とするものとする。

3 政府は、一年間における電気の供給量に占める再生可能エネルギー電気の供給量の割合について、平成42年までに百分の四十以上とすることを目標とするものとする。

   第 3 章 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の基本方針
(全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止)
第9条
 政府は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえ、実用発電用原子炉等の廃止並びに使用済燃料及び放射性廃棄物の管理及び処分に関する国の関与の在り方その他の全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止のための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない。

2 政府は、全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止を推進するため、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 原子力災害対策(原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第6条の二第一項に規定する原子力災害対策をいう。)を重点的に実施すべき区域の住民の安全を確保するものとすること。
二 実用発電用原子炉を運転することができる期間の延長を認めないものとすること。
三 実用発電用原子炉等の設置の許可及び増設を伴う変更の許可を新たに与えないものとすること。
四 使用済燃料及び放射性廃棄物の管理及び処分は適正な方法によるものとし、使用済燃料の再処理は行わないものとすること。
五 実用発電用原子炉等を廃止し、又は使用済燃料の再処理の事業を廃止しようとする者に対し、必要な支援を行うものとすること。
六 電気のエネルギー源について、再生可能エネルギー源、可燃性天然ガス等の原子力以外のエネルギー源の利用への転換を図るものとすること。
七 新たな産業の創出、電気事業者の事業の継続等により、原子力発電所等の周辺の地域の経済の振興及び雇用の確保を図るものとすること。

(電気の需要量の削減)
第10条
 政府は、電気の需要量を削減するため、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 国等によるその設置する施設におけるエネルギーの使用の合理化を推進するものとすること。
二 事業者によるエネルギーの使用の合理化の円滑な実施を促進するものとすること。
三 建築物のエネルギー消費性能の更なる向上を図るものとすること。
四 熱についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源及び廃熱の利用を促進するものとすること。
五 国内の地域に存するエネルギー源から得られ、又は製造されたエネルギーのその地域における利用を促進するものとすること。

(再生可能エネルギー電気の供給量の増加)
第11条
 政府は、再生可能エネルギー電気の供給量を増加させるため、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 国等によるその設置する施設における再生可能エネルギー電気の利用を推進するものとすること。
二 電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用を促進するものとすること。
三 送電に係る事業と配電に係る事業の分離、電力系統の適正化等により再生可能エネルギー電気の供給を促進するものとすること。
四 地域の住民又は小規模の事業者の再生可能エネルギー電気の利用又は供給に係る自発的な協同組織の発達を図るものとすること。

(研究開発の推進等)
第12条
 政府は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を推進するため、実用発電用原子炉等の廃止及び再生可能エネルギー源の利用に関する研究開発その他の先端的な研究開発の推進並びにその成果の普及、研究者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。

   第 4 章 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画
第13条
 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部は、この法律の施行後一年を目途として、前章に定める基本方針に基づき、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進に関する計画(以下この条及び第十五条第一号において「原発廃止・エネルギー転換改革推進計画」という。)を定めなければならない。

2 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止に関する事項
二 電気の需要量の削減に関する事項
三 再生可能エネルギー電気の供給量の増加に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進のために講ずべき措置その他の必要な事項

3 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部は、原発廃止・エネルギー転換改革推進計画を定めたときは、これを内閣総理大臣に報告しなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による報告があったときは、原発廃止・エネルギー転換改革推進計画を国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、原発廃止・エネルギー転換改革推進計画の変更について準用する。

   第 5 章 原発廃止・エネルギー転換改革推進本部
(設置)
第14条
 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部(以下「本部」という。)を置く。

(所掌事務)
第15条
 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 原発廃止・エネルギー転換改革推進計画を策定し、及びその実施を推進すること。
二 前号に掲げるもののほか、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関する施策であって基本的かつ総合的なものの企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。

(組織)
第16条
 本部は、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部長、原発廃止・エネルギー転換改革推進副本部長及び原発廃止・エネルギー転換改革推進本部員をもって組織する。

(原発廃止・エネルギー転換改革推進本部長)
第17条
 本部の長は、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

(原発廃止・エネルギー転換改革推進副本部長)
第18条
 本部に、原発廃止・エネルギー転換改革推進副本部長(次項及び次条第二項において「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。

2 副本部長は、本部長の職務を助ける。

(原発廃止・エネルギー転換改革推進本部員)
第19条
 本部に、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。

