2018年3月28日水曜日

揚げ物機器 Dr.Fry(ドクターフライ)

 まちづくり研究所はまちづくりに資するために立ち上げたが、主なフィールドは、介護を中心とした地域での暮らしの支え合い組織づくりと、食の問題なんですね。
 昔から衣食住というように、人の暮らしに不可欠なものの一つです。最近の日本の食料自給率は酷いもんで、2016年にはカロリーベースで38%となっています。先進国と比べると、アメリカ130%、フランス127%、ドイツ95%、イギリス63%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています。


 日本は世界最大の食糧輸入国であり、2008年財務省貿易統計によると、食糧輸入額は約5兆6000億円で世界全体の10%を占めています。そして、もう一つの大きな問題は、食糧品の廃棄率の高さです。世界から年間 5500万トンの食糧を輸入しておきながら、そのうち1800万トンも捨てています。食糧の廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回り、廃棄量は世界の食料援助総量470万トン(WFP)をはるかに上回り、3000万人分(途上国の5000万人分)の年間食料に匹敵すると言われています。
 日本の食料自給率の低さ、これは何とかしなければならない事態です。というようなことで、食の問題にも積極的にアプローチしていこうと考えているわけです。

 そんな中で、先日、揚げ物機器『Dr.Fry』をストロークホールディングスのテストキッチンに見に行く機会がありました。機器の構成は下の写真の様なものです。これをその下の写真のように業務用のフライヤーに取り付けるだけでOKです。
手前側が電源ユニットで、奥の金属に
張り付けてある黒いプレートが本体。

普通の業務用フライヤーの両側に黒いプレート状の
Dr.Fryを装着(磁石で貼り付ける)したら準備完了

 技術的には、『食用油/生理食塩水界面における電気毛細管現象』というもので、産業技術総合研究所と東海大学との共同研究の成果として発表され、三重大学生物資源学部の亀岡孝治教授が長期的な実証検査を継続しているようです。

 微弱電流を使った電波を流すと水滴の界面活性が60%減少し水滴が小さくなります。普通は、一定の量の水が過熱した油の中に入ると水蒸気爆発が起こり、大きく油と水が飛び散りますが、Dr.Fryをセットした場合、水滴が小さくなり大きな水蒸気爆発は発生しません。
 だから、豆腐を切ってそのまま投入してあげ豆腐を作るということが可能になります。
絹ごし豆腐を切ってそのままフライヤーに
投入していますが、水蒸気爆発は起こりません。
 豆腐のように水分が多いものを、しかも水から出してそのままフライヤーに投入しているのですが、全く、撥ねることはありませんでした。下の写真は、すべてこのDr.Fryで調理したものです。いずれも中に含まれる水の状態が変化し、瑞々しく調理されており、中でも、カツオのたたきは、冷凍のままDr.Fryに投入したのですが、取り出してからドリップが皆無です。藁で焼いたたたきよりもむしろこちらの方が美味いと思いました。

 なかなか優れた技術なんですね。感心しました。「岡山でぜひ普及してくれ!」と会長に頼まれ、どうやって売りだそうかと考えているところです。

※ Dr.Fryについての詳細は、こちらのホームページで確認してください。

茄子を乱切りにしてそのまま揚げて
タレを絡めただけの揚げナスです。

玉葱と人参のかき揚げ

茄子を洗ってそのままフライヤーに投入
数分で焼きナスが出来上がります!
(本当は、焼いてないですけど・・・)

カツオのたたき!これが絶品でした。

僅かに10秒で出来上がった回鍋肉

ニラとモヤシの塩炒めはさらに短く5秒で完成

2018年3月21日水曜日

相談ファイル2 新電力

 ご近所の、ご高齢の方から、電気の契約について相談を受けた。「中国電力は原発を止めないどころか、新しく作ろうとしているそうじゃない。山口の親せきから聞いたのよ。それでね、電話会社とか、何だかいろんなところが電気売ってるじゃない。良く分からないんだけど、どこが良いのよ?」とのことだった。

