2018年4月28日土曜日

相談ファイル4 特養に入れたい

 ご近所のYさんから、98歳の母を特養に入れたいのだけれど・・という相談があった。Yさんのお母さんKさんは、半年前に左足が痛くて歩けなくなり入院し、現在も入院中なのだが、足の痛みがほぼなくなって、リハビリの成果もあり、今は部屋の中を歩けるまでに回復している。退院の話が出ているが、家で面倒見る自身が無いので、できれば特養に入れたいということだった。

【特別養護老人ホームの入所基準】
 特養(特別養護老人ホーム)の入所基準は意外に厳しくて、2015年の介護保険法改定前は介護認定されれば入所できたが、2015年以降は「居宅での生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図る」との理由から、要介護3以上に限定されることになった。しかし、要介護高齢者の状態は個別性が強く、一律に要介護3で線引きすることはできないという意見も根強くあって、やむを得ない事情により指定介護老人福祉施設以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与の
下、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に指定介護老人福祉施設への入所を認めるという「特例入所」というルールが作られている。

 特例入所を認めるかどうかは各施設の判断によるとされているため、各市町村やそれぞれの施設によって判断基準に大きな差が出ないよう、入所を判断する勘案事項を明確にしておく必要があり、厚労省がその内容を明示している。

【特例入所の判断に当たっての具体的要件】
◇考え方
○ 特例入所の判断主体は、現行の入所判定の取扱同様、各施設であること等を踏まえ、入所判定の公正性を確保するため、各市町村や各施設で判断基準に大きな差異が出ないよう、厚生労働省において特例入所の判断に当たっての要件に係る勘案事項を明確に示すこととする。
◇要件
○ 認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
○ 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態であるか否か。
○ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態であるか否か。

 この厚労省の通達に基づき、岡山県も次の通り岡山県介護老人福祉施設等入所指針を2015年4月1日付で次のように変更している。
◇入所の対象者◇
① 要介護3から5までの認定を受けている者であって常時介護を必要とし、居宅において介護を受けることが困難なもの
② 要介護1又は2の認定を受けている者であって、やむを得ない事由により居宅において日常生活を営むことが困難であるとして特例入所が必要な次の要件に該当するもの
ア 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られるもの
イ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られるもの
ウ 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であるもの
エ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービス又は生活支援の供給が不十分であるもの

◇特例入所に係る申込等◇
① 特例入所に係る申込者は、特例入所が必要である状況等を申込書に記載する。
② 施設は、その状況を申込者に確認するとともに、市町村へ報告し、必要に応じ、当該市町村に対し、特例入所の対象者に該当するかどうかの判断に当たっての意見を求めることができる。
③ 市町村は、施設から意見を求められた場合又は必要と認める場合、地域の居宅サービス、生活支援等の提供体制に係る状況及び担当の介護支援専門員からの居宅等における生活の困難度について聴取した結果等も踏まえ、施設に対して意見を表明する。
④ 施設は、入所検討委員会を開催し、特例入所の対象となる者について要件該当の有無の検討を行った上で、要介護3以上の者と合わせて、要介護度、介護者の状況、介護サービスの利用状況等を勘案し、入所順位の決定を行う。
 なお、平成27年3月31日以前に入所順位を決定した要介護1又は2の者については、入所を決定する際に、入所検討委員会で要件該当の有無を確認する。

 一般的に、特養への入所は要介護3以上と認識されており、この特例入所についてはあまり知られていない。しかし、「やむを得ない事由により居宅において日常生活を営むことが困難であるとして特例入所が必要な次の要件に該当するもの」については、法人・事業所の入所検討委員会で、要件該当の有無を確認して入所を認めてよいことになっている。

 つまり、認知症や知的障害・精神障害で在宅生活が困難であったり、家族等による深刻な虐待で心身の安全・安心の確保が困難であったり、単身高齢者や高齢者世帯で家族等の支援が受けられない等に該当すれば、特養の入所を申し込むことができ、施設は、入所検討委員会で要介護度、介護者の状況、介護サービスの利用状況等を勘案し、入所順位の決定を行うことになる。