(資料の提出その他の協力)
第20条
 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体及び独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第一項に規定する独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第一項第九号の規定の適用を受けるものをいう。)、認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人をいう。)及び電気事業者の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他の必要な協力を求めることができる。

2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

(事務局)
第21条
 本部に、その事務を処理させるため、事務局を置く。

2 事務局に、事務局長その他の職員を置く。

3 事務局長は、本部長の命を受け、局務を掌理する。

(主任の大臣)
第22条
 本部に係る事項については、内閣法(昭和22年法律第5号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

(政令への委任)
第23条
 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

   第 6 章 雑 則
(原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進を担う組織の在り方に関する検討)
第24条
 政府は、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革の推進を担う組織(本部を除く。)の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする。

(国民の理解を深める等のための措置)
第25条
 政府は、教育活動、広報活動等を通じて、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関し、国民の理解を深めるとともに、国民の協力を求めるよう努めなければならない。

 附則
 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四章及び第五章の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 理由
 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革に関し、基本的な理念及び方針を定め、国等の責務を明らかにし、並びに原発廃止・エネルギー転換改革推進計画の策定等について定めるとともに、原発廃止・エネルギー転換改革推進本部を設置することにより、原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革を総合的かつ計画的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

出前学習

 まちづくり研究所では、出前学習会と称して暮らしに役立つ情報や、これからの地域社会づくりについて等をテーマに、地域に出かけて行って学習会の講師を引き受けさせていただいています。何も整理したものがなかったのですが、下の画像のように、出前学習会メニューに整理してみました。ここに書かれていないことでも、ご相談いただければ対応させていただきますので、お気軽にお声掛けください。

 私の学習会のスタイルは、一方的に講義をするのではなくて、与えられたテーマについて一緒に深めていくということを大事にしています。わかりやすく、実用的な知識も得られ、まちづくりについて考えるヒントとなるような学習会を心がけていいます。町内会、サークル、ボランティアの集まりなど、色んな集まりの中に、学びの時間を取り入れてみませんか?

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 ただし、まちづくり研究所は、会員・賛助会員の年会費と地域の皆さんの寄付やカンパなどで運営していますので、学習会の際のカンパは大歓迎です。


岡山市の国民健康保険制度

 続いて、具体的に岡山市を例にとって国保料等について見ておく。

【保険料率決定の仕組み】
 国民健康保険料は、国民健康保険分、後期高齢者支援金分、介護保険分から成り立っており、それぞれの保険料率は、以下のように決定する。

(1)国民健康保険分
 「国民健康保険分」の保険料は、その年に予測される医療費から、国・県・市等からの歳入と、病院などで支払う一部負担金を除いた額を、応能割、応益割に按分し、これを加入者全体の所得、人数、世帯数で除して保険料率を決定する。
 ○ 応能割(=所得割50%)
 ○ 応益割(=世帯別15%、均等割35%)

(2)後期高齢者支援金分
 平成20年4月の後期高齢者医療制度創設に伴い、これまで「国民健康保険分」から負担していた老人保健制度への拠出金を、「後期高齢者支援金分」として明確にし、「国民健康保険分」と区分することになった。「後期高齢者支援金分」の保険料は、後期高齢者医療制度の現役世代からの支援金としてその年に国(社会保険診療報酬支払基金)に納付すべき額から、国・県からの歳入を除いた額を、応能割、応益割に按分し、これを加入者全体の所得、人数、世帯数で除して保険料率を決定する。
 ○ 応能割(=所得割50%)
 ○ 応益割(=世帯別15%、均等割35%)

(3)介護保険分
 40歳以上65歳未満の人は、「国民健康保険分」、「後期高齢者支援金分」の保険料とは別に「介護保険分」の保険料が別途必要となる。 「介護保険分」の保険料は、その年に国に納付すべき介護納付金から、国・県からの歳入を除いた額を、応能割、応益割に按分し、40歳以上65歳未満の加入者全体の所得、人数、世帯数で除して保険料率を決定する。
○ 応能割(=所得割50%)
 ○ 応益割(=世帯別15%、均等割35%)


【国保料の計算方法】
 岡山市の国民健康保険料は、被保険者の前年中の基礎控除後の総所得金額等(※1)と、人数、世帯を基礎に計算する。また、40歳以上65歳未満の人のいる世帯は介護保険分が上乗せされることになる。
 平成29年度保険料の計算は以下のとおり。

(1)国民健康保険分(0歳から74歳の人)
 ① 所得割額   (前年中の基礎控除後の総所得金額等)×0.0720
 ② 均等割額   被保険者1人あたり 26,400円
 ③ 平等割額   1世帯あたり 21,120円