資源エネルギー庁のホームページより

 まずは電力供給の仕組みについて、資源エネルギー庁のホームページを見ながら説明した。
 電力は、上図の通り、発電所 → 送電線 → 変電所 → 配電線 の経路をたどり、各ご家庭まで供給されている。また、電力の供給システムは、(1)発電部門 、(2)送配電部門 、(3)小売部門 の大まかに3つの部門に分類される。

(1)発電部門
 水力、火力、原子力、太陽光、風力、地熱等の発電所を運営し、電気を作る部門。

(2)送配電部門
 発電所から消費者(各ご家庭を含む)までつながる送電線・配電線などの送配電ネットワークを管理する。物理的に電気を家庭に届けるのは、この部門の役割。また、ネットワーク全体で電力のバランス(周波数等)を調整し、停電を防ぎ、電気の安定供給を守る要となるのも、この部門。

(3)小売部門
 消費者(各ご家庭を含む)と直接やりとりをし、料金メニューの設定や、契約手続などのサービスを行う。また、消費者が必要とするだけの電力を発電部門から調達するのも、この部門の役割。

 私からは、「電力小売全面自由化により、小売部門 において、新たに事業者が自由に参入できるようになったんですよ。」とご説明した。2016年4月1日から、電気の小売業への参入が全面自由化され、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになった。これにより、ライフスタイルや価値観に合わせ、電気の売り手やサービスを自由に選べるようになったというわけだ。

 発電部門はすでに1995年から原則参入自由となっているが、送配電部門は、安定供給を担う要のため、電力小売全面自由化後も引き続き、政府が許可した企業(各地域の電力会社(東京電力、関西電力等))が担当している。
 そのため、どの小売事業者から電気を買っても、これまでと同じ送配電ネットワークを使って電気は届けられるため、電気の品質や信頼性(停電の可能性など)は変わらない。
 なお、電気の特性上、電気の需要(消費)と供給(発電)は、送配電ネットワーク全体で一致させないと、ネットワーク全体の電力供給が不安定になってしまう。 そのため、もし小売部門の事業者が、契約している消費者が必要とするだけの電力を調達できなかった場合には、送配電部門の事業者がそれを補い、消費者にきちんと電力が届くように調整することになっている。

【電力の小売り全面自由化で何が変わる?】
 「電力の小売全面自由化」により、様々な事業者が電気の小売市場に参入してくることで、新規参入の会社を含めた電力会社の選択が可能になる。電気の小売事業への参入者が増えることで競争が活性化し、様々な料金メニュー・サービスが登場することが期待される。
 例えば、電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引や、ポイントサービス、さらには家庭の省エネ診断サービスなどが登場している。また、再生可能エネルギーを中心に電気を供給する事業者から電気を買うことも可能となる。さらに、現在お住まいのエリア外で発電された電気の購入も可能で、例えば、都会に住んでいても、ふるさとで発電した電気を選べる可能性が生まれている。 また、近くの自治体が運営する事業者から電気を買うなど、電気の地産地消も可能となる。

 ただし、電気の小売りをやっている事業者が必ずしも全て発電しているわけではなく、電気卸(一般社団法人 日本卸電力取引所:JEPX)から仕入れて小売りだけするという事業者も多いので、原子力発電所で発電された電機は買いたくないということであれば、発電所を持っている電力小売事業者を選ぶことが必要だ。しかし、それぞれの発電所が同じ送電線を使って電力を供給しているので、実際に家に届く電力が原発で発電されたものになるわけではない。

 こんな説明をさせていただいて、「要するにどこが良いのよ!」というので、一つの回答として、イーレックスを紹介した。イーレックスがどんな会社かは、下にURLを書いておいたので詳しくはホームページで確認していただくということで、一言だけ、この会社の発電は、バイオマス発電(火力発電)がメインで、その他再生可能エネルギーの開発も行っているので、最初の原発で発電した電力を使いたくないという要望に答えることができる。ちなみに、電気料金も中国電力よりは安価で、私も、中国電力からイーレックスに切り替えたのだけれど、我が家の電気料は中電の1か月分近い額が節約できた。