【Kさんの特養入所】
 特養入所に係るルールを説明し、入所の可能性について一緒に検討させていただいた。まず、要介護度は入院前に要介護3と認定されていたが、入院して症状が改善しており、室内では自立歩行ができるまでに回復したため、要介護度の更新で要介護2又は1になりそうだというのが関係者の一致した認識だった。

 そこで、特例入所の条件があるかを検討した。

 まず、98歳のKさんは岡山市内で独り暮らしをしている。Kさんはご主人と長男夫婦と暮らしていたが、長男夫婦は離婚して長男の妻は家を出てしまっており、その後、長男は病で死亡。ご主人もすでに他界していた。
 二人兄弟の次男Yさんは実家を出て、結婚後家を購入し、自宅の一部を店舗として夫婦で床屋をやっている。小さな家でKさんの部屋を用意できないこと、仮に同居しても床屋の仕事をしておりKさんの支援に割ける時間は多くないこと、Kさんは自分で歩き身の回りのことができるように見えるが、認知症が少しずつ進んできており、誰かの見守りが必要な状態であることなどを確認し、特例入所に該当するのではないかという感触を得た。
 そこでケアマネにつないで、特養への入所という方向で進めるという意思統一をして、私の任務終了ということにさせていただいた。

 先日、その後の様子をお伺いしたら、入院している病院の関連する社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームに入所申し込みを行い、入所判定会議で受け付けてもらうことができて、入所の順番待ちだとのこと。ゴールデンウィーク明けには入所できる見通しだということで、良かったなぁと喜び合いました。

2018年4月20日金曜日

相談ファイル3 年金受給者の確定申告

 年金を受給しているMさんから、「収入が年金だけだから、去年は確定申告をしなかったのだけれど、昔の同僚は、確定申告をしていると言う。私も、確定申告をした方が良いのか?」という相談を受けた。
 年金受給者には、確定申告不要制度が用意されているが、年金受給額によって対象となるかどうかがわかれることになるので、具体的な数字がうろ覚えだったため、調べてからお返事させていただくことにして、いったん持ち帰らせてもらった。

 さてそこで、年金受給者の確定申告不要制度がどのようなものか、ここで整理しておこうと思う。

1.確定申告
 所得税及び復興特別所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得(※)とそれに対する所得税及び復興特別所得税の金額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収(給与や年金などの支払者が、あらかじめ所得税及び復興特別所得税を差し引いて国に納付する制度)された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続である。

2.年金は雑所得
 公的年金等については、「雑所得」として課税の対象となっており、一定金額以上を受給するときには、所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されているので、確定申告を行って税金の過不足を精算する必要がある(ただし、障害年金や遺族年金は非課税です。)。
 ただし、年金受給者の皆さんの確定申告手続に伴う負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられており、これによって多くの方が確定申告を行う必要がなくなっている。
※所得の金額とは総収入金額から必要経費などを差し引いた金額です。

3.確定申告不要制度
 年金受給者の皆さんの申告手続の負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられている。この制度は、公的年金等による収入が400万円以下で一定の要件を満たす場合には、所得税及び復興特別所得税の確定申告を行う必要がないというもの。

 確定申告不要制度の対象者は下記の(1)、(2)のいずれにも該当する方
(1)公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
(2)公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
出典:政府公報オンライン

 したがって、源泉徴収の対象となる公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であっても、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超える場合には、確定申告を行う必要がある。また、外国において支払われる公的年金等は、源泉徴収の対象とならないため、この支給を受けている方は、確定申告を行う必要がある。

※1 公的年金等とは
 国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など

※2 公的年金等に係る雑所得以外の所得とは
 生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など

4.確定申告不要制度の対象者でも確定申告が必要な場合
(1)所得税の還付を受ける方
 公的年金等から所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されている方で、以下にあてはまる場合などは、所得税の還付が受けられる可能性がある。このような場合に、還付を受けるためには、確定申告書を提出しなければならない。
・マイホームを住宅ローンなどで取得した場合
・一定額以上の医療費を支払った場合
・災害や盗難にあった場合

(2)住民税の申告が必要な場合
 所得税及び復興特別所得税の確定申告が不要な場合であっても、以下に該当する方は住民税の申告が必要な場合がある。
・公的年金などに係る雑所得のみがある方で、「公的年金などの源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等)以外の各種控除(※3)の適用を受ける場合
・公的年金などに係る雑所得以外の所得がある場合(※2参照)