(2)後期高齢者支援金分(0歳から74歳の人)
 ④ 所得割額   (前年中の基礎控除後の総所得金額等)×0.0260
 ⑤ 均等割額   被保険者1人あたり 8,880円
 ⑥ 平等割額   1世帯あたり 6,960円

(3)介護保険分(40歳から64歳の人)(※2)
 ⑦ 所得割額   (前年中の基礎控除後の総所得金額等)×0.0220
 ⑧ 均等割額   介護保険第2号被保険者1人あたり 9,360円
 ⑨ 平等割額   1世帯あたり 5,280円

 ○ 1年間の保険料=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦+⑧+⑨

 ただし、算出料額が賦課限度額を超える場合は賦課限度額となる。
《賦課限度額》
 国民健康保険分  540,000円
 後期高齢者支援金分190,000円
 介護保険分    160,000円

(※1)基礎控除後の総所得金額等
・・総所得金額+山林所得+特別控除後の分離課税所得-基礎控除(上限33万円)
(確定申告不要制度の対象となる株式等の譲渡所得等や配当所得等のある人は、確定申告をすることで所得税の還付や住民税の減額を受けられることがある。その場合、これらの所得が所得金額に加算されるため、保険料や医療費の自己負担割合、限度額が増えたり、所得制限のある制度が適用できなくなったりする場合があるので注意が必要。 なお、住民税で申告不要制度を選択した場合は所得金額に加算されない。住民税で申告不要制度を選択するには、所得税の申告書とは別に、住民税の申告書を各区市税事務所に住民税の決定通知書が届くまでに提出する必要がある。 )

(※2)65歳以上の方の介護保険料は、国民健康保険料とは別に納めることになる。

2018年5月12日土曜日

国民健康保険制度が変わった

 今年の4月から国民健康保険制度が変わった。早速、「どこが、どう変わったのか?」というご相談をいただいたので、少し整理しておくことにした。

 まず、今回の改正について国は、増大する医療費をあげている。下のグラフのように1985年16兆円、1995年27兆円、2005年33.1兆円、2015年42.3兆円と高齢化の進行とともに着実に医療費は増加している。そして団塊の世代全員が後期高齢者となる2025年には61兆円を超えると試算されている。
 また、二つ目には少子高齢化による現役世代の負担増をあげる。高齢者の有病率は当然のことだが高い。後期高齢者の給付費が、若人の約5倍、年86万円にのぼることを指摘しているが、それは、国民健康保険制度が会社勤めをしているいわゆる社会保険加入者以外を対象としているため、もともと国保の被保険者は高齢者が多いのだから当然のことなのだ。



出典:厚生労働省作成資料

 国は、国民健康保険制度が日本の国民皆保険の基盤となる仕組だが同時に構造的な課題を抱えていると指摘する。その課題が、「年齢構成が高く医療費水準が高い」、「所得水準が低く保険料の負担が重い」、「財政運営が不安定になるリスクの高い小規模保険者が多く、財政赤字の保険者も多く存在する」の三つだ。
◆年齢構成が高く医療費水準が高い
・ 65~74歳の割合:市町村国保(38.9%)、健保組合(3.0%)
・ 一人あたり医療費:市町村国保(35.0万円)、健保組合(14.9万円)
◆所得水準が低く保険料負担が重い
・ 加入者一人当たり平均所得:市町村国保(84.4万円)、健保組合(207万円(推計)
・ 無所得世帯割合:28.4%
・加入者一人当たり保険料/加入者一人当たり所得
  市町村国保(9.8%)、健保組合(5.7%) ※健保は本人負担分のみの推計値
◆財政運営が不安定になるリスクの高い小規模保険者が多く、財政赤字の保険者も多く存在する
・収納率:平成11年度 91.38% → 平成27年度 91.45%
・最高収納率:95.49%(島根県) ・最低収納率:87.44%(東京都)
・市町村による法定外繰入額:約3,900億円 うち決算補てん等の目的 :約3,000億円、繰上充用額:約960億円(平成27年度)
・1716保険者中3,000人未満の小規模保険者 471 (全体の1/4)
・ 一人あたり医療費の都道府県内格差 最大:2.6倍(北海道) 最小:1.1倍(富山県)
・ 一人あたり所得の都道府県内格差 最大:22.4倍(北海道) 最小:1.2倍(福井県)
・ 一人当たり保険料の都道府県内格差 最大:3.6倍(長野県)※ 最小:1.3倍(長崎県)
  ※東日本大震災による保険料(税)減免の影響が大きい福島県を除く。