イーレックス URL https://www.erex.co.jp/

2018年3月20日火曜日

相談ファイル1 外国人の日本での起業

 先日、在留資格を有する中国人の方の会社設立に伴う銀行口座開設の相談を受けました。外国人の方の日本での会社設立について、法的な扱いがどうなっているのかを調べるところから始めました。

 2015年3月16日付で「法務省民商第29号通知」が発出されました。これは、「内国株式会社の代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記の申請の取扱いについて」本日をもって変更しますよという通知でした。本文には、「代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立登記の申請及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記の申請については、昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答により、受理すべきでないとしているところですが、本日以降、これらの申請を受理して差し支えありませんので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。」と書かれています。
 要するに、内国会社の代表取締役のうち、最低1人は日本に住所を有していなければならないとされていた従前の規定が廃止され、代表取締役の全員が海外に居住していても、日本において会社の設立登記を申請することができるようになったということです。

 株式会社の設立登記において、出資の履行としての払い込みがあった証明を書面で提出しなければならないことになっていますが、「払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面(設立時代表取締役又は設立時代表執行役が作成)」、「払込取扱機関における口座の預金通帳の写し又は取引明細表その他払込取扱機関が作成した書面」の二つが必要となります。そして預金口座の名義人と認められるのは、発起人または設立時の取締役とされ、設立時の取締役を口座名義人とする場合は、「発起人が設立時取締役に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面(委任状)」を併せて添付する必要があります。
 発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合の特例があり、発起人及び設立時取締役以外の者(自然人に限られず、法人も含みます。以下「第三者」といいます。)であっても、預金通帳の口座名義人として認められます(平成29年3月17日民商第41号通達)。この際に,払込みがあったことを証する書面として,第三者が口座名義人である預金通帳の写しを添付する場合には,「発起人が第三者に対して払込金の受領権限を委任したことを明らかにする書面(委任状)」を併せて添付する必要があります。

 払込取扱機関、要するに口座を開設する銀行は、内国銀行の日本国内本支店だけでなく、外国銀行の日本国内支店(内閣総理大臣の認可を受けて設置された銀行)も含まれます。また、内国銀行の海外支店も「払込取扱機関」に含まれます(平成28年12月20日民商第179号通達 )。このような支店かどうかは、銀行の登記事項証明書等により確認可能です。

 商業・法人登記の申請書に添付する外国人の署名証明書(署名が本人のものであることについて本国官憲が作成した証明書。日本人の場合の印鑑証明ですね。)については、当該外国人が居住する国等に所在する当該外国人の本国官憲が作成したものでも差し支えないこととされました(平成28年6月28日民商第100号通達。平成29年2月10日民商第15号通達により一部改正。)。また、本国官憲の署名証明書を取得できないやむを得ない事情がある場合には、居住国官憲が作成した署名証明書、居住国の公証人が作成した署名証明書、日本の公証人が作成した署名証明書でも許容される場合があるとされています。

  会社法の規定に基づく外国会社としての登記をしていない外国会社や、印鑑を押印することのできない外国人が、登記の申請書、定款、添付書面の原本還付を求める場合の添付書面の写し等に契印する場合には、契印の代わりに以下のいずれかの方法で署名をすることができます。
 1 各ページごとのつづり目に署名(いわゆる割サイン)をする
 2 各ページの余白部分に署名をする
 3 各ページの余白部分にイニシャルを自書する
 4 袋とじの部分(表紙と裏表紙の両方)に署名をする