※3 生命保険料控除や損害保険料控除、医療費控除など

 なお、所得税及び復興特別所得税の確定申告をした方は、税務署から地方公共団体に確定申告書等がデータで送信されるので、改めて住民税の申告書を提出する必要はない。

◆Mさんの場合
 Mさんの年金はいわゆる厚生年金で、年額204万円程。これだけ見ると確定申告不要制度に該当しそうですが、Mさん家の水回り等のちょっと大きな規模の改修(約500万円)を定年直前にやっており、そのときのローンが残っていたんですね。そこで、確定申告すれば所得税の還付が受けられそうだということで、確定申告をした方が良いですよとお返事させていただきました。

 Mさんの場合、省エネリフォーム、ローン型減税が該当しました。台所の電化、お風呂・トイレの交換とバリアフリー化、床・壁・天井の断熱構造化、窓の二重サッシ化などを行っており、このうち床等の断熱構造化と窓の二重サッシへの変更が省エネリフォームの対象でローン残高の2%の控除率の適用を受けることができました。

 無事に、3月15日までに確定申告書を提出、所得税の還付が受けられたようですよ。

2018年4月14日土曜日

介護福祉士資格取得

 私は、1月28日に実施された第30回介護福祉士国家試験を受験しました。受験してみて思ったのは、基本的な知識をしっかり身に付けておけば解けない問題はないということ。第29回国試から追加となった医療的ケアが、過去問から傾向を知るということが難しいということがありましたが、医療職との連携の下で医療的ケアを安全・適切に実施できるよう必要な知識・技術を習得することが求められているわけで、介護福祉士が行える「医療的ケアの範囲」の理解と「喀痰吸引」、「経管栄養」の基礎知識と併せて実施手順をイメージしておけば解けないことはことは無いと思いました。


 合格発表は3月28日、無事に合格証書が届きました。今年の合格ラインは、125点満点(125問)中77点だったようです。私の得点は99点、26問も間違えていました。満点をめざしていたわけでもありませんが、ちょっと悔しかったです。


 今年の介護福祉士国家試験は、全国34試験地で実施され、中国四国地方では、山口県と徳島県を除く7県で行われました。受験者数は92,654人に対し、合格者数は65,574人で合格率は70.8%でした。

 この5年間の受験者数の推移をみると、第26回154,390人、第27回153,808人、第28回152,573人、第29回76,323人、第30回92,654人となっており、第29回から受験者数が半減しています。その理由は、受験資格の変更があったためで、第29回国家試験から実務経験ルートの受験資格に実務者研修終了が義務付けられたことによります。

 合格者の男女別は、男19,906人(30.4%)、女45,668人(69.6%)で、約3割が男性となっています。また、年齢階層別では20歳以下5,481人(8.4%)、21~30歳16,753人(25.4%)、31~40歳13,679人(20.9%)、41~50歳18,217人(27.8%)、51~60歳9,693人(14.8%)、61歳以上1,751人(2.7%)で40代が一番多くなっています。合格者の地域別では、大阪府が最も多く5,070人、次いで東京都の5,026人、神奈川県の4,388人、愛知県3,370人、北海道3,341人、埼玉県3,278人、兵庫県3,167人と続き、わが岡山県は1,256人で13番目です。

 介護福祉士資格は、国試合格で自動的に付与されるものではなく、介護福祉士名簿に登録されて初めて介護福祉士資格が付与されます。登録料を振り込み、申請書に9千円分の収入印紙を貼って、本籍地が記載された住民票等を添えて、登録手続きを行うと、厚生労働大臣指定の登録機関で名簿登載の手続きが行われ、晴れて、厚生労働大臣名で介護福祉士の登録証が送られてきます。手続きには1か月余りかかるとのこと。現在の厚生労働大臣は岡山県選出の加藤勝信さんなので、加藤厚労大臣名の介護福祉士登録証をもらうことになります。

 岡山県人の私が、同じ岡山選出の厚労大臣名の介護福祉士登録証をいただく。何だか良いですよね。

 そして、4月28日に手にした登録証がこれです。