そこで、これらの課題を解決していくために、三つの改革の方向性が提起された。①医療保険制度の安定化、②世代間・世代内の負担の公平化、③医療費の適正化、の三点について検討された結果、社会保障制度改革プログラム法における対応の方向性が次の通り確認された。
① 国保に対する財政支援の拡充
② 国保の運営について、財政支援の拡充等により、国保の財政上の構造的な問題を解決することとした上で、
・ 財政運営を始めとして都道府県が担うことを基本としつつ、
・ 保険料の賦課徴収、保健事業の実施等に関する市町村の役割が積極的に果たされるよう、都道府県と市町村との適切な役割分担について検討
③ 低所得者に対する保険料軽減措置の拡充

 そして、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が2015年5月に成立した。この改正の主旨は、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、持続可能な医療保険制度を構築するため、国保をはじめとする医療保険制度の財政基盤の安定化、負担の公平化、医療費適正化の推進、患者申出療養の創設等の措置を講ずる。」もの。具体的にその内容を見ていく。

1.国民健康保険の安定化
○国保への財政支援の拡充により、財政基盤を強化 (27年度から約1700億円、29年度以降は毎年約3400億円)
○平成30年度から、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化

2.後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入
○被用者保険者の後期高齢者支援金について、段階的に全面総報酬割を実施
(26年度:1/3総報酬割→27年度:1/2総報酬割→28年度:2/3総報酬割→29年度:全面総報酬割)

3.負担の公平化等
①入院時の食事代について、在宅療養との公平等の観点から、調理費が含まれるよう段階的に引上げ(27年度:1食260円→28年度:1食360円→30年度:1食460円。低所得者、難病・小児慢性特定疾病患者の負担は引き上げない)
②特定機能病院等は、医療機関の機能分担のため、必要に応じて患者に病状に応じた適切な医療機関を紹介する等の措置を講ずることとする(紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入)
③健康保険の保険料の算定の基礎となる標準報酬月額の上限額を引き上げ (121万円から139万円に)

4.その他
①協会けんぽの国庫補助率を「当分の間16.4%」と定めるとともに、法定準備金を超える準備金に係る国庫補助額の特例的な減額措置を講ずる
②被保険者の所得水準の高い国保組合の国庫補助について、所得水準に応じた補助率に見直し(被保険者の所得水準の低い組合に影響が生じないよう、調整補助金を増額)
③医療費適正化計画の見直し、予防・健康づくりの促進
・都道府県が地域医療構想と整合的な目標(医療費の水準、医療の効率的な提供の推進)を計画の中に設定
・保険者が行う保健事業に、予防・健康づくりに関する被保険者の自助努力への支援を追加
④患者申出療養を創設 (患者からの申出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組み) 

 この改正に基づき、2018年4月1日に「都道府県と市町村がともに国民健康保険の保険者
となり、それぞれの役割を担う」仕組みが動き始めた。

出典:厚生労働省作成資料


出典:厚生労働省作成資料

 厚生労働省は、今回の見直しで次のような効果が期待できるとしている。
◆効果1:都道府県内での保険料負担の公平な支え合い
【新しい財政運営の仕組み】
・都道府県内で保険料負担を公平に支え合うため、都道府県が市町村ごとの医療費水準や所得水準に応じた国保事業費納付金 ( 保険料負担 ) の額を決定し、保険給付に必要な費用を全額、保険給付費等交付金として市町村に対して支払います。これにより、市町村の財政は従来と比べて大きく安定する。
・都道府県は、市町村ごとの標準保険料率を提示 ( 標準的な住民負担の見える化 ) し、市町村間で比較できるようになる。
【保険料の賦課・徴収】
・市町村はこれまで個別に給付費を推計し、保険料負担額を決定してきたが、今後は都道
府県に納付金を納めるため、都道府県の示す標準保険料率等を参考に、それぞれの保険料算定方式や予定収納率に基づき、それぞれの保険料率を定め、保険料を賦課・徴収。
◆効果2:サービスの拡充と保険者機能の強化
・都道府県は、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保のため、市町村との協議に基づき、都道府県内の統一的な運営方針としての国民健康保険運営方針を定め、市町村が担う事務の効率化、標準化、広域化を推進する。
・広域化により、2018年度から、同一都道府県内で他の市町村に引っ越した場合でも、引っ越し前と同じ世帯であることが認められるときは、高額療養費の上限額支払い回数のカウントが通算され、経済的な負担が軽減される。
・今後、市町村は、より積極的に被保険者の予防・健康づくりを進めるために様々な働きかけを行い、地域づくり・まちづくりの担い手として、関係者と連携・協力した取組を進める。