 商業登記の申請書に、外国語で作成された書面を添付する場合には、原則としてその全てについて日本語の訳文も併せて添付する必要があります。

 こんなことを頭に入れておいて、相談にのぞみましたが、一番手間取ったのは銀行口座の開設でした。ご本人が、都市銀行を希望しておりましたので、某都銀と話をしましたが、口座を開設するにあたって日本企業と取引を開始する契約書を求められました。しかし、これは法人を開設し、設立登記して、そして契約となる話で、先に契約書を求められても難しい話でした。
 友人の元銀行マンに話を聞くと、都銀だと自分のところの口座がマネーロンダリングに使われると金融庁に叱られるので、それを避けるために商いの実績がある会社かどうかを確認するのだということがわかりました。要するに、新しく法人を立ち上るのに都銀は使いにくい(使えない)ということですね。そこで、地銀にターゲットを絞って、私の友人の出身銀行に口座開設をしてもらうことにしました。在留カード、納税証明書、パスポート(身分証明書)、銀行印等を用意して、事前に元銀行マンを経由で状況を説明してもらっておいて、窓口の担当者を訪ね無事に口座開設をしてもらうことができました。

 今回の相談に対応することで、日本で会社を設立するのに、代表取締役に日本人が入っていなくてもよいということを初めて知りました。また、都銀と地銀でマネーロンダリング等への対応で口座開設のハードルの高さが違うことも経験しました。地銀の対応が比較的弾力的な対応が可能なので、まずは地銀で口座開設し、取引実績を積んでおいて、ご本人の母国にも支店のある都銀に口座を開くという方法がよさそうです。

 いや~、いい勉強させてもらいました。

2018年3月16日金曜日

浅田訴訟全面勝訴

 3月14日、浅田訴訟の判決を聴きに行ってきました。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第7条の介護保険優先原則によって、65歳になった浅田さんが64歳まで受けることができた介護サービスが受けられなくなったことに対して、年齢による差別だとして提訴に踏み切ったものです。
 浅田さんの請求は次の3点でした。
1.岡山市長の「介護給付費等不支給決定」を取り消す
2.岡山市長は、月249時間の障害者総合支援法の介護給付費を支給せよ
3.岡山市は、損害場賞金209万4,037円を支払え

 65歳で裁判が始まりましたが、浅田さんもすでに70歳。裁判を始めてから、5年もの長い時間が経ってしまいました。
 判決は、浅田さんの主張がほぼ全面的に認められた勝訴となりましたが、岡山市が控訴するだろうと言われており、まだ、裁判は続きます。しかしこの判決の意義は非常に大きいものがあります。ここで、その意義をまとめておきたいと思っています。

 65歳からの介護保険優先原則は、障害者総合支援法第7条に「自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による介護給付、健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付又は事業であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受け、又は利用することができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付又は事業以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。」と規定されていることに由来します。
 わかりにくい文章ですが、介護保険との関連に焦点を当てて書き直すと、「自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法の規定による介護給付のうち自立支援給付に相当するものを受けるときは、政令で定める限度において、行わない。」となります。もっとシンプルに書くと、「介護保険による介護給付の限度において、自立支援給付を行わない。」ということです。

 この第7条の適用関係については、厚労省の通知が出されており(「障害者総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について(平成19年通知)」)、それを読むと、優先される介護保険サービスは、「自立支援給付に優先する介護保険法の規定による保険給付は、介護給付、予防給付及び市町村特別給付」とされており、「サービス内容や機能から、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、基本的には、この介護保険サービスに係る保険給付を優先して受けること」になるが、「障害者が同様のサービスを希望する場合でも、その心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することは困難」なので、「市町村において、申請に係る障害福祉サービスの利用に関する具体的な内容(利用意向)を聴き取りにより把握した上で、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能か否かを適切に判断」することを求めています。
 要するに浅田さんの事例にように、障がい者本人の心身の状況やサービスを必要とする理由が多様なので、一律に介護保険サービスを優先させることによって必要な支援が受けられるかどうかを判断することは困難なので、利用者の意向を聞き取りにより把握して、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受け取ることが可能か否かを適切に判断しなさいと言っているわけです。岡山市は、これをしなかった、というわけです。
 さらに「サービス内容や機能から、介護保険サービスには相当するものがない障害福
祉サービス固有のものと認められるもの(同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)については、当該障害福祉サービスに係る介護給付費等を支給する。」としていますが、まさに浅田さんが削られた移動介護は、介護保険サービスにはないものだったわけで、岡山市が不支給とする根拠がないものです。