 こう見てくると今回の改定は国民にとって良いことのように見える。国は制度改正の内容を国民に知らせる場合、個人レベルでどのような影響があるのかを明示しないので、その問題点に気づかないまま、制度の改正を許してしまうことが多いわけだが、国民健康保険の都道府県化は国民の生活に何をもたらすかをしっかり見ておく必要がある。

 国民健康保険の加入者の8割は年金生活者と非正規雇用の低所得者であるにもかかわらず、所得に占める保険料負担率は国保の方が4%以上高い。所得水準が低いにもかかわらず、相対的には高い保険料負担を強いられていることをまずおさえておかなければならない。一貫して国保料引き下げの運動が闘われているが、当然のことなのである。
 高齢者が多いことから有病率も高く、したがって国保からの給付費は被用者保険と比して高額にならざるを得ない。国保財政は国保料だけでは運営できず、国からの国庫補助と市町村の一般会計からの繰入金によって補っているわけだが、この繰入金を国は赤字と認定している。しかし、果たしてそうか?
 国保は憲法25条に基づき、国民の健康権を保障するためにつくられた制度であり、国が定率国庫負担として国保財政の40%を負担してきた。それが40%⇒36%⇒34%⇒32%と引き下げられてきた経過があり、当然のようにその分は市町村の負担が増えることにつながった。
 にもかかわらず国は、一般財源からの繰り入れを『赤字』だとして計画的に削減・廃止するよう求めている。そして、国保の財政運営の責任を都道府県に担わせるようにするのがこの4月から始まった国保の都道府県化である。
 都道府県は市町村に対し、市町村ごとに医療費水準などを反映した納付金の完納を義務付けるとともに、「標準保険料率」などを示すことになった。標準保険料率は参考にすぎないが、これより保険料率が低い市町村を法定外繰入金の削減・解消、つまり国保料の値上げへと誘導するものだ。
 国は、法定外繰入金の解消に向けて「保険者努力支援制度」を作った。これは、自治体間で繰入金の削減や国保料の徴収強化、医療費削減などを競わせる仕組みで、住民にとって、それは今でも高い国保の保険料が段階的に値上げされていくことを意味している。住民負担に配慮と言いながら、国保料の値上げを迫るという矛盾をはらんでいることを忘れてはならない。国が住民負担に配慮するというならば、削減してきた定率国庫補助をもとの40%に戻し必要に応じて更に引き上げることこそ、やるべきことではないだろうか。

2018年5月9日水曜日

相談ファイル5 EPAに基づく介護福祉士の受け入れ

 先日、介護事業を手広く展開している某社の関係者の方から、経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補生を受け入れたいのだが、どうしたら良いのかという問い合わせをいただいた。私は、制度については知っていたが、具体的な手続きについては理解していなかったので、この際調べておこうという気になった。

1.経済連携協定とは
 「経済連携協定」(EPA:Economic Partnership Agreement)は、WTO(世界貿易機関)と中心とした多国間の貿易自由化を補完するため、国や地域を限定して、関税等の貿易障壁を撤廃することにより、モノ・ヒト・カネ・サービスの移動を促進させようとするもの。一般的には、「自由貿易協定」(FTA:Free Trade Agreement) の呼称が使用されているが、日本においては、いわゆる自由貿易協定(物品やサービスの貿易障壁の削減・撤廃を目的とする)の要素に加え、投資、人の移動、知的財産保護、協力等の広範な分野を対象としていることから、協定の名称は「経済連携協定」(EPA)を用いている。
 テーマの介護福祉士候補者の受け入れについては、2008年にインドネシア、2009年にフィリピン、2014年にベトナムとの間でそれぞれ協定が結ばれている。

2.制度の概要
(1)目的
 候補者の受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化の観点から、EPAに基づき、公的な枠組で特例的に行うものである。

(2)受け入れ国と介護福祉士候補者の資格要件及び受け入れ実績
①インドネシア共和国
 「高等教育機関(3年以上)卒業+インドネシア政府による介護士認定」又は「インドネシアの看護学校(3年以上)卒業」
出典:厚生労働省



















②フィリピン共和国
 「4年制大学卒業+フィリピン政府による介護士認定」又は「フィリピンの看護学校(学士)(4年)卒業」
出典:厚生労働省



















③ベトナム社会主義共和国
 3年制又は4年制の看護課程修了
出典:厚生労働省










 2017年度の実績を見ると三国で約750人の介護福祉士候補者が日本に入国している。

(3)在留期間及び在留資格
・資格取得前は最大4年間で年1回更新。
 なお、フィリピン就学コースの場合には養成校卒業までに必要な期間まで更新が可能(資格取得後は在留資格の更新回数の制限なし。)。
 ・協定上定められた在留期間中に介護福祉士国家資格を取得できなかった者は帰国する。
 ・滞在中の在留資格は「特定活動」。

(4)受け入れ施設・施設の要件
 介護福祉士候補者の受入れにあたっては、以下のa~gの要件を満たしていなければならない。
a.受入れ機関・施設の要件
 介護福祉士候補者の受入れ施設は、下記「介護福祉士候補者受入れ機関の施設要件」に掲げる介護施設であり、次の①から⑥の要件を満たしていなければならない。また、この際、「介護福祉士候補者受入れ機関の施設要件」の 1~5 の施設については定員が 30 名以上(指定介護療養型医療施設は介護保険の指定を受けた病床数が 30 床以上)、6~9 の施設については、当該介護施設の本体施設の定員が 30 名以上、10~15 の施設については、1~9 の介護施設と同一の敷地内において一体的に運営されているものであることが必要。
①受入れ施設において介護福祉士養成施設の実習施設と同等の体制が整備されていること。
②受入れ施設において介護職員の員数が、法令に基づく職員等の配置の基準(以下「配置基準」という。)を満たすこと。(※1)
③受入れ施設において常勤介護職員の 4 割以上が介護福祉士の資格を有する職員であること。
④受入れ機関において、過去 3 年間に、経済連携協定等の枠組み等による看護師・介護福祉士候補者、EPA看護師又は EPA 介護福祉士の受入れについて、虚偽の求人申請、二重契約その他の不正の行為をしたことがないこと。また、過去 3 年間に、外国人の就労に係る不正行為を行ったことがないこと。
⑤受入れ機関において、過去 3 年間に、経済連携協定等の枠組みによる看護師・介護福祉士候補者、EPA 看護師又は EPA 介護福祉士の受入れについて、受入れ機関に義務付けられた報告を拒否し、又は不当に遅延したことがないこと。
⑥受入れ機関において、過去 3 年間に、経済連携協定等の枠組みによる看護師・介護福祉士候補者、EPA 看護師又は EPA 介護福祉士の受入れについて、巡回訪問の際に求められた必要な協力を拒んだことがないこと。

b.研修の要件
 介護施設における研修は、以下の①~④の条件を満たしていなければならない。
①研修内容は、介護福祉士国家試験の受験に配慮した適切なものとし、これを実施するための介護研修計画(※2)が作成されていること。
②介護研修計画の立案、研修の統括、さらには外部機関との連絡・調整等、研修を統括する研修責任者、並びに専門的な知識及び技能に関する学習の支援、日本語学習の支援、生活支援等を行う研修支援者が配置され、介護研修計画を実施するために必要な体制が整備されていること。(※3)
③研修責任者は、原則として、5 年以上介護業務に従事した経験があって介護福祉士の資格を有する者とすること。なお、研修責任者には、5 年以上介護業務に従事した経験がなくとも、介護福祉士実習指導者講習会を修了し、かつ、介護福祉士の資格を有する者を配置することもできる。
④日本語の継続的な学習、職場への適応促進及び日本の生活習慣習得の機会を設けること。

c.雇用契約の要件
 a の介護施設を設立している受入れ機関と介護福祉士候補者との雇用契約は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを内容としなければならない。(※4)