 具体的な運用についても、「申請に係る障害福祉サービスに相当する介護保険サービスにより必要な支援を受けることが可能と判断される場合には、基本的には介護給付費等を支給することはできないが、以下のとおり、当該サービスの利用について介護保険法の規定による保険給付が受けられない場合には、その限りにおいて、介護給付費等を支給することが可能である。」と運用ルールを定めています。
ア 在宅の障害者で、申請に係る障害福祉サービスについて当該市町村において適当と認める支給量が、当該障害福祉サービスに相当する介護保険サービスに係る保険給付の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができないものと認められる場合。
イ 利用可能な介護保険サービスに係る事業所又は施設が身近にない、あっても利用定員に空きがないなど、当該障害者が実際に申請に係る障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用することが困難と市町村が認める場合(当該事情が解消するまでの間に限る。)
ウ  介護保険サービスによる支援が可能な障害者が、介護保険法に基づく要介護認定等を受けた結果、非該当と判定された場合など、当該介護保険サービスを利用できない場合であって、なお申請に係る障害福祉サービスによる支援が必要と市町村が認める場合(介護給付費に係るサービスについては、必要な障害程度区分が認定された場合に限る。)

 浅田さんの主張は、まさに正当な要求ですが、何故、岡山市はあえて不支給決定を出したのでしょう。

 岡山市の担当者が厚労省通知を知らなかったはずはありません。知っていてなお介護保険制度を使わない浅田さんを見せしめにしたのだと私は考えています。そこに、障害福祉サービスよりも介護保険サービスのほうが安上がりだという計算が働いていることはもちろんです。障がいを持ち弱い立場にある浅田さんを見くびっていたのかもしれません。

 しかし、判決当日に配布された資料を見ると、多くの支援団体・支援者に支えられて浅田さんは裁判等に踏み切ったわけです。そして4年余りの審理を経て、岡山地方裁判所の横溝邦彦裁判長は、「浅田さんの生活実態を見れば、介助なしでは日常生活が送れないことは明らかで、介護保険の適用に伴って月額1万5千円を自己負担するのが難しい状況にあり、原告が自立支援法の給付継続を希望したことには理由があった。市は自立支援法の給付決定をした上で、納得を得ながら介護保険に関係する申請を勧めるべきだった。」とし、市の決定を「支援法の解釈・適用を誤った違法なもの」と断罪しました。

 今回の裁判で浅田さんの生活実態にふみこんで、自立支援法の給付決定をしたうえで、納得をえながら介護保険に関係する申請を進めるべきだったと、市の対応について「こうすべき」という義務付けにまで踏み込んだ判断をしていること、そして、障害福祉サービスを切ったら生活が成り立たないと知りながら不支給とするのは法律判断間違っているとの判断を示したこと、この2点が、浅田訴訟判決の大きな成果でした。

 浅田訴訟判決は、同じような困難を抱えている全国の65歳になる障がい者に希望と勇気を与える判決となることは間違いないでしょう。

2018年3月13日火曜日

重税反対全国統一行動

 昨日、『3・13重税反対全国統一行動岡山集会』に参加してきました。岡山県民主商工会、地域人権みんなの会、新日本婦人の会、岡山県労働組合会議、岡山医療生協労働組合、林精神医学研究所労働組合等地域の自営業者や重税反対で運動している諸団体が岡山市民ホールで集会の後、東・西税務署にデモ行進しました。
 私は、確定申告書は先に郵送で提出してしまいましたが、デモ行進参加の自営業者さんは、デモ行進の後一斉に確定申告書を提出しました。
 集会では、消費税増税中止、不当な税務行政の是正、納税者の権利擁護等の実現と、すべての国民の生活と営業を守る運動の前進を誓い合って、下の集会決議を採択しました。