d.宿泊施設の確保等
 介護福祉士候補者用の宿泊施設を確保し(※5)、かつ、介護福祉士候補者の帰国費用の確保等帰国担保措置を講じていなければならない。

e.報告
 JICWELS を通じて、地方入国管理局や厚生労働省に対して、所要の定期報告と随時報告を行うこと。

f.巡回訪問への協力
 JICWELS による巡回訪問について必要な協力を行うこと。

g.JICWELS からの助言を踏まえた改善措置の実施
 eの報告の内容やfの巡回訪問の結果を踏まえた、JICWELS による助言に従って必要な改善を行うこと。
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【介護福祉士候補者受入れ機関の施設要件】
1:児童福祉法に規定する障害児入所施設
2:生活保護法に規定する救護施設又は更生施設
3:老人福祉法に規定する養護老人ホーム又は特別養護老人ホーム
4:介護保険法に規定する指定居宅サービスに該当する同法に規定する特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護を除く。)若しくは同法に規定する指定介護予防サービスに該当する同法に規定する介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)を行う施設(老人福祉法に規定する養護老人ホームを除く。)又は介護保険法に規定する介護老人保健施設、介護医療院(※6)、指定介護療養型医療施設5:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援施設又は福祉ホーム
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6:養護老人ホームの設備及び運営に関する基準に規定するサテライト型養護老人ホーム
7:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準に規定するサテライト型居住施設
8:介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準に規定するサテライト型小規模介護老人保健施設
9:指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準に規定するサテライト型特定施設又はサテライト型居住施設
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10:児童福祉法に規定する児童発達支援を行う施設又は障害児入所施設
11:生活保護法に規定する救護施設又は更生施設
12:老人福祉法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム又は特別養護老人ホーム
13:介護保険法に規定する指定居宅サービスに該当する同法に規定する通所介護、短期入所生活介護、通所リハビリテーション、短期入所療養介護若しくは特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型特定施設入居者生活介護を除く。)、同法に規定する指定介護予防サービスに該当する同法に規定する介護予防短期入所生活介護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所療養介護若しくは介護予防特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護を除く。)、同法に規定する基準該当
居宅サービスに該当する通所介護若しくは短期入所生活介護、同法に規定する基準該当介護予防サービスに該当する介護予防短期入所生活介護、同法に規定する指定地域密着型サービスに該当する同法に規定する地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護若しくは地域密着型特定施設入居者生活介護、同法に規定する指定地域密着型介護予防サービスに該当する同法に規定する介護予防認知症対応型通所介護若しくは介護予防認知症対応型共同生活介護若しくは同法に規定する第一号通所事業を行う施設(老人福祉法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設及び養護老人ホームを除く。)又は介護保険法に規定する介護老人保健施設若しくは指定介護療養型医療施設
14:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス事業のうち短期入所、生活介護、自立訓練、就労移行支援若しくは就労継続支援若しくは同法第七十七条第一項第九号の事業に相当する事業を行う施設又は同法に規定する障害者支援施設、地域活動支援センター若しくは福祉ホーム
15:その他 10~14 までに類する通所サービスを提供する施設
 ただし、1~5 の施設については定員が 30 名以上(指定介護療養型医療施設の場合は、介護保険の指定を受けた病床数が 30 床以上)であること、6~9 の施設については、当該介護施設の本体施設の定員が 30 名以上のものであること、10~15 の施設については、1~9 の介護施設と同一の敷地内において一体的に運営されているものに限る。

※1 (イ)受入れ施設において就労を開始した日から 6 か月を経過した介護福祉者候補者、又は(ロ)日本語能力試験においてN1 又はN2(2010 年 3 月 31 日までに実施された審査の場合は 1 級又は 2 級)に合格した介護福祉士候補者については、配置基準上、職員等として算定する取扱いとする。また、上記(イ)、(ロ)を満たす介護福祉士候補者は、夜勤の最低基準においても職員等として算定する取扱いが認められるが、受入れ施設において、介護福祉士候補者を夜勤に配置するにあたっては、「介護福祉士候補者以外の介護職員を配置すること」又は「緊急時のために介護福祉士候補者以外の介護職員等との連絡体制を整備すること、また、候補者の学習時間への影響を考慮し、適切な範囲で夜勤を実施するよう配慮すること」とされている。
※2 介護研修計画は、研修が効率的に行えるよう、介護施設の実情等に応じて、自己学習環境の整備、研修時間の確保、通信教育の利用、介護福祉士養成施設や福祉系大学での就学、地域の研修機会の活用等に配慮し策定するとともに、介護福祉士国家試験の受験に配慮した適切な研修内容とすること。
※3 「研修責任者」は介護研修計画の立案、研修の統括、さらには外部機関との連絡・調整等に当たる者を、また「研修支援者」は介護福祉士候補者に対する専門的な知識及び技能に関する学習の支援、日本語学習の支援、生活支援等に当たる者をいう。「研修支援者」は、上記の支援の分野ごとで複数名配置すること、あるいは支援の分野を兼ねて配置する必要がある。また、「研修責任者」がこれを兼ねることもできる。
※4 介護福祉士候補者が「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける」かどうかは、介護福祉士候補者を受け入れる介護施設において、当該介護福祉士候補者と同様の職務に従事する日本人介護職員と比較する。
※5 候補者の宿泊施設の確保の仕方としては、職員寮のほか、賃貸住宅を手配してもよい。また、家賃は、実費の範囲内で候補者に負担させることができますが、求人票(受入れ施設説明書)の敷金や礼金等の支払いも含めた本人の負担額記載欄に、その旨を記入すること。
※6 介護医療院は平成 30 年 4 月 1 日より施行される。