2018年3月12日 岡山市民文化ホール
集会が終わって、岡山東税務署に向かってデモ行進



集会決議『消費税増税中止、改憲阻止、戦争法とマイナンバー制度の廃止、民主的な税制と税務行政の実現へ全国民が声を上げ、共同を広げよう』

 集会参加の皆さん
 3・13重税反対全国統一行動は、重い税負担と過酷な徴収に反対し、納めるべき税額は自分で計算し、申告するという申告納税制度の養護・発展をめざす一大行動です。1970年から開催し、税制・税務行政の民主化や納税者の権利擁護を求めて各省庁・自治体交渉や集会・デモなどを実施してきました。
 安倍政権が狙う憲法9条に自衛隊の存在が明記されれば、平和の象徴である憲法9条が死文化し、「戦争できる国」づくりがさらに進むことになります。第2次安倍政権以降、軍事費は5年連続で増え続け、米国言いなりに武器の購入を約束するなど、際限のない軍備拡大が進められています。
 それに対して「安倍9条改憲No!全国市民アクション」実行委員会は、5月までに全国で3,000万署名を集めて9条改憲をストップさせようと訴えています。正念場はこれからです。この署名のうねりが全国に広がっていけば必ず9条改憲を止めることができます。あらゆる地域・分野で一人ひとりに声をかけて対話の輪を広げていきましょう。
 倉敷民商の禰屋裁判では、先日、広島高裁岡山支部で第一審の岡山地裁判決を破棄して、再度地裁に差し戻す判決がありました。この間、裁判闘争を闘ってきた禰屋さんと弁護団、そして全国の支援する仲間の奮闘が実ったものであります。判決を受けて広島高検は最高裁へ上告しないことを表明しました。闘いはまだまだ続きますが、引き続き「公平で公正な裁判」を要求する署名と無罪判決を求める運動を強めていきます。
 大企業を優遇する税制が続けられる一方で、国民には社会保障の改悪と生活費にまで税金が課せられています。憲法が要請している生活費非課税の原則に立ち、基礎控除は最低生活を保障する水準へ引き上げるべきです。給与所得控除など諸控除の改定が狙われていますが、所得税の最高税率を引き上げ、総合累進課税を強化するなど、応能負担原則を税制に貫くことこそ優先すべきです。
 2919年10月には、消費税率10%への引き上げや軽減税率とインボイス(適格請求書)制度の導入が狙われています。軽減税率とは名ばかりで、一部の品目を8%に据え置くだけで、国民の税負担が軽くなるわけではありません。インボイス制度が実施されれば、約500万の免税業者の多くが商取引から排除されます。
 税務行政では、適正手続きを無視した強権的な税務調査が相次ぎ、国税だけでなく、地方税や社会保険料なども強引な徴収が横行しています。社会保障費を抑制し、課税と徴収を強化するためのマイナンバー(共通番号)はプライバシーを侵害する憲法違反の制度であり、運用を中止し、廃止すべきです。「共通番号がなくても申告書を受け取る」という国税庁の公式回答に反する対応は許されません。

 集会さんの皆さん
 いま、民意も国会のルールも無視し、「森友学園・加計学園疑惑」の解明に背を向けながら、平和憲法を壊そうとする安倍自公政権の退陣を求める市民と野党の共闘が広がっています。格差と貧困が広がる中で、タックス・ヘイブンを利用した経済逃れや大企業・富裕層を優遇するすべての税制に批判の声が上がっています。大企業がため込んだ400兆円を超える内部留保を社会に還元させ、すべての労働者の賃金を大幅に引き上げ、消費税率を5%に戻すことこそ、国民の懐を温め、景気を回復する最良の道です。
 憲法が要請する「生活費非課税」や「応能負担」を税制に貫き、「所得再配分」機能の回復・強化など、あるべき税制の確立が急務です。不公平な税制を正し、税金の集め方、使い方を正せば、消費税に頼らなくても社会保障を拡充する財源を確保することができます。
 第49回3・13重税反対全国統一行動は、消費税増税中止、改憲阻止、戦争法とマイナンバー廃止、不当な税務行政の是正、納税者の権利の擁護・発展をめざす2018年春の一大結節点として開催しています。今後、一致する要求で共同を大きく広げ、確定申告を行い、納税緩和制度の申請も集団で行うなど、生活と営業を守る運動の前進に力をあわせましょう。