3.制度の運営
 公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)は、日本国内の医療法人、社会福祉法人等を対象に候補者のあっせん等の業務を行う日本の唯一の受入れ調整機関として、円滑かつ適正な受入れ業務や支援を厚生労働省等と連携しながら進めている。
(1)申請から受け入れまでの流れ
1)求人登録申請
 EPA 介護福祉士候補者の受入れを希望する機関は、JICWELS に求人登録申請を行う。
※2019 年度求人申請専用ウェブサイト(https://jicwels.net/fac/Account/Login/)からアカウントの取得が必要。
提出書類
 ①求人登録申請書【JICWELS 様式 1-1】
 ②求人票【JICWELS 様式 2-2】
 ③受入れ施設説明書【JICWELS 様式 3-2】
 ④介護研修計画書【JICWELS 様式 4-2】
 ⑤研修実施体制説明書【JICWELS 様式 5】
 ⑥研修責任者職歴証明書※【JICWELS 様式 6-2】
  又は介護福祉士実習指導者講習会の修了証の写し
  ※本書類は研修責任者の実務経験が 5 年以上であることを証明する書類とする
 ⑦研修責任者の介護福祉士資格証明の写し
 ⑧同等報酬を確認できる書類(就業規則(賃金規定)及び賃金台帳)
 ⑨最新の指定通知書 (同一敷地内において一体的に運営されている施設及びサテライト型施設の場合は本体施設も提出必要)
 ⑩(サテライト型施設の場合) 本体施設の概要、本体施設との間の移動経路、移動方法及び移動時間、従業者の 連携状況のわかる資料

2)受け入れ希望機関の要件確認
 JICWELS が求人登録申請を行った受入れ希望機関の要件確認を行う。

3)求人登録・職業紹介契約締結・受入れ支援契約の締結
 求人登録された受入れ希望機関は JICWELS と職業紹介契約及び受入れ支援契約を締結する。
提出書類
 ①職業紹介に関する契約書【JICWELS 様式 8】
 ②受入れ支援に関する契約書【JICWELS 様式 11】

4)求人情報の提供
 JICWELS が求人登録された受入れ希望機関の求人情報を送り出し調整機関に提供する。

5)就労希望者の募集・審査・選考
 送り出し調整機関が就労希望者の募集・審査・選考を行う。

6)JICWELS による現地面接・適性検査等 受入れ希望機関による現地合同説明会
 JICWELS が送り出し国において送り出し調整機関が選考した就労希望者の面接等を行う。 この際、希望する受入れ希望機関については、就労希望者に直接、仕事内容や労働条件の 説明を行う現地合同説明会に参加できる。

7)マッチング
 JICWELS は受入れ希望機関及び就労希望者の希望をとりまとめ、マッチングを実施。
提出書類:受入れ意向表

8)雇用契約の締結
 マッチングが成立した受入れ希望機関及び就労希望者は、同意の後、雇用契約を締結する。
提出書類:
 ①マッチング結果同意書
 ②雇用契約書【JICWELS 様式 10-2】

9)日本語研修・介護導入研修等
 日本語研修機関が訪日前および訪日後に候補者に対して日本語研修を実施する。 JICWELS が訪日後研修期間中に介護導入研修を実施する。

 こうした手続きを経て、受入れ施設における就労・研修がスタートする。ただし、注意が必要なのは求人登録する期間が限られているということ。ちなみに、2019年度の求人登録申請は2018年3月28日から5月10日までとなっており、約1年前に申し込まなければならない。これを書いているのが5月9日だから、今からでは今年は勿論のこと、来年度のEPAに基づく介護福祉士候補者の受け入れにも間に合わないということだ。

 その旨伝えさせていただき、この相談は修了となった。